無免許運転で逮捕される可能性はある?罰則規定についても詳しく解説

無免許運転で逮捕される可能性はある?罰則規定についても詳しく解説
無免許運転で逮捕される可能性はある?罰則規定についても詳しく解説

自動車等を運転する資格を持たないまま、公道で自動車等を走行させた場合は「無免許運転」となります。無免許運転は立派な犯罪行為であり、万が一人を死傷させてしまった場合は、懲役刑もあり得ます。

今回は、無免許運転で逮捕された場合の罰則規定や逮捕されてしまった場合の流れなどについて詳しく解説します。

無免許運転で逮捕された場合の罰則規定

無免許運転で逮捕された場合は、刑事罰・行政罰に加え、民事的な責任を負う可能性があります。まずは、無免許運転で逮捕された場合に起こり得る罰則規定について、詳しく解説します。

【刑罰】道路交通法違反

無免許運転は「道路交通法」という法律によって規制されています。具体的には、以下のとおり明記されています。

(無免許運転等の禁止)
第六十四条 何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は一般原動機付自転車を運転してはならない。

引用元:道路交通法|第64条

罰則規定では「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。つまり、無免許運転をしたという事実だけでも、3年以下の実刑判決が下される可能性があるのです。

さらに、無免許運転で人を死傷させた場合などは過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪が適用されます。

過失運転致死傷罪の刑罰は7年以下の懲役または禁錮または100万円以下の罰金です。しかし、無免許で同罪に問われた場合は、10年以下の懲役となり、加重される点に注意が必要です。

また、無免許運転であることを理由に危険運転致死傷罪が適用される可能性もあります。危険運転致死傷罪とは、「危険な状態で運転をしていた場合」が該当します。

たとえば、無免許運転をしているということは、運転スキルがない人が運転していることになります。本来であれば、試験に合格した人にのみ交付されるためです。また、免許を取り消された場合であっても、違反等を繰り返した結果であり、運転スキルが乏しいと判断できます。

よって、「無免許で運転をしている=危険運転をして人を死傷させた」ということになります。もし、危険運転致死傷罪が適用された場合は、怪我を負わせた場合で懲役15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上の有期懲役です。

また、無免許で運転をした場合で人に怪我を負わせた場合は、加重されて6カ月以上の有期懲役になります。

つまり、無免許運転で人に怪我をさせたり死亡させたりした場合は、実刑判決となる可能性が高いと覚えておくと良いでしょう。

【行政罰】違反点数+欠格

無免許運転を行った場合、刑事罰のみならず行政罰も受けます。無免許運転による行政罰の規定は「違反点数25点・欠格期間2年」です。

無免許運転とはいってもさまざまであり、実際に免許証を交付されている人が一時的にその効力が失われている時に運転しているケースもあります。当然無免許運転となり、違反点数が加算されます。

累積で25点以上となった場合は、一発で免許の取消しとなってしまいます。よって現時点で、免許停止処分を受けていたとしても、無免許運転を行った時点で免許の効力自体が失効します。

また、欠格期間は2年間となります。つまり、取消処分書に記載されている日付から2年間は、改めて車の運転免許を取得することができません。

事故を起こした場合は民事上の責任も負う

無免許運転で事故を起こしてしまった場合は、相手に対しても民事上の責任を負います。たとえば、無免許運転で人を死傷させてしまった場合などが該当します。

自賠責保険や任意保険へ加入していれば保障はされるものの、自分自身や同乗者に対する保障は行われません。なぜなら、無免許運転自体が違法行為であるためです。

万が一、自賠責保険に加入していなかったり任意保険に加入していなかったりした場合は、自分自身で賠償をしなければいけません。さらに、「自賠責保険に加入していない=自動車損害賠償保障法違反」となるため、刑罰が加重されます。

無免許運転で逮捕された場合の流れ

無免許運転で逮捕された場合の流れについて解説します。

逮捕

無免許運転は道路交通法によって規制されている法律です。運転する資格を有していないにも関わらず、公道を走った場合は逮捕されてしまう可能性があります。

逮捕は「現行犯逮捕」と「通常逮捕」、「緊急逮捕」の3種類があります。無免許運転の場合は、大半のケースで交通違反や事故を起こし、免許証の提示を求められた際に発覚します。そのため、現行犯逮捕となるケースが多いでしょう。

なお、いずれの逮捕にせよその後の手続き等に差が出るわけではありません。あくまでも「逮捕」であることに変わりはありません。

48時間以内に送致

無免許運転で逮捕をされるとそのまま警察署へいき、取り調べを受けます。その後は、逮捕から48時間を超えない範囲で取り調べを行い、検察官へ事件を送致します。

ただ、無免許運転であっても内容次第では逮捕をせずに在宅捜査を行うケースもあります。たとえば、無免許運転の認識がなく反省をしている場合などが該当します。具体的には、免許証の更新を忘れたまま期限が過ぎて運転をしてしまっていたような場合です。

上記の場合は身柄を拘束する必要がないと判断されるケースが多く、即時釈放されて在宅捜査が行われます。

勾留請求の有無を判断

逮捕されて48時間以内に検察官へ事件を送致されると、さらに24時間以内に勾留請求の必要性を判断します。このときも事件の内容や悪質性などを考慮して、勾留請求を行うかどうかを判断する流れです。

検察官が「勾留の必要はない」と判断すると、即時釈放されて在宅捜査に切り替わります。もし、勾留の必要があると判断された場合は、検察官と裁判所へ行って最終的には裁判官が勾留の有無を判断する流れとなります。

この時点で最大72時間(3日間)もの間は身柄を拘束され続けることになり、社会的な影響も出始めてくるでしょう。

最大20日間の勾留

勾留請求が認められると、初めに10日間の勾留が行われます。その後、さらに延長が認められるとプラス10日で合計20日間もの間、身柄を拘束され続けることになります。合計すると、この時点で23日間です。

なお、勾留請求が認められると私選弁護人がいない人やつけることが難しい人は、国選弁護人が付きます。また、勾留が認められた時点で留置所から拘置所へ移送され、呼び名も被疑者から被告人に変わります。

刑事裁判を受ける

勾留されている場合は20日以内に起訴するか否かを判断します。起訴された場合は、そのまま刑事裁判を受ける流れです。

もし、不起訴となった場合は事件が終結します。また、略式起訴といって裁判手続きを省略して罰金刑のみで終結させる場合もあるなど、その結果はさまざまです。悪質性などを考慮した上で起訴とするか不起訴とするか、略式起訴にするかなどを検察官が決定します。

なお、無免許運転を行った事実があっても不起訴となる可能性はあります。逮捕後に弁護士へ相談をして早期の釈放を目指したり不起訴を目指したりなど、積極的に動きましょう。

判決に従って刑に服する

刑事裁判となった場合は、最終的に判決が下されます。不服があれば控訴・上告を行うことができ、最終的に決定した判決に従って刑に服します。

無免許運転で逮捕された場合はどの程度の刑罰が下される?

無免許運転のみで逮捕された場合、実際にどういった刑罰が下されてしまうのか?と不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。次に、無免許運転を犯した場合の刑罰について詳しく解説します。

初犯の場合は罰金刑となるケースが大半

初犯で無免許運転のみで逮捕されてしまった場合は、罰金刑で済むケースが多いです。とくに、悪質性がないと判断された場合は刑罰も軽くなるでしょう。

たとえば、免許証の更新を忘れたまま運転をしてしまっていたようなケースが該当します。免許の効力がないため、当然無免許運転とはなりますが、初犯であれば刑罰は軽くなります。また、身柄を拘束される可能性も低いでしょう。

2回目以降は執行猶予付き判決もしくは実刑判決

過去に無免許運転で逮捕された経験のある人が、また、同じ罪で逮捕されてしまった場合は、厳しい判決が下されます。なぜなら、悪質性が高いためです。

そのため、2回目以降の無免許運転による逮捕の場合は、執行猶予付き判決または実刑判決となる可能性を覚悟しておいたほうが良いでしょう。

人身事故やその他犯罪も犯している場合は実刑の可能性

無免許運転で人身事故を起こしてしまった場合は、実刑判決となる可能性が高いです。なぜなら、危険運転致死傷や過失運転致死傷罪といった罪に問われるためです。

とくに危険運転致死傷の場合は6カ月以上の有期懲役や1年以上有期懲役となります。当然ながら、執行猶予がつく可能性も低いため注意してください。

無免許運転となり得る状況

無免許運転とは、運転する資格を有していないにも関わらず公道で自動車を運転した場合に適用される法律です。しかし、「無免許運転」といってもさまざまな種類があります。

次に、無免許運転となり得る状況についても詳しく解説します。

純無免許(免許を取得していない)

運転免許を取得していない状況で自動車を運転してしまった場合、「準無免許」となります。準無免許は、過去に一度も自動車免許を取得したことがない人であるため、相当悪質であると判断されます。

また、免許を交付されていないため、過去に一度も試験を受けていません。つまり、運転スキルが皆無であり、とても危険な状態で運転をしていたことになります。刑罰も厳しくなるため注意してください。

取消し無免許(免許が取り消しされた)

運転免許証の交付を受けていた者が、免許の取消処分を受けたにも関わらず自動車を運転した場合は、「取消し無免許」と言います。

運転スキルはあるかもしれませんが、運転する資格がないため、悪質な犯罪行為です。絶対に行わないようにしましょう。

免停中無免許(効力停止中に運転)

運転免許証を取得している人が交通違反の累積により、免許停止処分を受けている場合に自動車を運転した場合は、「免停中無免許」となります。

免許停止中は当然ながら免許証の効力が停止されている状態であるため、自動車を運転してはいけません。「忘れていた」「知らなかった」というのは、当然ながら通用しないため注意してください。

対象外無免許(免許の対象にない運転)

免許の対象にない自動車等を運転した場合は、「対象外無免許」に該当します。たとえば、普通自動車免許を所有している人が、大型車を運転した場合などが「対象外無免許」です。

なお、運転条件に違反した場合は、無免許運転ではなく「免許条件違反」として処罰されます。たとえば、運転の条件として「眼鏡等」と記載されている人が、メガネをかけずに運転をした場合は、免許条件違反です。

また、「AT限定」の人がマニュアル車を運転した場合も免許条件違反となります。違反点数や違反金について、普通車の場合は違反点数2点で7,000円の違反金です。

無免許運転の逮捕に関するよくある質問

無免許運tんに関するよくある質問を紹介します。

Q.条件を無視して運転した場合は、無免許運転になりますか?

A.免許証についている条件に違反した場合は、免許条件違反となります。

たとえば、運転免許に「眼鏡等」や「AT車に限る」「◯tまで」等と記載されている場合があります。これらの条件に違反した場合は、無免許運転にはなりません。しかし、免許条件違反となります。

普通車の場合は違反点数2点と違反金7,000円です。十分に注意してください。

Q.同乗者も逮捕されますか?

A.無免許であることを知りながら同乗した場合は、同乗者も罰せられます。

無免許運転であることを知りながら同乗した場合は、同乗者に対して「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されます。また、行政処分として2年間の欠格期間が付きます。

ちなみに、無免許運転であることを知りながら自動車を提供した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。また、行政処分として免許の取り消し・2年間の欠格期間が付きます。

同乗したり自動車を貸したりする場合は、運転者の免許証を確認するなどしてしっかり対応するようにしてください。

Q.無免許運転はどのようにしてバレますか?

A.交通違反や職務質問、通報等によってバレるケースが多いです。

無免許運転を犯す人は、交通ルールに違反してしまう人も多いです。そのため、交通違反で止められて無免許運転が発覚するケースが多々あります。

他にも、警察官による職務質問で発覚するケースや知人や近所の人などからの通報によって、無免許が発覚するケースがあるなどさまざまです。

「何十年間もバレずに無免許運転を繰り返している人がいた」という報道を見聞きする機会もありますが、非常に稀です。しっかりと運転ルールを守り、無免許運転を絶対に行わないようにしましょう。

まとめ

今回は、無免許運転で逮捕されてしまった場合の罰則等について解説しました。

無免許運転は、運転する資格を持たない人が運転をしているため、とても危険な状態です。万が一人を死傷させてしまった場合は、とても重たい罪に問われてしまいます。

無免許運転にはさまざまな種類がありますが、いずれの場合も絶対に許されることではありません。しっかり交通ルールを守り、安全運転を心がけましょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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