当て逃げでも逮捕される?弁護士に示談を依頼するメリットと刑事・民事・行政責任を全て解説

当て逃げでも逮捕される?弁護士に示談を依頼するメリットと刑事・民事・行政責任を全て解説
当て逃げでも逮捕される?弁護士に示談を依頼するメリットと刑事・民事・行政責任を全て解説

「当て逃げ」は道路交通法によって規定されている「危険防止措置義務及び報告義務」に違反する犯罪なので、警察に発覚した場合には逮捕される可能性があります。

当て逃げによって深刻な被害が生じた場合や、無免許運転・煽り運転などの別件の容疑もかけられている場合、逮捕・勾留による長期の身柄拘束を強いられるだけではなく、起訴・有罪になると実刑判決まで覚悟する必要に迫られます。さらに、当て逃げで前科がつくと、今後の社会生活にさまざまな支障が生じかねません。

そこで今回は、過去の当て逃げが警察にバレて逮捕されるのではないかと不安を抱えている方や、ご家族が当て逃げ犯として逮捕された方のために、以下5点について分かりやすく解説します。

  1. 「当て逃げ」が逮捕されるときに問われる犯罪類型と法定刑
  2. 「当て逃げ」の容疑で逮捕されたときの刑事手続きの流れ
  3. 「当て逃げ」で逮捕されたときに想定されるデメリット
  4. 「当て逃げ」事件を起こしたときに問われる民事責任及び行政処分
  5. 「当て逃げ」で逮捕されたとき、後日逮捕のリスクを抱えるときに、弁護士へ相談するメリット

当て逃げがきっかけで生じる刑事責任を回避・軽減するには、できるだけ早いタイミングで被害者との間で示談交渉を開始するのがポイントです。

刑事事件や示談交渉の実績豊富な弁護士に相談することで刑事・民事の両面での早期解決を期待できるでしょう。

目次

当て逃げで逮捕されるときの犯罪類型と法定刑

当て逃げ事件が捜査機関に発覚した場合には、主に以下2つの罪状を理由として逮捕されることが多いです。

  • 危険防止措置義務違反
  • 報告義務違反

なお、当て逃げをしたときに何かしらの別の容疑発覚を怖れて逃亡を図った場合には、別の罪状で逮捕状が発付される可能性がある点にご注意ください。

危険防止措置義務違反

当て逃げは「危険防止措置義務違反」を理由に逮捕されます。

そもそも、車両等の運転者その他の乗務員は、交通事故があったとき、直ちに車両等の運転を停止し、負傷者を救護して、道路における危険を防止する等の必要な措置を講じなければいけません道路交通法第72条第1項前段)。

つまり、物損事故を起こしたのに以下の措置を講じなかった場合には「危険防止措置義務違反」に該当するということです。

  • 交通事故を起こしたときは、直ちに自動車等の運転を停止する
  • 二次被害が生じないように後続車や他の車両に危険を知らせる
  • 事故を起こした自動車や現場周辺に散乱した車両装備品を車道外などに移動させる

危険防止措置義務違反の法定刑は「1年以下の懲役刑または10万円以下の罰金刑」です(道路交通法第117条の5第1号)。

報告義務違反

当て逃げは「報告義務違反」を理由に逮捕されます。

そもそも、交通事故が発生した場合、運転者は警察官に対して、直ちに交通事故発生日時等(交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故で損壊した物及び損壊の程度、交通事故に係る自動車等の積載物、交通事故について講じた措置)を報告しなければいけません(道路交通法第72条第1項後段)。

報告義務違反に該当するのは以下のようなケースです。

  • 警察に連絡せずに当て逃げ現場から離れる
  • 交通事故の現場から一度離れて、しばらく時間が経過してから警察に連絡する

報告義務違反の法定刑は「3カ月以下の懲役刑または5万円以下の罰金刑」です(道路交通法第119条第1項第17号)。

【注意!】当て逃げの状況次第で容疑をかけられる可能性がある犯罪類型

「警察に通報できない事情」を抱えていたことが原因で当て逃げ事件を起こしてしまった場合には、別の容疑で逮捕状が請求されかねません。また、当て逃げの容疑で逮捕された後、取調べが進む過程で別の犯罪行為が発覚すると、別件について再逮捕・再勾留の手続きが踏まれる可能性もあります。

当て逃げ事件と同時に発覚して逮捕手続きに移行することが多い犯罪類型は以下の通りです。

  • ひき逃げ
  • 飲酒運転
  • 煽り運転
  • 無免許運転
  • 薬物犯罪

ひき逃げ

物損事故を起こして交通事故現場から逃走した場合でも、実は人を死傷させてしまっていたときには、「ひき逃げ犯人」として逮捕されます。

ひき逃げとは、「交通事故によって死傷者が発生したにもかかわらず、運転者やその他乗務員が直ちに自動車等の運転を停止せず、負傷者を救護し、道路における危険を防止するなどの必要な措置を講じないまま、現場から逃走すること」です(道路交通法第72条第1項前段)。

人の死傷があった場合において、救護義務や危険防止措置義務に違反したときには、「5年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」の範囲で処断されます(同法第117条第1項)。

また、人の死傷が当該運転者の運転によって引き起こされたものであるときには、「10年以下の懲役刑または100万円以下の罰金刑」という形で法定刑が引き上げられている点に注意が必要です(同法第117条第2項)。

なお、純粋な当て逃げ事件とは異なり、人の死傷結果が生じているひき逃げ事件に対する捜査活動はかなり入念に行われる傾向が強いです。「当て逃げをしただけだと思っていた」という言い訳は通用せず、万が一人に怪我をさせたのに逃走してしまうと後日逮捕は免れられないとご理解ください。

飲酒運転

飲酒運転をした結果、物損事故を起こした場合には、「酒酔い運転の罪」「酒気帯び運転の罪」で逮捕される場合があります。

酒酔い運転の罪とは、「酒に酔ってアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態にもかかわらず、自動車等を運転したとき」に成立する犯罪類型のことです(道路交通法第65条第1項、同法第117条の2第1項第1号)。酒酔い運転の罪の法定刑は「5年以下の懲役刑または100万円以下の罰金刑」と定められています。

酒気帯び運転の罪とは、「呼気1リットルあたりのアルコール保有量が0.15mg以上の状態で、自動車等を運転したとき」を処罰対象にする犯罪類型のことです(道路交通法第65条第1項、同法第117条の2の2第1項第3号)。酒気帯び運転の罪の法定刑は「3年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」と定められています。

なお、飲酒運転の末に当て逃げをした場合には、運転手だけではなく、酒類提供者・同乗者・車両提供者もそれぞれ刑事罰を科される点に注意が必要です。

また、「物損事故を起こした現場から逃げてしまえば、仮に後日逮捕されたとしてもアルコールが抜けているので飲酒運転がバレることはない」と安易に考えるのもハイリスクです。なぜなら、ドライブレコーダーのデータや防犯カメラ映像に記録された走行の様子、当て逃げ事件前後の行動調査などによって、交通事故を起こした当時、飲酒をしていたことが立証される可能性は否定できないからです。

煽り運転

煽り運転などの危険な走行行為をした末に物損事故を起こしたときには、「妨害運転の罪(煽り運転の罪)」で逮捕される可能性があります。

妨害運転の罪とは、「他の車両等の通行を妨害する目的で、通行区分違反や急ブレーキ禁止違反、車間距離違反、進路変更禁止違反、追越し違反などの違法走行を行い、他の車両等に道路における交通の危険を生じさせたとき」に成立する犯罪類型のことです(道路交通法第117条の2の2第1項第8号)。妨害運転の罪の法定刑は「3年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」と定められています。

特に、近年では煽り運転厳罰化の動きが強まっているので、物損事故の目撃者や煽り行為の被害者に通報された場合、任意の出頭要請や後日逮捕手続きに移行する可能性が高いとお考えください。

また、煽り運転が高速道路上で行われたケースや、物損事故にとどまらず危険運転致死傷罪が適用される人身事故が発生したケースでは、さらに重い刑事処罰が科されるリスクに晒されます。

無免許運転

運転免許証の更新を忘れていたことや、そもそも運転免許証自体を保有していないことがバレるのをおそれて当て逃げをした場合、「無免許運転の罪」で逮捕される可能性が生じます。

当て逃げ当時に運転免許を受けずに自動車等を走行させていたことが判明すると、「3年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑」の範囲で刑事罰が科されます(道路交通法第64条第1項、同法第117条の2の2第1項第1号)。

なお、無免許運転の罪とは異なり、免許不携帯だけなら3,000円の反則金の納付義務が生じるにとどまります。

薬物犯罪

薬物犯罪に手を染めていることがバレるのを怖れて、物損事故を起こしても通報せずに、当て逃げをしてしまうケースも少なからず存在します。

特に、物損事故に対する捜査活動が進められる過程で捜査対象になった人物に覚醒剤や大麻などの前科・前歴があることが判明すると、まずは物損事故に関する逮捕状が請求され、強制採尿によって薬物使用等の疑いで現行犯逮捕される可能性も否定できません。

このような事情を抱えている場合には逃げ切るのは難しいので、できるだけ早いタイミングで弁護士へ相談のうえ、当て逃げ事件と薬物犯罪弁護の両面から今後の防御方針について検討してもらうべきでしょう。

【注意!】当て逃げ事件が器物損壊罪で逮捕されるのは極めて稀

物損事故である当て逃げ事件は「器物損壊罪」のイメージが強いですが、当て逃げをして器物損壊罪の容疑をかけられることは多くはありません。

なぜなら、器物損壊罪は「他人の物を損壊し、または、傷害したとき」を処罰対象とする「故意犯だからです(刑法第261条)。

たとえば、わざと他人の自動車等に接触をして物的損傷を生じさせたようなケースでは器物損壊罪の成否が問題になり得ますが、これに対して、「運転操作ミスで当て逃げをしてしまった」「当て逃げに気付かなかった」などの事情を抱えている場合には器物損壊罪の故意を認定するのは難しいでしょう。

なお、器物損壊罪は親告罪なので(同法第264条)、本罪の容疑をかけられたときには「被害者との示談交渉」が防御活動の最大目標になります。加害者本人が示談交渉をしても告訴の取り下げまで相当の労力を要するので、かならず示談実績や刑事事件に強い弁護士までご相談ください

当て逃げで逮捕されるときの刑事手続きの流れ

当て逃げ事件を起こしたことが警察にバレると、以下の流れで刑事手続きが進められます。

  • 当て逃げの容疑で警察に逮捕される
  • 当て逃げの容疑で逮捕されると身柄拘束付きの取調べが実施される
  • 当て逃げの容疑で起訴されると刑事裁判にかけられる

当て逃げ事件について警察が捜査を開始する

当て逃げ事件を起こした場合、警察が被疑者に対して接触することから刑事手続きがスタートします。

警察からのアプローチ方法は、当て逃げ事件の詳細に応じて、以下3種類に分類されます。

  • 通常逮捕(後日逮捕)
  • 任意捜査(出頭要請・事情聴取)
  • 現行犯逮捕

「当て逃げ」で後日通常逮捕されるケース

当て逃げは危険防止措置義務違反及び報告義務違反に該当する犯罪行為なので、道路交通法違反を理由に通常逮捕される可能性があります。

通常逮捕とは、「裁判官の事前審査を経て発付される逮捕令状に基づいて実施される逮捕処分」のことです(刑事訴訟法第199条第1項)。

逮捕処分は「強制処分」に分類される捜査活動なので、自宅等にやってきた捜査員に逮捕状を呈示された時点で当て逃げ犯の身柄は警察に押さえられます。たとえば、「後日かならず出頭するので今日はやめて欲しい」「警察に出頭する前に家族や会社に電話連絡を入れたい」などの要望は一切聞き入れてもらえません。

過去の当て逃げ事件が原因で通常逮捕されるケース

なお、当て逃げ事件が警察に発覚したとしても、常に通常逮捕手続きに移行する(逮捕状の発付請求が認められる)わけではない点に注意が必要です。

なぜなら、逮捕状の発付が認められるのは、「逮捕の理由(被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること)」「逮捕の必要性(逃亡・証拠隠滅のおそれがあるので留置して取調べをする必要性があること)」の2つの要件を満たす場合に限られるからです。

これを踏まえると、当て逃げ事件が警察に発覚したときに通常逮捕されるのは、当該事件が以下のような事情を有するケースだと考えられます。

  • 住所不定・無職・職業不詳で逃亡のおそれがある場合
  • 過去に交通事犯や薬物事犯などでの前科・前歴がある場合
  • 捜査対象の当て逃げ事件だけではなく別件の容疑もかかっている場合
  • 当て逃げの証拠(ドライブレコーダーの記録や自動車の損傷箇所等)を隠滅するおそれがある場合
  • 当て逃げ事件の物損被害や修理代が高額に及ぶ場合
  • 当て逃げ事件の被害者が強い処罰感情を抱いている場合
  • 事前に実施された当て逃げ事件に関する任意の出頭要請を拒絶した場合
  • 当て逃げ事件について実施された任意の事情聴取で否認したり供述内容に嘘・矛盾が見られる場合
  • 当て逃げ行為について一切反省の態度を見せておらず、更に犯行に及ぶ危険性がある場合
当て逃げ事件が逮捕状の発付要件を満たさない事案なら任意の出頭要請をかけられる

過去の当て逃げ事件が警察にバレたとしても、「逮捕の理由」「逮捕の必要性」の要件を満たさない場合には通常逮捕手続きによって身柄拘束されることはありません

ただし、「通常逮捕」という強制処分が実施されないだけであって、当て逃げ事件を見逃してもらえるわけではない点に注意が必要です。

なぜなら、当て逃げは危険防止措置義務違反及び報告義務違反に該当する違法行為である以上、警察が事件を認知した以上は何かしらの捜査活動を展開する必要があるからです。

そのため、当て逃げ事件が以下のような事情を有する場合には、任意捜査の一環として、被疑者に対して出頭要請がかけられて、事情聴取が執り行われます

  • 氏名・住所・職業が明らかで逃亡のおそれがない場合
  • 当て逃げについて素直に犯行を自供して真摯に反省の態度を示している場合
  • 当て逃げの被害弁償が済んでおり、被害者とも示談が成立している場合
  • 人身事故や無免許運転、飲酒運転などの余罪への関与の疑いがない場合
  • 物損事故の証拠物を隠蔽するおそれがない場合
  • 前科や前歴がない初犯の場合
  • 同乗者の証言内容とも食い違いがない場合
  • 捜査機関からの求めに応じて出頭要請や事情聴取に誠実に応じている場合

ただし、「当て逃げ」をしたということは、「事件を起こして既に逃げてしまっている」ということを意味します。これでは、過去の当て逃げ事件が警察に発覚した場合には常に「逃亡及び証拠隠滅のおそれがある」と判断されかねません。

したがって、通常逮捕処分を回避して任意ベースの捜査活動を期待するのなら、刑事実務に詳しい弁護士に相談のうえ、自首や被害弁償の早期実現などについて検討してもらうべきでしょう。

「当て逃げ」がバレる理由

交通量が多い交差点で走行中の車両同士が接触したケースのように、目撃者が多数存在するようなケースなら、当て逃げをしても簡単に身元が特定するのは想像に難くないでしょう。

これに対して、夜間人通りのない場所で駐車している自動車やバイク、店舗の備品などに少し接触した程度なら、当て逃げをしたところで刑事責任を追及されることはないようにも思えます。

しかし、当て逃げ事件はどれだけ軽微なものでもバレることが多いのが実情です。なぜなら、以下のようなきっかけが原因で警察に被害申告される機会が増えているからです。

  • 自動車やバイクに搭載されたドライブレコーダー映像に当て逃げの様子が記録されている
  • 当て逃げ犯のナンバープレートが記録されていると犯人の身元特定は極めて容易
  • 防犯カメラや監視カメラの設置数は相当増えているので当て逃げ現場や逃走中の様子はどこかにかならず記録されている
「当て逃げ」は公訴時効が完成するまで逮捕リスクを抱えたまま

過去に起こした当て逃げ事件は「公訴時効の完成」までは常に後日逮捕のリスクを抱えたままです。

公訴時効とは、「犯罪行為が終わったときから一定期間が経過することによって検察官の公訴提起権を消滅させる制度のこと」です(刑事訴訟法第253条第1項)。「犯罪に及んだのに処罰されなくなるのはおかしい」という意見にも一理ありますが、犯罪行為から一定期間が経過すると散在した証拠を収集するのが困難になること、相当期間の経過によって被害者の処罰感情が薄まることなどが制度の根拠とされています。そして、検察官の公訴提起権が消滅する以上、もはや刑事手続きを進める意味がないので、公訴時効が完成した時点で警察に逮捕されることもなくなります

当て逃げ事件(危険防止措置義務違反・報告義務違反)の公訴時効期間は「当て逃げ事件を起こしてから3年間」です(同法第250条第2項第6号)。

ただし、当て逃げ犯が海外に所在している期間等は「公訴時効が停止」するため、当て逃げ事件から3年が経過した後でも逮捕・起訴される可能性は否定できません。

したがって、数年前に起こした当て逃げ事件が原因で後日逮捕されるのではないかと不安を抱えているのなら、できるだけ早い段階で弁護士に相談をして、公訴時効の成否自首の可否などについてアドバイスを貰うべきでしょう

「当て逃げ」から間もない状況なら現行犯逮捕される可能性もある

当て逃げ事件を起こした場合、状況次第では「現行犯逮捕」によって身柄が押さえられる可能性があります。

現行犯逮捕とは、「現行犯人(現に罪を行い、または、罪を行い終わった者)に対する逮捕処分」のことです(刑事訴訟法第212条第1項)。現行犯逮捕は、警察官等の捜査機関だけではなく、一般私人でも逮捕状なしで行うことができます(同法第213条)。たとえば、被害者や警察官の面前で当て逃げ事件を起こした場合、(身柄拘束する必要があると判断された場合に限って)その場で現行犯逮捕されて警察署に連行されます。

当て逃げ事件との関係で注意を要するのが、当て逃げ時の状況次第では、現場から逃走したとしても「準現行犯逮捕」される可能性があるという点です。

準現行犯逮捕とは、「以下のいずれかを満たす者が罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるとき」を対象とする逮捕処分のことです(同法第212条第2項)。厳密な意味では現行犯逮捕とは異なりますが、犯行時と検挙時の時間的・場所的密接性がある場合に限って、無令状での身柄拘束が認められています。

  • 当て逃げ犯として追呼されているとき
  • 贓物または明らかに犯行の用に供したと思われる兇器などの証拠物を所持しているとき
  • 身体や被服に当て逃げ事件の顕著な証跡があるとき
  • 「当て逃げ犯だ」と誰何されて逃走しようとするとき

たとえば、当て逃げ事件を起こして現場から逃走したものの、現場から数百メートル離れたコンビニの駐車場で「このまま逃げてしまって良いものか」と思案している最中、当て逃げ事件から数十分後に通報を受けて現場周辺を警邏していた捜査員に当て逃げの痕跡が残る車両を発見された場合には、準現行犯人として逮捕されることになります。

なお、現行犯逮捕・準現行犯逮捕をするにも「逮捕の理由」「逮捕の必要性」という要件を満たす必要があると解するのが判例実務なので、当て逃げ事件の現場から離れた場所で捜査員に呼び止められたとしても、素直に身分証を呈示して誠実に現場検証に応じるなどすれば、逮捕処分を免れることが可能です。当て逃げ事件から間もない状況で準現行犯逮捕リスクに晒されているときこそ、すみやかに刑事実務に詳しい弁護士までお問い合わせください

逮捕の対象になる「当て逃げ」の具体例

道路交通法違反の違法な「当て逃げ」として逮捕対象になるのは以下のような「物損事故」です。

  • 道路を自動車・バイクで走行中に他の車両等に接触した場合
  • 信号待ちで停車している車両等に追突した場合
  • 道路標識・信号機・電信柱・ガードレールなどの公共物や民家の塀や壁などに接触した場合
  • スーパーの駐車場などの私有地で物損事故を起こした場合
  • ペットを轢いてしまった場合

これに対して、人が死傷する結果が生じていた場合には、「人身事故」である「ひき逃げ」として捜査活動が実施されます。

たとえば、手元でスマホを操作しているために赤信号で停車中の前方車両に気付かず追突事故を起こしてしまった場合、車両に損害を与えただけではなく、被害車両の運転手や同乗者にムチ打ちや骨折などの怪我を負わせてしまったときには、「人身事故」として厳しい刑事訴追が想定されます。

つまり、交通事故の事情次第では、あなた自身は「当て逃げ」のつもりで逃走したとしても、実際には「ひき逃げ」として捜査活動が実施されるケースもあり得るということです。

人の死傷結果が生じているか否かで刑事処分や判決の重さは大きく異なるので、動揺して当て逃げ当時の記憶が薄れている状態なら、現段階で弁護士へ相談のうえで、当て逃げ・ひき逃げの両面からの防御活動を検討してもらうべきでしょう

当て逃げ事件で逮捕されると身柄拘束付きの取調べが実施される

当て逃げを理由に通常逮捕・現行犯逮捕された場合、捜査機関に身柄を押さえられたうえで取調べが実施されます。

捜査機関が実施する取調べには時間制限が設けられており、原則として「警察段階で48時間以内、検察段階で24時間以内、合計72時間以内です(刑事訴訟法第203条第1項、同法第205条第1項)。この制限時間内に当て逃げ事件が警察から検察官に送致されて、検察官が当て逃げ事件を公訴提起するか否かの判断をします。

ただし、「やむを得ない理由」によって捜査機関側が「72時間以内」の時間制限内に公訴提起に必要な証拠等を収集できない場合には、検察官による勾留請求が認められている点に注意が必要です(同法第206条第1項)。裁判官が検察官の勾留請求を認めた場合には、当て逃げ犯の身柄拘束期間は10日間~20日間の範囲で延長されます(同法第208条各項)。

たとえば、以下のような事情があると、当て逃げ事件に関する勾留請求が実施される可能性が生じます。

  • 別件の当て逃げ事件や無免許運転・飲酒運転などの余罪への関与も疑われる場合
  • 当て逃げ事件の立証に要する防犯カメラ映像や参考人の数や量がかなり多い場合
  • 当て逃げによって生じた傷跡や塗料、破片などの鑑定や現場検証に相当の時間を要する場合
  • 被疑者が当て逃げ事件を黙秘していたり、取調べ時の供述内容に不鮮明な点や矛盾点がある場合

逮捕・勾留期間中は、取調べ以外の時間帯は自宅に戻ることが許されずに留置場・拘置所に身柄を留められます。また、所持品はすべて取り上げられるので、スマートフォーンで家族や会社に連絡することもできません。さらに、接見禁止処分が出されることが多いので、弁護士以外の第三者と面会する機会も失われます。

当て逃げ事件で刑事裁判にかけられる

当て逃げ事件に関する逮捕・勾留期限が到来するまでに、検察官が当て逃げ事件を公開の刑事裁判にかけるかどうか(起訴・不起訴のどちらにするのか)決定します。

検察官が「不起訴処分(当て逃げ事件を公開の刑事裁判にかけずに、検察官限りの判断で刑事手続きを終結させる旨の意思表示)」を下した時点で、当て逃げ事件に関する捜査活動は終了して、無罪放免が確定します。

これに対して、検察官が「起訴処分(当て逃げ事件を公開の刑事裁判にかける旨の訴訟行為)」を下した時点で、当て逃げ事件が刑事裁判手続きに移行することが決まります。

日本の刑事裁判の有罪率は約99%とも言われているので、検察官が起訴処分を下した時点で「当て逃げ事件が有罪になること」「当て逃げ事件で前科がつくこと」が決定的になってしまいます。また、検察官が起訴処分を下してから公判期日までは約1カ月~2カ月の期間が空くのが通常ですが、原則として被告人側が保釈請求を履践しなければ、公判期日まで留置施設から出ることはできません。

刑事裁判では、公訴事実に争いがなければ第1回公判期日で結審するのが通例です。これに対して、「当て逃げ事件をしていない」などと公訴事実を争う場合には、複数の口頭弁論期日をかけて弁論手続き・証拠調べ手続きが行われます。

最終的に、公判に提出された証拠や情状を総合的に考慮して、裁判官が判決を言い渡します。当て逃げ事件の場合、実刑判決が確定すればそのまま刑務所に服役し、執行猶予付き判決・罰金刑が確定すれば身柄釈放のうえ刑事責任を果たすという流れです。

【注目!】当て逃げが警察にバレても逮捕・勾留されない可能性もある

先ほど紹介したように、当て逃げ事件が警察にバレても逮捕・勾留されずに任意捜査の方法で取調べが進められる可能性もあります。また、当て逃げの容疑で逮捕されたとしても、その後素直に取調べに応じていれば、「留置の必要性がない(逃亡・証拠隠滅のおそれがない)」ことを理由に逮捕・勾留処分が解かれて、任意ベースの捜査手続きに移行するパターンもあり得ます。

このように、当て逃げ事件が捜査機関に発覚しても、逮捕・勾留処分なしで捜査手続き・裁判手続きが進められる事件処理類型は「在宅事件」と呼ばれます

当て逃げ事件が在宅事件の対象になった場合、捜査機関から出頭要請がかかったタイミングで警察署・検察庁を訪問し、事情聴取が終わればふたたび自宅に戻ることが許されます。検察官が起訴処分を相当と判断した場合には「在宅起訴」という方式で起訴処分が下されて、身柄拘束されることなく裁判手続きを迎えます。そして、裁判所から呼び出しがあったタイミングで公判に出廷し、裁判手続きへの参加が終了すれば自宅に戻り、判決言い渡しを待つという流れです。

当て逃げ事件が在宅事件の対象になったからと言って無罪が確定するわけではありませんが、少なくとも「逮捕・勾留による長期間の身柄拘束」という甚大なデメリットを回避・軽減できる点が大きなメリットとして挙げられるでしょう。日常生活を送りながら刑事手続きに参加すれば良いだけなので心身に過度な負担を感じることもありませんし、会社や学校生活に迷惑がかかることも避けやすいです。

ただし、捜査機関や裁判所からの呼び出しに応じなければふたたび強制的に身柄が拘束される点、厳格な時間制限が設けられている強制捜査とは異なり捜査機関都合のスケジュールが組まれるので、刑事処分が確定するまでに日数を要する可能性が高い点に注意しなければいけません。

当て逃げで逮捕されたときに生じるデメリット5つ

「たかが当て逃げ」と軽視するのは極めてハイリスクです。

なぜなら、当て逃げで逮捕された場合、以下5点のデメリットが生じる可能性があるからです。

  • 逮捕・勾留による長期間の身柄拘束を強いられる
  • 当て逃げ事件が会社にバレると懲戒処分のリスクに晒される
  • 当て逃げ事件が学校にバレると退学処分等のリスクに晒される
  • 当て逃げで前科がつくと今後の社会生活にさまざまな支障が生じる
  • 当て逃げがニュース報道されると社会的制裁を受ける

当て逃げで逮捕されると長期間身柄拘束される危険性が伴う

当て逃げの容疑で逮捕されると、「逮捕段階(警察段階48時間+検察段階24時間=合計72時間以内)、勾留請求されると追加で10日間~20日間、起訴後保釈請求が認められないと2カ月以上」の長期の身柄拘束を強いられるリスクに晒されます。

身柄拘束期間中は日常生活・社会生活から完全に隔離されて拘置所生活が続くので、心身にかなりのストレスが生じます。また、身柄拘束期間が長引くほど勤務先や学校にバレる危険性も高まるでしょう。

したがって、当て逃げで逮捕された場合には、「在宅事件扱いを目指すこと」「勾留を回避すること」「起訴後すみやかに保釈請求をすること」によって身柄拘束の回避・身柄拘束期間の短縮化を目指すのが重要な防御方針になると考えられます。

当て逃げ事件が会社にバレると懲戒処分の対象になる

当て逃げ事件を起こして逮捕されると会社にバレる可能性が高まります。特に、学生とは違って、会社員はたった1日でも無断欠勤があった時点で不信感を抱かれるので、身柄拘束期間が生じた時点で会社バレのリスクが高まるとご理解ください。

そして、当て逃げ事件が会社にバレると、会社の就業規則の内容にしたがって懲戒処分が下されます。

懲戒処分の内容は「戒告・譴責・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇」に大別されますが、たとえば、無免許運転を隠蔽するために当て逃げ事件を起こして有罪になったような悪質なケースでは、懲戒解雇処分が下される可能性も否定できません。また、極めて軽微な当て逃げ事件だったために懲戒処分自体は回避できたとしても、昇給・昇進などは期待しにくくなるでしょう。

以上を踏まえると、当て逃げ事件による仕事への影響を回避するなら、「会社にバレずに刑事手続きを済ませること」が何より重要だと考えられます。「在宅事件処理を目指すこと」「勾留を回避して身柄拘束期間を短縮化すること」「不起訴処分を獲得して有罪・前科を避けること」が防御方針になるので、かならず刑事事件に強い弁護士までご相談ください。

社用車や営業車で当て逃げ事件を起こしてしまった場合、捜査活動の一環として会社に聞き取りや捜索・差押えが行われる可能性が高いので、会社バレを回避するのは不可能に近いです。このようなケースでは隠蔽するほど追及される責任が重くなるので、できるだけ早い段階で会社と弁護士に相談のうえ、今後の防御方針について話し合いを進めるべきでしょう。

当て逃げ事件が学校にバレると退学処分等の対象になる

当て逃げ事件で逮捕・勾留されると、学校にバレる可能性も生じます。

そして、当て逃げ事件が学校にバレた場合、学則・校則にしたがって何かしらの処分が下されかねません。

たとえば、犯罪行為に対して厳しい考え方をもっている学校なら、退学処分や停学処分の対象になります。その一方で、普段の学校生活の様子や今後の更生可能性を考慮して、戒告などの軽い処分で済まされるパターンもあり得るでしょう。

したがって、会社バレのケースと同様、>当て逃げ事件による学校生活への悪影響を回避したいなら、「学校にバレずに刑事手続きを終結させること」が重要だと考えられます。弁護士に相談すれば「学校への連絡はやめて欲しい」などの上申書を提出するなどの措置を実施してくれるでしょう。

当て逃げで前科がつくと今後の社会生活にさまざまな支障が生じる

当て逃げ事件で逮捕・起訴されると、前科がつく可能性が高まります(実刑判決だけではなく、執行猶予付き判決・罰金刑でも前科扱いです)。

そして、前科がつくと、今後の社会生活に以下のデメリットが生じます。

  • 前科情報は履歴書の賞罰欄への記載義務が生じる(就職活動・転職活動が困難になる)
  • 前科を理由に就業制限が生じる職種・資格がある(士業、金融業、警備員など)
  • 前科は法定離婚事由に該当するので、配偶者からの離婚申し出を拒否できない
  • 離婚問題に発展した場合、当て逃げ犯側に帰責事由があるため、慰謝料・財産分与・親権・養育費などの争いで不利になる
  • 前科を理由にパスポートやビザ発給に制限が加わると、自由に海外渡航できなくなる
  • 前科者が再犯に及ぶと、刑事処分や判決内容が重くなる可能性が高い

「前科によるデメリットを絶対に避けたい」と考えるなら、最低でも「検察官による起訴処分」を回避しなければいけません

そのためには、当て逃げ事件が警察に発覚する前から、自首や示談交渉などが重要な防御活動になるので、できるだけ早いタイミングで弁護士へご相談のうえ、早期の刑事手続き終結に向けて尽力してもらいましょう。

当て逃げ事件が報道されると過度な社会的制裁リスクに晒される

近年、当て逃げ事件が捜査機関に発覚する前の段階で、ドライブレコーダー映像や防犯カメラ映像がSNSや動画投稿サイトに投稿されて炎上・拡散する事態が頻発しています。

また、インターネットを騒がしていることを理由にテレビ報道されるケースも多いです。

仮に当て逃げ事件が微罪処分や不起訴処分で済んだとしても、当て逃げ犯の身元が特定されたり、個人情報が流出して誹謗中傷等が寄せられる可能性も否定できません。

このようなリスクを回避するには、「早期に被害者と示談交渉を進めて当て逃げ事件の円満解決を実現すること」「拡散された個人情報等に対して粛々と削除申請などの法的措置を講じること」が重要だと考えられます。刑事弁護を専門に扱っている弁護士なら刑事手続き以外の場面にも細やかな配慮を期待できるでしょう。

当て逃げをしたときに弁護士へ相談するメリット4つ

当て逃げをして後日逮捕に怯えている方や、ご家族が当て逃げで逮捕された方は、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談することをおすすめします。

なぜなら、刑事事件の実績豊富な弁護士に相談することで、以下4点のメリットを得られるからです。

  1. 当て逃げ事件が警察に発覚する前なら「自首」の是非を検討してくれる
  2. 当て逃げ事件の被害者との間で早期に示談交渉を開始してくれる
  3. 当て逃げで逮捕された後でも少しでも有利な刑事処分獲得を目指してくれる
  4. 当て逃げ事件の刑事責任以外のトラブルにもアドバイスを提供してくれる

なお、当て逃げ事件を起こして自分の車両に損壊や故障があるなら、加入している任意保険会社に連絡をして対応を一任するのも選択肢のひとつでしょう。任意保険の特典として「弁護士特約」が付帯されているのなら、これを利用して弁護士に示談交渉等を任せることができます。

ただし、当て逃げ事件が刑事事件に発展した場合には、示談交渉だけではなく刑事事件に強い専門家に相談した方が大きなメリットを得られることもあるので、別途私選弁護人を選任する可能性も常に視野に入れておくべきでしょう。

当て逃げについて自首するメリットを教えてくれる

当て逃げ事件について被害届が提出される前で、警察が捜査活動を実施していない状況なら、「自首」が有効な防御活動になります。

自首とは、「当て逃げ事件がまだ捜査機関に発覚しない前に、犯人自ら進んで当て逃げ行為に及んだ事実を申告し、刑事処罰を求める意思表示」のことです(刑法第42条第1項)。

自首をした場合、「刑の任意的減軽」というメリットを得られます。たとえば、「自首がなければ当て逃げ行為によって実刑判決が下される可能性があったところ、自首をして自ら犯行を申告した点が評価されて、執行猶予付き判決が付される」というケースが挙げられるでしょう。

ただし、すでに被害届提出済みで警察が捜査活動を開始している段階で自首をしても「刑の任意的減軽」というメリットは得られません。また、自首をしたからといって刑事訴追の回避を免れることが確約されるわけではないので、「自首をしなければ逃げ切れたのに、自首をしてしまったから逮捕・起訴されてしまった」という事態にも陥りかねない点に注意が必要です。

いつ被害届が受理されて捜査活動がスタートするか分からない状況なので、刑事事件の経験豊富に自首するべきか否かを冷静に判断してもらいましょう

当て逃げ事件の被害者と示談交渉を進めてくれる

刑事事件に強い弁護士に相談すれば、当て逃げ事件の被害者との間で早期に示談交渉を進めてくれます

示談とは「当て逃げ事件の当事者同士で解決策について直接話し合いを行い和解契約を締結すること」です。

たとえば、当て逃げ事件について被害届提出前に示談が成立すれば、示談金を支払う代わりに被害届の提出を阻止できる(当て逃げ事件の刑事事件化を回避できる)でしょう。また、すでに当て逃げ事件の捜査活動が開始している場合でも、示談成立によって被害届・告訴状を取り下げてもらえるので、軽い刑事処分(微罪処分・不起訴処分・勾留回避・執行猶予付き判決等)を獲得しやすくなります

なお、当て逃げ事件の示談金の相場は事件の詳細によって異なります。一般的な当て逃げ事件では、「被害弁償代に相応の慰謝料(数万円~数十万円程度)」の金額が示談金として設定されることが多いです。

示談金の釣り上げや交渉に応じてもらえないリスクを回避したいなら、かならず示談実績豊富な弁護士に交渉を代理してもらいましょう

当て逃げで逮捕されたとしても軽い刑事処分獲得を目指してくれる

刑事事件や交通事犯弁護に強い専門家に相談すれば、少しでも軽い刑事処分や有利な刑事手続き獲得に向けて尽力してくれるでしょう。

ここからは、当て逃げ事件が立件されたときに目指すべき刑事処分等について解説します。

微罪処分

当て逃げの容疑で逮捕されたり、在宅事件として任意の事情聴取を受けている段階なら、「微罪処分」獲得を目指すのが重要です。

微罪処分とは、「当て逃げ事件を送検せずに、警察限りの判断で刑事手続きを終結させる事件処理類型」のことです(刑事訴訟法第246条但書、犯罪捜査規範第198条)。

本来、警察が捜査活動を展開した刑事事件は検察官に送致したうえで最終判断を仰ぐのが原則ですが(同法第246条本文)、刑事手続き簡素化のために、以下の要件を満たす事件では、例外措置として警察限りの判断で刑事手続きを終結できるとされています。

  • 検察官が事前に指定した軽微な犯罪類型に該当すること(窃盗罪など)
  • 犯情が軽微であること(当て逃げに気付かなかった、現場から離れたことに同情すべき理由があった等)
  • 当て逃げによる被害が軽微であること(被害額2万円以内が目安、人身事故の場合には全治1週間程度)
  • 当て逃げ事件の被害者との示談交渉が円滑に進んでいること、示談成立済み
  • 素行不良者ではないこと(前科・前歴なし)
  • 家族や親族、上司などの身元引受人がいること

当て逃げ事件が微罪処分の対象になれば、その時点で刑事手続きは終了します。長期の身柄拘束もなければ、起訴される不安に怯える必要もありません

ただし、特に当て逃げの容疑で逮捕されてしまった場合には、微罪処分獲得までに防御活動に許された時間は最大で48時間までしかない点に注意が必要です。送検されると起訴処分のリスクと隣り合わせになってしまうので、できるだけ早い段階で弁護士に依頼をして示談交渉を進めてもらいましょう。

不起訴処分(起訴猶予)

当て逃げの容疑で逮捕・送検された場合は、「不起訴処分(起訴猶予処分)獲得」が防御活動の目標になります。

先ほど紹介したように、日本の刑事裁判実務では、裁判にかけられた時点(検察官が起訴処分を下した時点)で有罪になることがほぼ確定します。つまり、「有罪になりたくない」「前科をつけたくない」と希望するなら、なんとしても不起訴処分を獲得しなければいけないということです。

そして、不起訴処分は以下3種類に分類されるので、当て逃げ事件を起こしたこと自体に間違いがなくても、防御活動次第では不起訴処分獲得の余地が残されています

  • 嫌疑なし:当て逃げ事件を起こした疑いがない場合
  • 嫌疑不十分:当て逃げ事件を起こした容疑はかかっているが、公判を維持できるほどの証拠が存在しない場合
  • 起訴猶予:当て逃げ事件を起こしたことは間違いないが、反省の態度や示談の成否等を総合的に考慮すると刑事裁判にかける必要がない場合

ただし、特に当て逃げの容疑で逮捕された場合には、検察官が起訴・不起訴を決定するまで72時間しか猶予が与えられていません(勾留された場合は最大23日間)。

したがって、当て逃げ事件の容疑をかけられたときには、できるだけ早いタイミングで示談交渉等に強い弁護士に依頼をして、身柄拘束期限が満了するまでに示談成立を目指してもらうべきでしょう。

保釈請求

当て逃げの容疑で逮捕・起訴された場合には、すみやかに「保釈請求手続き」を履践する必要があります。なぜなら、起訴後の勾留が認められると公判期日までの数カ月間中も身柄拘束が続くので(刑事訴訟法第60条第1項、第2項)、社会生活に回復し難いほど深刻なデメリットが生じるからです(たとえば、数カ月以上会社を休むだけで、懲戒解雇処分が下されても文句は言えないでしょう)。

ほとんどの当て逃げ事件では「権利保釈」が認められるので、検察官による起訴処分が下された時点で、保釈保証金の納付準備などについて弁護士のアドバイスを参考にしてください。また、権利保釈が認められない場合でも、裁量保釈義務的保釈という手段で身柄釈放を実現する道も残されているので、この点も合わせて弁護士に相談しましょう。

  • 権利保釈:保釈除外事由(逃亡のおそれ等)が存在しない限り認められる保釈
  • 裁量保釈:裁判官の裁量によって認められる保釈
  • 義務的保釈;身柄拘束期間が不当に長期化している場合に裁判官が職権で認める保釈

略式手続き

当て逃げ事件について起訴処分が下される場合、「略式手続き(略式起訴・略式裁判・略式命令)」を利用するのも選択肢のひとつです。

略式手続きとは、「簡易裁判所の管轄に属する刑事事件について100万円以下の罰金刑が想定される場合に、被疑者側の同意があるときに限り、公開の刑事裁判を省略して簡易・簡便な形で罰金刑を確定させる裁判手続き」のことです(刑事訴訟法第461条)。

分かりやすく表現すると、検察官が公訴提起する段階で「公判において罰金刑を求刑すること」がほぼ確定的な場合に、わざわざ数カ月後の刑事裁判を経るのではなく、公訴提起段階で罰金刑を確定できる、ということです。

公開の刑事裁判で反論を展開する機会を放棄することにはなりますが、公訴提起段階で刑事手続きが終結するので手続き遂行の負担を大幅に軽減できるでしょう。

執行猶予

シンプルな当て逃げ事件のケースでは考えにくいですが、酩酊状態で自動車を運転させて複数の当て逃げ事件を同時に起こしたような悪質な事案では、初犯でも実刑判決が下される可能性があります。

実刑判決が確定すると刑期を満了するまで刑務所に収監されるので、社会復帰の難易度が格段に高くなってしまいます。そのため、当て逃げ事件が刑事裁判にかけられた場合には、「執行猶予付き判決獲得」を目指すのが防御活動の重要課題になるでしょう。

執行猶予付き判決を獲得するには、公判で自首・情状などを丁寧に主張・立証しなければいけません。刑事裁判経験豊富な弁護士にご依頼のうえ、適切な防御活動を展開してもらいましょう。

当て逃げで生じる刑事責任以外の問題もケアしてくれる

当て逃げ事件を起こした場合、刑事責任以外にも以下の責任が生じます。当て逃げ事件について弁護士に相談すれば、今後どのような法的責任が発生するかについて丁寧に解説してもらえるでしょう。

  • 民事責任
  • 行政責任

まず、当て逃げ行為は「不法行為」なので、被害者に生じた損害を賠償しなければいけません。修繕費・代車費用などはすべて加害者側の負担になります(走行中の車両同士が接触したようなケースでは過失割合に基づいて賠償額が決定されます)。

次に、当て逃げ事件を起こした場合には、運転免許証の点数・効力に影響も生じます。

具体的には、「危険防止措置義務違反の違反点数5点、報告義務違反の違反点数2点、合計7点」が加算されるので、当て逃げ事件前までの累積違反点数が0点の人でも30日間の免許停止処分を回避できません。また、過去に行政処分を受けた経歴がある場合には、「1回の行政処分歴で90日間の免許停止」「2回以上の行政処分歴で免許取消しと1年間の欠格」という重い行政罰が科されます。

当て逃げで逮捕されると実刑判決のリスクも生じる!早期円満関係のためにまずは弁護士へ相談を

「少しぶつけただけだから」「誰も怪我させていないので黙って逃げても大丈夫だろう」という安易な判断で当て逃げ行為に及ぶのは危険です。

被害届の受理によって捜査活動がスタートすると、簡単に身元が特定され、場合によっては、逮捕・起訴される可能性も生じかねません。

当て逃げ事件を起こしたときは、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談するのが最善の防御活動です。早期の示談交渉によって刑事手続きが有利になり、民事的紛争も穏便な解決を実現できるでしょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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