痴漢で捕まってしまった場合、弁護士への依頼を検討したほうが良いです。そもそも、本当に痴漢をしてしまった場合は、そのまま逮捕されるため取り調べに対するアドバイスや示談交渉といったサポートを行ってもらうため、専門家の助けが必要不可欠です。
また、中には痴漢冤罪で容疑をかけられてしまうケースもあるでしょう。この場合も、早期に弁護士へ依頼することで最悪の事態を回避し、早期の社会復帰を目指せます。
しかし「どのタイミングで弁護士へ相談をすれば良いのだろうか?」と悩まれている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、痴漢で捕まった場合に弁護士へ依頼をするベストなタイミングはいつか?について、詳しく解説します。
目次
【状況別】痴漢で捕まった際に弁護士へ依頼するタイミング
痴漢で捕まってしまった場合は、早期に弁護士へ相談をしたほうが良いです。つまり、もっともベストなタイミングは「最短」ということになりますが、状況により最短は異なります。
まずは、状況別に痴漢で捕まった際に弁護士へ依頼するタイミングについて解説します。
冤罪(実際に痴漢を行っていない)の場合
痴漢を実際に行っていないにも関わらず、その場で捕まってしまった場合は、「即時」弁護士を呼びましょう。タイミングとしては、痴漢を疑われたその時点です。たとえば電車内であれば、電車を降りたタイミングもしくは電車内でも問題ありません。
一般的に、痴漢で捕まってしまうと以下の流れでことが進んでいきます。
- 痴漢(冤罪)発生
- 駅員が来る
- 警察を呼ぶ・警察が来る
- その場で現行犯逮捕
痴漢冤罪でもっとも重要なことは、逮捕を回避することです。一度逮捕されてしまうと、そのまま身柄を拘束されてしまい、無実を証明するのが困難になってしまいます。そのまま起訴をされてしまうと、たとえ無実であったとしても有罪判決が下されてしまいます。
そのため、最短で弁護士を呼ぶ必要があります。このとき「私は痴漢をやっていない!」と周囲に伝え、証人を確保しておくことも大切です。
その後、弁護士が現場へ駆けつけてくれるため、そのまま弁護士へ対応を依頼すると良いでしょう。弁護士から微物検査の依頼等を行い、実際に繊維等が発見できなければ現行犯逮捕を回避できる可能性が高いです。冤罪の場合は、とにかく早めに弁護士へ依頼することを意識しましょう。
痴漢行為を行ってしまった場合
実際に痴漢をしてしまった場合は、そのまま警察が来て現行犯逮捕となります。そのため、できれば早めに弁護士を呼んでおいたほうが良いものの、冤罪の場合よりも焦る必要はありません。
なぜなら、そもそも痴漢行為を行ってしまっている以上、現行犯逮捕は免れません。そのため、弁護士へ相談をしたところでこの結果に変わりはありません。
しかし、早期に弁護士へ相談をしておくことで取り調べに対する対応方法等のアドバイスを行ってくれます。また、被害者との示談交渉も進めてもらえるため、早期の釈放を目指せます。
なお、現行犯逮捕後であっても「弁護士を呼んでほしい」と伝えれば、必ず呼んでもらえます。お付き合いのある弁護士がいなければ、家族等から呼んでもらうこともできるため安心してください。
偶然触れてしまった場合
偶然触れてしまった場合、その場で騒ぎになっているかどうかが問題になります。たとえば、非常に混雑しており、人と人が密着するような空間で触れてしまったような場合は痴漢に問われる可能性は低いです。
この場合、とくに弁護士を呼ばなくても良いでしょう。なぜなら、そもそも捜査の対象とはならないためです。
ただし、状況によっては痴漢が疑われてしまう可能性があります。たとえ「故意ではない」と言っても、状況次第では故意があったものとして疑われてしまいます。実際、故意がなかったことを証明するのは非常に困難です。
そのため、状況的に不利であると感じるならば早期に弁護士へ相談をしたほうが身のためでしょう。
痴漢を犯したが、その場ではバレていない場合
痴漢を犯したがその場ではバレていない場合、後日逮捕(通常逮捕)の可能性があります。しかし、実際に捜査の手が及ぶかどうかはわかりません。
今後は2度と痴漢を行わず、不安なのであれば弁護士に相談をした上で出頭や自首を検討しましょう。
痴漢で捕まった場合に弁護士を依頼できる3つのタイミング
痴漢で捕まってしまった場合、弁護士を依頼できるタイミングは大きく分けて3パターンあります。次に、弁護士を呼べるタイミングについても詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
いつでも依頼できるのが「私選弁護人制度」
いつでも自分のタイミングで呼べるのが「私選弁護人制度」です。私選弁護人は、自分自身で弁護人を選任してお金を支払って呼ぶことができます。
私選弁護人はたとえば痴漢を疑われた直後や逮捕された直後等、いつでも好きなタイミングで助けを呼ぶことができる点がメリットです。
もともと付き合いのない弁護人であっても、検索結果等から「痴漢に強い弁護人」を呼ぶことができます。もし、逮捕後で自由にスマホ等を操作できない場合であっても、家族経由で呼べます。もしくは、警察官に「弁護士を呼んでほしい」と伝えれば呼んでもらえるため安心してください。
逮捕後に一度だけ依頼をできるのが「当番弁護人制度」
逮捕後に一度だけ弁護人を呼べる制度が「当番弁護人制度」です。逮捕後に警察官へ「当番弁護人制度を利用して弁護人を呼びたい」と伝えれば良いです。また、警察官から呼ぶかどうかを尋ねられる場合もあります。その際に「お願いします」と伝えれば良いです。
当番弁護人は、一度だけ無料で呼べますがタイミングは「逮捕後」です。そのため、とくに痴漢冤罪で捕まってしまったような場合では遅いです。そのため、ひとつの知識として「当番弁護人制度がある」ということを覚えておくと良いでしょう。
勾留請求が認められた場合に依頼をできるのが「国選弁護人制度」
逮捕をされると48時間以内に事件が検察官へ送致され、その後さらに24時間以内に勾留請求の有無が判断されます。もし、「勾留が必要である」と判断された場合は、国選弁護人を付けることができます。
通常、私選弁護人を付けるのが原則ですが、費用等を準備できない人に対しては国が選任した弁護人を無料で付けることができるのです。これを国選弁護人制度と言います。
勾留請求が認められると、そのまま起訴されて刑事裁判に移行されるケースが多いです。一度起訴されてしまうと、どれだけ優秀な弁護人であっても無罪を証明するのはとても困難です。そのため、とにかく早め早めに弁護士へ依頼することを心がけましょう。
痴漢で捕まった場合に弁護士へ依頼するメリット
痴漢で捕まった場合は、早期に弁護士へ相談をしたほうが良いです。早期相談をすることで実際に得られる効果・メリットについて詳しく解説します。
取り調べを受ける上でのアドバイスをしてくれる
痴漢行為に限らず、何らかの犯罪行為で捕まってしまった場合は取り調べを受けます。そして、取り調べで話をした内容は良くも悪くもすべてが証拠として扱われます。
そのため、事前に弁護士へ相談をして取り調べを受ける際のアドバイスを受けておくことで、今後の刑罰等に多大な影響を与える可能性があるのです。
逮捕後であれば当番弁護人を呼ぶこともできますが、任意同行の場合では呼ぶことができません。そういった場合も考慮して、私選弁護人への相談を検討しておいたほうが良いでしょう。
早期釈放を目指して動いてくれる
弁護士へ相談をしておくことで、早期の釈放を目指すように動いてくれます。
たとえば、逮捕をされてしまった場合であっても「勾留の必要はない」という方向で動きます。具体的には、「痴漢をしてしまったことを認め、反省しており、逃亡の可能性も低い」などと交渉を進めます。
勾留が認められてしまうと長期間に亘って身柄を拘束され続けます。そのため、仕事や学校など社会生活にも大きな影響を与えてしまいます。
早期の釈放が認められれば、最短3日程度で社会生活へ戻ることも可能です。すぐに釈放されれば、社会生活への影響も少なく済みます。そのため、できるだけ早めに弁護士へ相談をされたほうが良いでしょう。
被害者との示談交渉を進めてくれる
弁護士へ相談をすると、被害者との示談交渉を進めてくれます。痴漢事件において、被害者との示談成立の有無は早期釈放はもちろん、刑罰にも影響を与えます。できるだけ早めに示談交渉を開始し、早期に成立しておくことで社会的な影響も少なく済むでしょう。
示談交渉は被害者と加害者で行うものですが、当人同士で行うことはありません。必ず、被害者対代理人(弁護士)が行うものであるため、早期の弁護士への依頼は必要不可欠です。
刑を軽くするために弁護してくれる
弁護士へ相談をすることで刑罰を軽くするための弁護活動等を行ってくれます。刑事事件においては、可能な限り刑罰を軽くするよう弁護を行ってくれるパートナー的存在となるため、早めに依頼をしてお互いに信頼関係を築いておくと良いでしょう。
痴漢で弁護士に依頼する際によくある質問
痴漢で弁護士へ依頼する際によくある質問を紹介します。
Q.どのような弁護士へ依頼するべきですか?
A.刑事事件に対応しており、痴漢分野に強い弁護士へ相談をしましょう。
弁護士であれば誰でも弁護を行うことはできますが、1,800種類程度あると言われている法律をすべて網羅している専門家はいません。たとえば、刑事事件に特化している弁護士もいれば、民事事件に強い弁護士も存在します。
そのため、前提として刑事事件に対応しており、痴漢分野に対応できる弁護士へ依頼をするべきです。
とくに痴漢で捕まってしまった場合は、できるだけ早めに相談をすることが大切です。急ぎながらも確実に弁護してもらえる弁護士への相談を検討しましょう。
Q.痴漢冤罪に合った場合の正しい対処法を教えてください。
A.冤罪の場合はその場を離れて直ちに弁護士へ相談をしましょう。
明らかに痴漢冤罪でありながら「この人痴漢です!」と言われてしまうケースが稀にあります。万が一、自分が痴漢冤罪の被害者になってしまった場合は、以下のことに注意してください。
- 自分のことを見ていた証人がいれば協力依頼をする
- 初めから「自分はやっていない!」と大きな声で主張し、証人を集める
- 身分を明かし、その場を離れる(身分を貸した時点で私人逮捕は不成立)
- すぐに弁護士へ相談をする
万が一、痴漢冤罪にあわれた場合は上記のことを行ってください。とくに大切なのは、早期に弁護士へ相談をすることです。
Q.痴漢を疑われましたが(冤罪)、とりあえずその場からは離れることができました。一応、弁護士へ相談をするべきですか?
A.痴漢冤罪でその場を離れられても、後から問題が発生する可能性もあるため、弁護士へ相談しておきましょう。
仮に、痴漢を疑われて逃げてしまった場合は、警察官が捜査を開始している可能性があります。後日逮捕(通常逮捕)の可能性もあるため、すぐに弁護士へ相談をして警察へ行って話をすると良いでしょう。
もし、身分を明かしてその場を丸く収めることができたのであれば、あとで被害者から連絡が来る可能性が高いです。そのため、いずれにせよ弁護士へ相談をしたうえで今後の対応方法を確認したほうが良いです。
まとめ
今回は、痴漢で捕まった場合に弁護士を呼ぶタイミングについて解説しました。
弁護士を呼ぶもっとも良いタイミングは「最短」です。痴漢を疑われたとき、直ちに相談をするべきです。早期に弁護士に相談をすることで逮捕を回避できたり早期釈放を目指せたりなどさまざまなメリットが発生します。
痴漢を犯さないということは当然ですが、冤罪事件が発生してしまうケースもあります。そのため、今回解説した内容を知識として入れておいてください。そして、何かあった際にはぜひ役立てていただければ幸いです。