盗撮で逮捕される可能性はある?逮捕後の流れと対処法を解説します

盗撮で逮捕される可能性はある?逮捕後の流れと対処法を解説します
盗撮で逮捕される可能性はある?逮捕後の流れと対処法を解説します

盗撮をした場合は、都道府県で定める迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反といった法律に抵触する可能性があります。最悪の場合、逮捕や実刑判決の可能性もあるため注意しなければいけません。

本記事では、盗撮で逮捕される可能性のある罪状や法定刑、逮捕後の流れや対処法について解説しています。盗撮は、早期の対応で逮捕や起訴・不起訴、量刑判断に与える影響が大きいです。本記事で解説している内容を参考に今後の対応を検討してください。

盗撮で逮捕される可能性がある罪状と法定刑

盗撮をすると都道府県で定める迷惑防止条例違反に該当する可能性があります。また、軽犯罪法違反や、その他関連法律に該当して処罰される可能性があるでしょう。

まずは、盗撮による罪状とそれぞれの法定刑について解説します。

都道府県別「迷惑防止条例違反」に該当

通常、人の衣服等で隠されている部分(下着や身体)を撮影する目的で撮影器具を向けたり設置したりした場合は、盗撮行為として処罰対象になり得ます。盗撮行為の罰則は、各都道府県が定める迷惑防止条例違反によって決められています。

たとえば、東京都の場合以下の罰則規定があります。

  • 1年以下の懲役または100万円以下の罰金

なお、その他の都道府県であっても、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるところが多いです。

【注意】
迷惑防止条例は国で定める法律ではなく、各都道府県で定める条例です。そのため、地域によっては罰則規定に差が出ることもあります。上記はあくまでも東京都の例であり、他の都道府県で盗撮行為を行った場合は異なる処罰を受ける可能性があります。

「軽犯罪法違反」に該当

軽犯罪法では、通常は衣服等で隠されている部分(下着や身体)をのぞき見する行為を禁止しています。そのため、盗撮をした時点で軽犯罪法違反に抵触する可能性が高いです。

軽犯罪法違反に該当する要件は以下のとおりです。

正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
引用元:軽犯罪法(第一条)|e-Gov

また、軽犯罪法違反に該当した場合の罰則は以下のとおりです。

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
引用元:軽犯罪法(第一条)|e-Gov

つまり、軽犯罪法違反に該当した場合は、拘留または科料といった処罰を受けます。拘留は1日以上30日未満の期間で刑事施設へ拘留する処分です。科料は、1,000円以上1万円未満の金銭を支払う刑罰です。

迷惑防止条例違反と比較すると軽いですが、勾留される可能性があるため仕事や学業に影響が出る可能性もあるため注意してください。

その他関連法律に該当する可能性

盗撮までの過程に対して他の法律が該当する可能性もあります。たとえば、盗撮をする目的で他人の住居へ侵入した場合は、住居侵入罪(刑法第130条)に該当します。住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

参考:刑法(第130条)|e-Gov

その他、盗撮をした対象が18歳未満の児童だった場合、児童ポルノ法違反に該当する可能性があります。

盗撮で逮捕されるまでの流れ

盗撮を行った場合、その場で逮捕されるケースと捜査を行って通常逮捕されるケースがあります。中には、逮捕をせずに在宅で捜査を行う場合もあります。次に、盗撮による逮捕の流れと逮捕された後の流れについて、詳しくみていきましょう。

【現行犯の場合】その場で逮捕・私人も成立

盗撮を行ったその場で逮捕された場合は、現行犯逮捕と言います。たとえば、「駅の階段やエスカレーターでスカートの中を盗撮したところを押さえられた」といったケースが考えられます。

現行犯逮捕が成立するためには以下の要件を満たしている必要があります。

  • 現に罪を行っている
  • 罪を行い終わった

上記いずれかに該当する場合は、現行犯逮捕が成立します。そのため、「怪しいから仕草をしていた」といった理由では当然成立しません。

また、現行犯逮捕は逮捕権を持っている人(警察官や検察官等)でなくても行うことができます。たとえば、一般人でも現行犯の場合に限って逮捕でき、これを「私人逮捕」と言います。

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

引用:刑事訴訟法(第213条)|e-Gov

私人逮捕は、逮捕権を有していない一般の人や非番の警察官などでも行うことができますが、以下の要件を満たしてなければいけません。

  • 現行犯もしくは準現行犯であること
  • 軽微犯罪の場合は、犯人の逃走の可能性があること

参考:刑事訴訟法|e-Gov

つまり、その場で盗撮を現認されていること、犯人が身分証などの提示をせずに逃走の恐れがあることが私人逮捕の条件です。ただ、痴漢の場合は迷惑防止条例の法定刑で見ると、軽微犯罪には該当しません。よって、現行犯であれば私人逮捕は成立します。

なお、現行犯である要件はかならず満たさなければいけません。そのため、たとえば「この人は、昨日盗撮しているところを目撃した」という事実だけでは私人逮捕はできません。

私人逮捕や警察官等が行う現行犯逮捕によって逮捕された場合は、そのまま警察署にて勾留・取り調べを受ける流れとなります。

【後日逮捕の場合】捜査後に通常逮捕

現行犯逮捕されなかった場合であっても、被害者が被害を申し出て捜査を行い、後日逮捕される可能性もあります。一般的には、張り込みをして容疑者の生活スタイルを確認し、確実に逮捕できるタイミングを確認して自宅等に突然警察官が来ます。

中には、先に家宅捜索差押(いわゆるガサ入れ)を行い、盗撮画像や盗撮動画などの証拠品を抑えることがあるかもしれません。その後は容疑者に任意同行を求め、容疑が固まり次第逮捕状を請求して逮捕する流れとなる場合もあります。

逮捕されない可能性もある

盗撮をした事実があっても100%の確率で逮捕されるわけではありません。中には、逮捕せずに在宅で捜査や取り調べを受けることもあります。

そもそも「逮捕」とは、罪を犯したと疑うに充分足りる人を拘束するために行うためのものです。人の自由を奪う行為であるため、慎重に逮捕の有無を判断しなければいけません。

たとえば、通常逮捕の場合は「罪を犯したと疑うに相当な理由があること」が条件です。また、逮捕の必要性として「被疑者が証拠隠滅や逃亡の恐れがあること」の条件を満たしていなければいけません。

そのため、盗撮をした事実がある人であっても、証拠隠滅や逃亡の恐れがないと判断された場合は、逮捕しない可能性もあります。

逮捕後は2日程度勾留

盗撮により逮捕された場合は、警察署に併設されている留置所というところに入ります。その後、取り調べなどを受けて警察官は48時間以内に検察官へ送致(検察官送致)します。

ただし、軽微な犯罪で被害者と示談が成立している場合、被害者が刑罰を望んでいない場合などは、検察官送致をせずに事件を終了させる場合があります。

そのため、早期の社会復帰を目指すためには、被害者との早期の示談成立が重要です。留置所に入っている場合であっても、弁護士に相談をして示談を進めることができるため、できるだけ早めに弁護士へ相談しましょう。

勾留期限の延長が行われる場合もある

警察から事件を引き継いだ検察官は、24時間以内に勾留請求の有無を判断します。勾留とは、留置所等にて引き続き身柄を拘束することです。

勾留請求が行われた場合は、10日間勾留を行います。その後、さらに勾留期間の延長が行われる可能性があり、最大で20日間勾留され続けます。

起訴・不起訴の判断

勾留期間中に取り調べを行い、検察官は起訴・不起訴の判断を行います。起訴には略式起訴と通常の起訴があり、後者は刑事裁判手続へ進んで判決を受けます。

前者は、罰金100万円以下の判決が下りますが、意見を述べることができないため本人の同意が必要です。なお、略式起訴されて罰金となった場合は前科が残ります。

起訴後は裁判・判決に従い処罰

通常の起訴後は裁判手続へ移行します。起訴された場合の有罪率は99.9%と言われており、ほぼ確実に有罪判決が下されて前科が残ります。

また、起訴後も証拠隠滅や逃亡の恐れがあると判断された場合は、判決が下るまで勾留される可能性もあるため注意しなければいけません。判決が罰金刑や執行猶予付きの判決だった場合は釈放されて社会復帰を目指します。

実刑判決だった場合はそのまま刑事施設(刑務所)へ入り、刑罰を受けます。

盗撮による逮捕後に減刑を目指す方法

盗撮は各都道府県の迷惑防止条例違反となるため逮捕・起訴される可能性があります。起訴された場合は、裁判手続きを経て罰金刑や懲役刑といった刑罰を受ける可能性があり、前科が残ってしまいます。

また、逮捕・勾留されることによって社会的な制裁を受ける可能性も否定はできません。たとえば、会社を解雇されたり学校を退学せざるを得ない状況になったり、もしかすると配偶者との離婚問題に発展するかもしれません。

さらに、前科が残ることによる社会復帰の難しさという現実もあります。盗撮を行ってしまった事実がある以上、さまざまな可能性を考えてあらかじめ対応しておくことが大切です。

次に、盗撮を行った場合でも減刑を目指す方法について解説します。

弁護士に相談する

盗撮をして逮捕されたり逮捕されそうになった場合は、すぐに弁護士へ相談してください。弁護士へ相談をすることにより、その後の手続きや取り調べを受けるにあたっての注意事項などを教えてもらえます。

また、被害者との示談交渉なども代理してくれるため、かならず弁護士へ相談したほうが良いでしょう。

なお、弁護士に相談する際は国選弁護士や私選弁護士、当番弁護士などさまざまなものがあります。自分や自分の家族が個人的に依頼する弁護士のことを私選弁護士と言い、特定の分野に強い専門家に依頼できるのがメリットです。

どのような形であれ、かならず弁護士がつくことになっていますが、国選弁護士の場合は勾留後、当番弁護士の場合は逮捕後につきます。そのため、対応がワンテンポ遅れてしまう可能性があり、取り調べや起訴・不起訴の判断に多大な影響を与える可能性があります。

私選弁護士であれば、私人逮捕された時点や疑われているときなど自分のタイミングで相談できます。弁護士へ相談する際は、できるだけ早いほうが良いため、私選弁護人への相談を検討しましょう。

示談を成立させておく

被害者と示談を成立させておくことで、起訴・不起訴の判断やその後の判決に対して多大な影響を与えます。

示談とは、被害者との間で和解が成立していることを意味します。示談の成立に伴い、被害者は検察官等に対して嘆願書を提出するため、減刑を見込むことができます。

嘆願書とは

嘆願書とは、被害者が加害者に対して「寛大な処分をお願いします」といった内容のことを記載した書面です。法的効力はないものの、「被害者が刑罰を望まない」などといった感情がある事実を把握し、起訴・不起訴あるいは量刑に影響を与えることがあります。

また、被害者が被害届を取り下げることにより、「被害感情がなくなった」と判断されて減刑される可能性が高いです。とくに、盗撮の場合は比較的軽微な犯罪であるため、被害者との示談交渉成立の有無が量刑判断に響く可能性は非常に高いでしょう。

なお、示談交渉も弁護士へ相談をして行ったほうが良いです。第三者である弁護士が被害者と話をすることにより、よりスムーズな和解交渉が可能となるためです。

反省の態度を示す

盗撮をした事実がある以上は認め、反省をしなければいけません。反省の意があるかどうかは、量刑判断に大きな影響を与えます。

また、盗撮は常習性が疑われるため、社会復帰した際に「どのように改善していくのか」「再犯を犯さないようにするのか」といった部分を明確にしなければいけません。具体的に改善策を説明することで、減刑を目指しましょう。

事実と異なることを言わない・認めない

事実と異なることは絶対に言わない・認めない、を徹底してください。

取り調べを受けると雰囲気に飲まれ、被害者の言うことのすべてを認めてしまったり仮定の話を認めてしまったりすることがあるかもしれません。しかし、取り調べ中に話した内容は、すべて証拠として扱われてしまうため注意しなければいけません。

事実と異なることは絶対に認めないこと、余計なことは話さないことを徹底するようにしてください。なお、余罪がある場合はそのことについて聞かれるまでは答えなくても良いです。

仮に聞かれた場合でも、警察がその事件の内容を把握していない可能性もあります。そのため、黙秘をしたり弁護士に相談をしたりなどの対応を心がけましょう。黙秘をしてもそのことが原因で量刑等の判断に影響が出ることはありません。

まとめ

今回は、盗撮で逮捕された場合の罪状や法定刑、その後の対処法について解説しました。

盗撮は各都道府県の条例によって処罰されます。一般的には1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。その他、軽犯罪法違反や住居侵入罪などさまざまな犯罪に抵触する可能性があるため、注意しなければいけません。

仮に、盗撮で逮捕されてしまった場合は早期の対応が必要です。比較的軽微な犯罪である盗撮は、早めに弁護士へ相談をすることで勾留の有無判断にも影響を与える可能性があります。

勾留されてしまえば、勤務先や学校などにも逮捕された事実が知られてしまいます。その後の社会復帰にも影響が出るため、早期の対応が必要となります。今回解説した内容を踏まえ、早急な対応を心がけてみてはいかがでしょうか。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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