暴行をしてその場を逃げてしまった場合、現場ではすぐに警察を呼ばれて捜査が開始されていることでしょう。そして、容疑が固まり次第、逮捕状を請求して通常逮捕という流れが一般的です。
今後、万が一にも逮捕されてしまうことがあれば、社会生活に与える影響は甚大です。そのため、その場を逃げてしまった場合であっても、冷静になって正しく対処する必要があります。
この記事では、暴行で逃げてしまった場合に起こり得る今後の流れや、今後の正しい対処法について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
目次
暴行事件が発生した現場の流れ
暴行をして逃げてしまった場合、加害者側は逃げられたとしても現場ではすぐに警察へ連絡を行い、警察官が急行していることでしょう。まずは、暴行事件が発生した現場では、その後何が起きているのか?について詳しく解説します。
1.被害者が警察へ通報
まず、暴行を行った現場では、被害者が警察へ通報していることでしょう。警察は、被疑者が逃亡したことを把握し、その場で被害状況などを聴取します。
また、同時に被疑者の細かい状況を聞いた上で他の警察官へ共有します。もし、事件現場周囲で似たような人物がいた場合は、職務質問を行うなどして被疑者の発見を目指すことでしょう。
ちなみに、暴行罪は申告罪ではありません。よって、被害者からの申告がなくても警察官等は、暴行の捜査が可能です。
申告罪とは、被害者からの申告がなければ捜査できない犯罪のことを言います。つまり、その犯罪を行った事実があっても、被害者が申告をしなければ捜査されることもなく、逮捕される可能性もありません。たとえば、名誉毀損罪や器物損壊罪が申告罪に該当します。
2.被害者が被害届を提出
暴行事件が発生した現場では、被害者が警察官へ被害届を出すのが一般的です。被害届とは、暴行事件による被害があったことを届け出ることを言います。
警察官は被害届の提出を拒否することはできませんが、被害届を出されたからといって、捜査を強制できるものではありません。つまり、被害届を出したからといって、絶対に捜査が開始され、逮捕されるものではない点に注意しなければいけません。
しかし、事件を把握し捜査のきっかけになることは間違いありません。暴行罪は、被害届の提出がなくても捜査を開始できる犯罪ですが、被害者からの届出があるかどうかによって、捜査へ与える影響や被疑者に対する処分内容は変わるでしょう。
3.警察が捜査を開始
被害者からの情報を元に、警察が捜査を開始して被疑者の特定、逮捕を目指します。被疑者がその場から逃げてしまっている場合は、聞いた情報や周囲の防犯カメラの情報などを元に捜査を行っていきます。
とくに被害者と被疑者が顔見知りの場合は、早期の逮捕となる可能性が高いでしょう。全く面識のない相手であっても、周囲の防犯カメラ等から洗い出されてしまい、早期に被疑者が特定されていくことでしょう。
その場ではとりあえず逃げ切れたとしても、後から逮捕されてしまう可能性があります。十分に注意してください。
暴行をして逃げてしまった場合のその後
暴行をしてその場を逃げてしまった後の流れは、以下のとおりです。
- 被疑者を特定
- 任意同行もしくは後日逮捕
次に、暴行をして逃げてしまった後に起こり得ることの流れについて解説します。
捜査によって被疑者を特定
捜査機関が暴行事件を把握した時点で捜査を開始します。事件現場から逃亡して間もない場合は、すぐに周囲を捜索して加害者の特徴に合った人に対して職務質問を行うなどして、被疑者特定を目指します。
しかし、逃亡をしてある程度時間がかかってしまっている場合や遠くに逃亡してしまっている場合は、すぐに発見するのは難しいでしょう。そういった場合は、捜査を進めて被疑者を特定し、逮捕状を請求して後日逮捕という流れになります。
任意同行もしくは後日逮捕(通常逮捕)
暴行事件を起こしてその場から逃げてしまった場合、現場では被害者から加害者の情報等を聞き出しています。そのため、周囲に似た人物がいた場合は、その場で職務質問等を行います。
もし、暴行事件を行った被疑者であることが発覚した場合は、任意同行を求めて容疑が固まり次第、通常逮捕という流れが一般的でしょう。もしくは、現行犯逮捕となる可能性があります。
ちなみに、逮捕には以下3つの種類があります。
【逮捕の種類】
- 逮捕状を請求して逮捕することを「通常逮捕」と言う
- 現に犯罪を行い、もしくは行い終えたものを逮捕する場合は「現行犯逮捕」と言い、逮捕状がなくても逮捕可能
- 重大な事件を起こした犯罪者などを逮捕状がない状態で逮捕することを「緊急逮捕」と言い、すぐに逮捕状を請求しなければいけない
暴行事件を起こしてその場を逃げてしまった場合は、すぐに逮捕する場合は現行犯逮捕となります。しかし、暴行を犯した被疑者である事実が不明な場合は、任意同行を求めて警察署で取り調べを行い、逮捕状を請求するケースもあります。
また、暴行事件を犯したその日は逃げ切って自宅へ戻れたとしましょう。その場合は、捜査機関で捜査を開始します。容疑が固まり次第逮捕状を請求して後日逮捕(通常逮捕)となる可能性もあるでしょう。
他にも、逮捕容疑が固まらない場合は自宅等に警察官が来て任意同行を求められ、後から逮捕状を請求されて逮捕、ということもあり得ます。
暴行で逮捕された場合の罪状と刑罰
暴行で逮捕された場合の罪状は「暴行罪」ですが、被害者に傷害を負わせてしまった場合はより重い「傷害罪」や「傷害致死罪」が適用される可能性があります。自分自身では「暴行罪」と思っているかもしれませんが、実際は異なる罪状となるかもしれません。
次に、暴行罪で逮捕されてしまった場合の罪状と刑罰についても詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
暴行罪
暴行罪は刑法によって、以下のとおり明記されています。
(暴行)
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。引用:刑法|第208条
暴行は、人の身体あるいは人が身につけているものを対象として加害することを意味します。たとえば、以下のような行為が暴行罪となり得ます。
- 胸ぐらを掴む行為
- 物を投げつける
- 殴る・蹴る
- 突き飛ばす
- 他人の体に体液をかける
上記のような行為を行って、相手に対して傷害を与えなかった場合は暴行罪として処罰されます。暴行罪が適用された場合は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金に処されます。
傷害罪
傷害罪は、刑法によって以下のとおり明記されています。
(傷害)
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
引用:刑法|第204条
傷害罪は、「人の身体に傷害した者」が同罪によって処罰されます。内容自体は暴行罪と同じで、例を挙げると以下のとおりとなります。
- 胸ぐらを掴む行為
- 物を投げつける
- 殴る・蹴る
- 突き飛ばす
- 他人の体に体液をかける
ただし、傷害罪が適用されるためには上記の行為によって「傷害が発生すること」が条件です。
つまり、胸ぐらを掴んだ際に相手の身体が大きく揺さぶられ、脳に大きな傷害が残った場合や、物を投げつけて傷害を負った場合が該当します。そのため、「暴行」をしたつもりでその場を逃げたとしても、実は「傷害」だったということも十分にあり得ます。
暴行罪と傷害罪の違いは「被害者に傷害が発生したかどうか」です。加害者側が加えた暴行の程度によって判断される物ではない点に十分注意してください。
たとえば、加害者は「軽く押しただけ」であっても、その場で被害者が転倒して傷害を負った場合は立派な傷害罪です。
そして、傷害罪が適用された場合は、懲役15年以下もしくは50万円以下の罰金に処されます。暴行罪と比較しても非常に重たい罪が適用されるため、十分に注意してください。
傷害致死罪
傷害致死罪は刑法によって、以下のとおり明記されています。
(傷害致死)
第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。
引用:刑法|205条
傷害致死とは傷害の結果、被害者を死なせてしまった場合に適用される法律です。たとえば、自分は軽く相手を殴ったつもり(暴行のつもり)であっても、被害者がそのまま転倒し、頭を強く打ち付けて死亡してしまった場合などは傷害致死になり得ます。
自分自身は「そんなつもりはなかった」「軽く殴ったつもりだった」と言うかもしれませんが、あくまでも結果論です。加害者側の意思は関係ありません。そもそも暴行を加えなければ、本罪に問われることもないためです
万が一、暴行の果てに傷害致死罪が適用された場合は、3年以上の有期懲役です。罰金刑はなく、執行猶予がつかなければ刑務所内で生活を送ることになります。
暴行等で逮捕された場合の流れ
暴行行為を行ってその場を離れた場合、逮捕されてしまう可能性があるため注意しなければいけません。万が一逮捕されてしまった場合、今後はどういった流れでことが進んで行ってしまうのか?について詳しく解説します。
通常逮捕後48時間以内に事件を送致
暴行を行った場合、通常逮捕や現行犯逮捕などで逮捕される可能性があります。いずれの逮捕も「逮捕」であることに変わりはなく、手続き自体に大きな違いはありません。
まず、警察官は逮捕をした時間から48時間以内に、検察官へ事件を送致しなければいけません。暴行を犯した被疑者は、事件が送致されるまでの48時間は警察署内にある留置施設に収容され、取り調べを受けることになります。
逮捕後の48時間は、土日祝日等は一切関係ありません。また、逮捕された時点で1回だけ当番弁護士を呼ぶことができます。
当番弁護士とは、無料で1回だけ弁護士に事件のことを相談できる制度です。被疑者本人もしくは被疑者の家族から警察官等へ申し出ることで呼んでもらえます。
送致から24時間以内に勾留請求の有無を判断
事件を受け取った検察官は、警察官が行った取り調べの証拠や自ら被疑者と話し合った内容を元に勾留請求の有無を判断します。判断期限は24時間以内です。
この時点で最大72時間(3日間)勾留されることになります。働いている人であれば勤務先に、学校へ通っている人であれば学校側に迷惑がかかったり心配させたりしてしまうことになるでしょう。
勾留請求が認められた場合は最大20日間の勾留
検察官が勾留の必要があると判断した場合、被疑者を連れて裁判所へ行きます。勾留は、検察官の判断のみで行うことはできず、裁判官の決定を持って勾留が決まります。そのため、勾留までの流れは以下のとおりです。
- 逮捕
- 警察が検察へ事件を送致
- 検察が勾留が必要と判断
- 被疑者を連れて裁判所へ行く
- 裁判官が勾留の有無を決定
裁判所では、裁判官が被疑者に対して勾留質問を行います。勾留質問では、被疑者の言い分等を確認します。そして、最終的に勾留の有無を判断する流れです。
検察官が勾留は必要ないと判断した場合や、裁判官が勾留の必要がないと判断した場合は、即時釈放されて日常生活に戻れます。ただし、在宅捜査に切り替わるのみであって、検察官や裁判官からの呼び出しには対応しなければいけません。
また、勾留請求が認められた場合は、10日間、延長が認められた場合はさらに10日間の合計20日間勾留され続けます。ここまでで最大23日間勾留され続けることになり、社会的影響もとても大きくなるでしょう。
そして、勾留期間中に検察官は事件を起訴するかどうかを判断します。もし、不起訴処分となった場合は、事件については終了し処罰を受けることはありません。
起訴された場合は、呼び名が被疑者から被告人となり、留置所から拘置所へ移送されます。起訴後の勾留に期限はないため、判決を受けるまでの間は拘置所内で過ごすことになります。
刑事裁判・公判を受ける
起訴された場合は、そのまま刑事裁判を受けることになります。一般的な刑事裁判では、複数回の公判を経て最終的に判決を言い渡されます。
判決に従って刑に服する
裁判によって、最終的に判決が確定します。暴行罪が成立した場合は2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金です。そのため、懲役刑の可能性もある点に注意しなければいけません。
もし、執行猶予がつかなければ刑が確定次第、刑務所へ移送されて刑罰を受けることになります。罰金刑の場合は罰金を支払えればそのまま釈放されますが、支払いができなければ1日5,000円程度で労役に服します。
暴行で逃げてしまった場合のその後の正しい対応方法
暴行を犯したが、怖くなってそのまま逃げてしまうこともあるでしょう。本来であれば、直ちに現場に戻るのが得策です。
なぜなら、暴行を受けた相手が意識を失っている可能性があったり、重度の傷害を負ってしまったりしている可能性があるためです。もし、そのまま逃げて万が一にも相手が死亡してしまえば、傷害致死罪になり得ます。
常に、最悪の事態を想定して行動をするべきです。とはいえ、怖くなって逃げてしまった以上、すぐに現場に戻るのも怖いのが本音でしょう。
次に、暴行を加えてその場を逃げてしまったときの対処法についても詳しく解説します。
弁護士へ相談をする
暴行を加えてその場を逃げてしまった場合、すぐにでも弁護士へ相談をしましょう。相談をする際は、刑事事件に強い弁護士を探して相談をしてください。
弁護士へ相談をしておけば、その後の対処法を行う際に手助けをしてもらえます。また、早期の釈放を目指せるように動いてくれます。
そして、暴行を加えてその場を逃げてしまった場合、現場で起こっていることを想像しなければいけません。被害者は、当然警察に通報をして捜査が開始されていることでしょう。警察が捜査を行なっているということは、遅かれ早かれ逮捕される可能性があります。
とくに、被害者と顔見知りの場合は逃げてもすぐに捕まる可能性が高いです。そのため、すぐに弁護士へ相談をして対応方法を検討しておくのが得策でしょう。
警察署へ出頭する
弁護士へ相談したのち、警察署への出頭を検討しましょう。暴行を加えて逃げてしまった場合、遅かれ早かれ逮捕される可能性があるため、早めに出頭してしまったほうが良いです。
出頭することによって、反省している様子が見受けられ、早期釈放される可能性が高まります。また、出頭時は弁護士が一緒に付き添ってくれるため、安心してください。
被害者と示談交渉を進めておく
弁護士への相談が完了した時点で、早期に被害者との示談交渉を進めておきましょう。示談交渉成立の有無は、暴行事件に対する刑罰の決定に大きな影響を与えます。
とくに、示談交渉が成立していて、被害者が刑事処分を望んでいない場合などは逮捕されない可能性があります。そのため、できるだけ早めに交渉を進めておくのが得策です。
ちなみに、示談交渉は弁護士に依頼して行うのが一般的です。当事者間で示談交渉を行おうとすると、被害者対加害者の対応になってしまうためスムーズに交渉が進みません。そのため、必ず第三者(弁護士)に相談をしましょう。
なお、すぐに示談金を支払えない事情があっても、まずは交渉を進めておくのが得策です。「しっかり働いて支払いをします」などと約束をして交渉を進めることも可能であるため、まずは相談してください。
反省の意を示す
逮捕された場合、もしくは取り調べを受けた際はしっかりと反省している態度を示しましょう。また、自分に言い分がある場合であっても素直にやってしまったことを認め、やってしまったことに対する謝罪は行うべきでしょう。
言い訳ばかりを繰り返していると反省していないと思われてしまい、今後の手続き等が圧倒的不利になります。
暴行をして逃げてしまった場合によくある質問
暴行を加えてその場を逃げてしまった場合によくある質問を紹介します。
Q.今後、逮捕される可能性はありますか?
A.暴行を犯してその場から逃げた場合、今後逮捕される可能性は十分に考えられます。
まず、逮捕の種類は「現行犯逮捕」「通常逮捕」「緊急逮捕」の3つです。たとえば、暴行現場であなたが取り押さえられ、その場で逮捕された場合は現行犯逮捕によって逮捕されます。
しかし、その場を逃げてしまっている時点で現行犯逮捕は成立しません。そして、緊急逮捕は重大な事件を犯した犯人が目の前にいる場合、逮捕状がなくても逮捕できる方法です。暴行罪の場合は緊急逮捕の要件である重大な事件に該当しないため、認められません。
よって、今後起こり得る逮捕の種類は通常逮捕です。通常逮捕は、警察官等が逮捕状を請求して発布され次第、被疑者に対して逮捕状を見せて逮捕するという流れです。
暴行現場から逃げてしまっているため、今後、被害者からの話や周囲の話、防犯カメラの映像等さまざまな状況による捜査を行って逮捕状を請求するのが一般的です。そのため、今後通常逮捕されてしまう可能性は十分に考えられます。
ただし、暴行を行った事実があっても逮捕されない可能性があります。逮捕せずに任意聴取を行い、在宅によって捜査を進めていく方法もあるためです。
逮捕は被疑者の身体を拘束する手続きでもあるため、「逃亡の恐れ」や「証拠隠滅の可能性」が低い場合はあえて逮捕をしません。ただ、逮捕されなくても起訴されて裁判に発展する可能性はあるため注意してください。
なお、任意聴取の場合であっても「ある日突然、家の前に警察官がいた」という状況はあり得ます。場合によっては、任意聴取→通常逮捕という流れもあり得るので注意してください。
Q.相手が被害届を出さなければ逮捕されないですか?
A.暴行罪は親告罪ではないため、逮捕の可能性があります。
親告罪とは、被害者からの申告がなければ捜査できない事件のことです。暴行罪は親告罪には該当しないため、被害者からの被害届が出ていなくても捜査や立件、逮捕が可能です。
しかし、実務上は暴行罪は比較的軽微な犯罪であることもあり、被害者からの親告(被害届)がなければ立件しません。そのため、被害届が出されなければ逮捕される可能性はとても低いでしょう。
ただし、暴行罪ではなく傷害罪や傷害致死罪等さらに重い罪状が適用される場合は、立件されて逮捕される可能性も十分にあります。また、被害者を脅して被害届を出させなかったり取り下げさせたりした場合も立件されます。
Q.暴行罪と傷害罪の違いは何ですか?
A.被害者に傷害が発生しているかどうかです。
行為の結果、被害者に「傷害」が発生している場合は、傷害罪が適用されます。たとえば、相手をこぶしで殴った結果、被害者が顔面骨骨折した場合は傷害罪です。しかし、平手叩いただけであって何ら傷害が発生しなかった場合は暴行罪です。
ただし、「相手を平手で叩いた」という行為が原因で傷害が発生していなくても、平手で叩いたことによってよろめいて転倒し、頭を打ち付けた場合は傷害罪となり得ます。
つまり、「結果的に被害者に傷害を負わせたかどうか?」が暴行罪と傷害罪の違いです。自分自身は相手に傷害を負わせるつもりがなかったとしても、結果的に傷害が残れば厳しく処罰されます。
Q.自首すれば刑は軽くなりますか?
A.自首をした場合は、刑を軽くすることができると法律で決められています。
自首については刑法で以下のとおり明記されています。
(自首等)
第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
ただし、自首の定義は条文にも記載されているとおり「捜査機関に発覚する前に自首したとき」です。つまり、現時点で暴行をして逃げてしまっている時点で、自首の成立要件は満たせていない可能性が高いです。
なぜなら、暴行現場から逃げている時点で被害者は警察へ通報している可能性が高いためです。警察へ通報している時点で「捜査機関に発覚する前」の要件を満たしていません。よって自首は成立しません。
これから警察署へ行って「自分が暴行を加えました」と伝えても、これは出頭扱いになります。出頭での罪の軽減は刑法では認められていません。とはいえ、「自ら出頭してきた」という事実が影響を与える可能性はあるため無駄ではないでしょう。
Q.暴行の示談金相場はいくらくらいですか?
A.暴行罪の場合は10万円〜30万円程度で和解成立するケースが多いです。
そもそも暴行罪の場合は、相手にケガを負わせていません。そのため、治療費や休業補償といった賠償金を支払う必要はありません。あくまでも、精神的苦痛に対する賠償金という意味合いが強いです。よって、相場は10万円〜30万円程度となります。
ただし、上記金額はあくまでも相場であるため、示談交渉を進めていく中でさらに高額になる可能性も考えられます。また、傷害罪となった場合は相手の治療費等も加算されるため、さらに高額な金額で示談交渉を進めていかなければいけません。
まとめ
今回は、暴行を犯して逃げてしまった場合に起こり得ることについて解説しました。
暴行罪を犯して逃げた場合、現場ではすぐに警察を呼んで捜査が行われていることでしょう。その後、逮捕状を請求されて逮捕・勾留といった流れになる可能性があります。
また、特に注意しなければいけないのは、暴行ではなく傷害罪が適用されてしまう可能性です。相手に傷害を負わせてしまった場合は、より重い傷害罪によって厳しく処罰されるかもしれません。
いずれにせよ、早めに行動をして対処しておくことで、今後の生活に与える影響を最小限に抑えられます。今回紹介した内容を踏まえ、正しく行動されてみてはいかがでしょうか。