公文書偽造で逮捕される可能性はある?成立要件や逮捕された場合の流れを詳しく解説

公文書偽造で逮捕される可能性はある?成立要件や逮捕された場合の流れを詳しく解説
公文書偽造で逮捕される可能性はある?成立要件や逮捕された場合の流れを詳しく解説

公文書を偽造すると「公文書偽造罪」という犯罪が成立します。また、私文書を偽造すると「私文書偽造罪」が成立します。これらの違いは「公文書」・「私文書」どちらなのかといった違いです。

公文書は「公務所もしくは公務員が発行・作成した文書」を指し、これらの文書を偽造または改竄することによって犯罪が成立します。

この記事では、公文書偽造罪に焦点を当て、概要や成立要件、どういった文書が公文書に該当するのかなど「公文書偽造罪」について詳しく解説しています。

公文書偽造罪とは

公文書偽造等罪は刑法第154条に規定されている犯罪であり、以下のとおり明記されています。

第百五十五条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
2 公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3 前二項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法|第155条

つまり、公文書を行使する目的で公文書を偽造等した場合は、公文書偽造等罪に問われ、1年以上10年以下の懲役に処される可能性があるということです。

法律的に言う公文書とは、公務所もしくは公務員が発行する書類のことを指します。たとえば住民票や印鑑証明など市区町村役場で発行可能なもののほか、運転免許証などが該当します。

公文書偽造罪の成立要件とは

公文書偽造罪の成立要件は以下のとおりです。

  • 公文書であること
  • 偽造されていること

公文書とは、先ほども紹介したとおり公務所もしくは公務員が作成した書類を指します。たとえば、国や地方公共団体が発行するものや公務員などによって作成された書類が該当します。公文書を何らかの方法で偽造した場合は、公文書偽造罪が成立すると言うことです。

たとえば、公証人が作成した遺言書を書き換え、財産を不当に取得した場合が該当します。この場合は、公文書偽造罪のほか詐欺罪が成立するため注意しなければいけません。

公文書偽造罪の法定刑

公文書偽造罪は大きく分けて「有印公文書」と「無印公文書」があります。それぞれ成立要件が異なり、法定刑も異なります。

有印公文書とは公務所や公務員の署名や印章を利用した場合に成立する犯罪であり、無印公文書と比較して重い罪であるため注意しなければいけません。有印公文書の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」です。

一方、無印公文書とは印章の偽造を行っていない文章の場合は比較的軽くなり、法定刑は「3年以下の懲役または20万円以下の罰金」です。つまり、公文書偽造罪であっても、公務所や公務員の印章を偽造した場合はより重くなると覚えておけば良いでしょう。

私文書偽造罪との違い

公文書偽造に似た犯罪として、「私文書偽造罪」があります。いずれも文書を偽造した場合に成立する犯罪ではあるものの、公文書と私文書といった違いがあります。

公文書は公務所や公務員が作成した文書を指します。一方で、私文書はそれ以外の文書のことです。たとえば、一般人同士で取り交わした契約書や公証人が作成していない遺言書を偽造した場合に成立する犯罪です。

私文書偽造罪の法定刑は有印私文書偽造で「3カ月以上5年以下の懲役」です。無印公文書の場合は「1年以下の懲役または10万円以下の罰金」となります。公文書偽造罪と比較すると軽めではあるものの、懲役刑の規定がある厳しい犯罪であるため要注意です。

公文書偽造罪で逮捕される可能性

公文書偽造罪は、罰則規定のある犯罪であるため立証された場合は逮捕されてしまう可能性があります。しかし、逮捕はその人の身柄を拘束するための手続きであるため、社会的な影響が大きいです。

そのため、たとえ犯罪の事実があったとしても、必ずしも逮捕されるわけではありません。とくに悪質な場合や逃亡や証拠隠滅の可能性がある場合などは逮捕されたうえで取り調べを受け、刑事裁判を受ける流れになるでしょう。

次に、公文書偽造罪で逮捕される可能性や判決の傾向について詳しく解説します。

悪質な場合は逮捕される可能性はある

公文書偽造罪などの犯罪を犯した場合、逮捕される可能性はあるものの、必ず逮捕されるわけではありません。逮捕とは、犯罪を犯した人の身柄を拘束して取り調べを行うための手続きであり、一定の条件を満たしている必要があるためです。

たとえば、逮捕するためには「逃亡の恐れがあること」や「証拠隠滅の可能性があること」などが条件です。これらの条件を満たせていなければ、公文書偽造の事実があったとしても逮捕されることはありません。

ただし「逮捕されない=罪に問われない」と言うわけではありません。公文書偽造の事実がある以上、取り調べを受けて起訴される可能性は十分に考えられます。

起訴された場合は刑事裁判を受けて、有罪判決が下されてしまう可能性もありますし、刑務所へ収容されてしまうことがあるかもしれません。そのため「逮捕されなかったから大丈夫」といったことはない、と覚えておくと良いでしょう。

有罪判決の場合は実刑判決が下される可能性がある

公文書偽造罪の場合、有印公文書の場合は1年以上10年以下の懲役です。無印公文書であっても、懲役刑の規定があります。そのため、有罪判決が下された場合は懲役刑となる可能性について注意しなければいけません。

ただし、犯罪の程度次第では執行猶予が付く可能性が高いです。また、弁護人も執行猶予月判決が下されるように弁護活動を行っていくことになるでしょう。

執行猶予とは?
執行猶予とは、刑罰の執行を一定期間猶予することを言います。たとえば「懲役1年執行猶予3年」の場合は、懲役1年という刑を直ちに執行せずに、3年間の猶予期間を与え、この期間に罰金刑以上の刑罰が下されなければ刑の執行を免れる仕組みです。

公文書偽造で逮捕された場合の流れ

公文書偽造罪は犯罪であり、罰則の規定があるため犯罪を行った事実がある以上、逮捕されてしまう可能性があるため注意しなければいけません。もし、公文書偽造罪で逮捕されてしまった場合、どういった流れで進んでいくのかについて詳しく解説します。

1.逮捕(身柄拘束)

逮捕は被疑者の身柄を拘束する行為を指します。つまり、逮捕をされてしまうと警察署内にある留置所へ収容されて取り調べを受けることになるため、自宅へ帰ることができない、会社や学校へ行くことができないといった状態になります。

逮捕された場合、次のステップへ進むまでには48時間というタイムリミットがあります。この時間内に事件を検察官へ送致しなければいけません。

2.事件を検察官へ送致

逮捕された場合は、48時間以内に事件を検察官へ送致しなければいけません。事件を引き継いだ検察官は、さらに24時間以内に被疑者の身柄を引き続き勾留するかどうかを判断します。

この時点で最長72時間(3日間)の身柄拘束が継続するため、社会的な影響もある程度発生し始めるため注意しなければいけません。

3.勾留の有無を判断

検察官が「引き続き勾留する必要がある」と判断した場合は、事件が送致されてから24時間以内に裁判所に対して勾留請求を行います。勾留請求が行われると、裁判官が勾留質問等を行い、最終的に勾留する必要があるかどうかを判断します。

勾留の必要があると判断されると初めに10日間の身柄拘束が認められます。ただ、実務上はその後の勾留延長が認められ、さらに10日の合計20日間ものあいだ勾留されてしまう可能性があるのです。

つまり、逮捕された時点で最長23日程度の身柄拘束が発生し、自宅へ帰れない、会社や学校へ行けないことによる影響が大きくなります。

なお、勾留請求が認められなかった場合は、即時に釈放されて社会生活に戻ることができます。ただ、在宅事件に切り替わるだけであって、その後の取り調べに応じたり刑事裁判を受けたりする必要があるため注意してください。

4.起訴・不起訴を判断

勾留請求が認められた場合は、勾留期間中に起訴するか不起訴とするかを判断します。起訴された場合は留置所から拘置所へ移送され、呼び名も被疑者から被告人に変わります。被告人になると保釈申請を行い、認められると保釈金を支払って保釈されることも可能です。

また、起訴には「正式起訴」と「略式起訴」の2種類があります。正式起訴された場合は刑事裁判を受けます。略式起訴の場合は、100万円以下の罰金刑以下の場合に可能な処分であり、刑事裁判を受けることなく刑罰が確定します。

ただ、公文書偽造罪の場合、無印公文書の場合のみ罰金刑の規定があるため、無印公文書であれば略式起訴で早期の釈放も可能となるでしょう。

また、不起訴処分となった場合も即時釈放されます。不起訴処分の場合は、その事件についてその後、罪に問われることはなく、すべて終了したと考えて良いです。

5.正式起訴の場合は刑事裁判を行う

正式起訴された場合は刑事裁判を受けることになります。刑事裁判では、有罪か無罪かを判断し、有罪の場合はどの程度の刑罰に処すかを決定します。

公文書偽造罪の場合、有印公文書であれば懲役刑、無印公文書であれば罰金刑の規定があるためいずれかの処分が下されることになるでしょう。

6.判決に従って刑に服する

裁判によって判決が確定した場合、その判決に従って刑に服します。懲役刑の実刑判決であれば、その期間刑務所に収容されます。罰金刑であれば罰金を納めて終了しますが、支払なければ労役場留置となるため注意してください。

公文書偽造罪が成立して逮捕される例

公文書偽造罪とは、公務所や公務員が作成・発行した公文書を偽造することによって成立する犯罪です。しかし、実際にどういったものが該当するのかよくわからない、と考えている人も多いのではないでしょうか。

次に、公文書偽造罪が成立して逮捕されてしまう可能性があるいくつかの例について詳しく解説します。

運転免許証を偽造・改ざん

運転免許証の発行元は住所地の「都道府県公安委員会」であるため、偽造したり改ざんしたりした場合は、公文書偽造罪に問われます。

また、偽造もしくは改ざんされた運転免許証を使用した場合は、「偽造公文書行使罪」に問われます。同罪は、公文書偽造を行った者と同じ罪に問われるため、有印公文書であれば1年以上10年以下の懲役、無印公文書で3年以下の懲役または20万円以下の罰金となります。

住民票・戸籍謄本等の偽造・改ざん

住民票や戸籍謄本といった書類の発行元は、各市町村です。そのため、これらの書類も公文書に該当し、偽造や改ざんを行った場合は公文書偽造罪に問われます。

また、使用した場合は偽造公文書行使罪に問われたり詐欺罪に問われたりする可能性があるため注意しなければいけません。

とくに詐欺罪の法定刑はとても重く、「10年以下の懲役」です。詐欺罪は初犯であっても実刑判決となる可能性が高いため注意してください。

公証人が作成した遺言の改ざん

個人が作成した遺言書は私文書であるものの、公証人が作成した遺言書は公文書となります。そのため、公証人が作成した遺言書を偽造もしくは改ざんした場合は、公文書偽造罪となります。また、他の相続人を騙した場合は詐欺罪に問われます。

なお、公証人以外が作成した遺言書を偽造・改ざんした場合は「私文書偽造罪」という罪に問われるため要注意です。また、私文書偽造罪であっても詐欺罪は成立するため注意しましょう。

債務者に対する陳述書の偽造

強制執行を行うために裁判所から債務者に対して公文書を送付することがあります。裁判所が発行する文書も公文書に該当するため、偽造した場合は公文書偽造罪に該当します。

公文書偽造罪に関するよくある質問

公文書偽造罪に関するよくある質問を紹介します。

Q.嘘の経歴を履歴書に書いた場合公文書偽造になりますか?

A.履歴書は公文書ではないため、公文書偽造罪にはなりません。

履歴書は自分で作成をするため、公文書ではありません。よって、嘘の経歴を履歴書に書いた場合であっても、公文書偽造罪にはなりません。

また、履歴書に嘘の経歴を書いたとしても、私文書偽造罪にもならないため安心してください。履歴書に他人の名前を書いたり、卒業証書や資格証を偽造した場合に私文書偽造罪が成立します。

ただし、嘘の経歴を書いて採用された場合、企業に対する詐欺罪が成立する可能性があるため注意してください。

Q.人の身分証明書を利用して会員証等を作成した場合、罪に問われますか?

A.人の身分証を利用した場合、「詐欺利得罪」が成立し得ます。

人の身分証を使用した場合、その身分証が偽造されたものでなければ偽造公文書行使罪は成立しません。また、ただ単に会員証を作成しただけであれば、相手の財物等を交付させているわけではないため、詐欺罪も成立しません。

しかし、人の身分証を利用して会員証を作り、サービスを受けているため「詐欺利得罪」が成立します。詐欺利得罪とは、人を欺いてサービス等を交付させた場合に成立する犯罪です。法定刑は詐欺罪と同様「10年以下の懲役」となります。

Q.公文書偽造は何がきっかけでばれるのですか?

A.公文書をチェックした際にバレることが多いです。

公文書は簡単に改ざんしたり偽造したりできないようにさまざまな工夫がなされています。そのため、よく確認することで偽造が発覚するケースが多いです。

とくに素人が偽造したような公文書の場合、普段から見慣れている人からするとすぐに違和感を覚え、偽造や改ざんであることが発覚するでしょう。仮に、とても上手に偽造できたとしても、公文書のさまざまな工夫によって発覚するケースが多いため注意してください。

まとめ

今回は、公文書偽造罪について解説しました。

公文書偽造罪は、公務所や公務員が作成もしくは発行した公文書を偽造したり改ざんしたりした場合に成立する犯罪です。有印公文書もしくは無印公文書によって罪の重さは変わるものの、最大で10年以下の懲役に処される犯罪です。

また、公文書以外の文書を私文書と言い、私文書を偽造または改ざんした場合は、私文書偽造罪が成立して罪に問われます。

さらに、これらの文書を使用した場合は、使用した本人も罪に問われるため、作成した本人以外にも罪が広がる可能性のある犯罪です。自己の利益を優先して浅はかに考えて公文書を偽造してしまうと人生を狂わせてしまいます。

今回解説した内容を踏まえ、公文書偽造罪等が発生しないように十分注意しましょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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