体の不調があったときや健康診断を受ける際、血液検査と呼ばれる検査を行う場合があります。違法薬物を使用している人からすると「血液検査で薬物使用がバレてしまうのではないか?」と不安を抱えているのではないでしょうか。
結論から言ってしまえば、一般的な血液検査で薬物の使用が発覚するケースはほとんどありません。そもそも、一般的な血液検査の中に薬物検査が含まれていないためです。
とはいえ、薬物使用の疑いがある場合は血液検査あるいは尿検査によって検査を行い、警察等へ通報されてしまう可能性もあります。
この記事では、病院で行われる血液検査と薬物使用について詳しく解説します。血液検査で不安な人は本記事を参考にしてください。
病院で行われる血液検査で薬物反応は出るのか
病院で行われる血液検査のなかに、薬物検査は含まれていません。そのため、仮に薬物を使用していたとしても、血液検査が原因で発覚するケースはないと思っておいて良いです。
ただし、薬物の使用が疑われる場合の検査では、当然ながら薬物検査を行うため、薬物を使用していた場合は反応が出る可能性もあります。まずは、病院で行われる血液検査で薬物反応は出るのか?について詳しく解説します。
健康診断を目的としている「血液検査」に薬物検査は含まれない
健康診断を行う場合、検査項目の中に血液検査が含まれている場合があります。健康診断等で行われる血液検査は、「一般血液検査」と呼ばれ、主に肝臓や腎臓等の異常を確認する為に行われます。
もちろん、人の血液から薬物検査を行うことはできますが、一般的な健康診断では薬物検査を目的とした血液検査を行っていません。そのため、一般的な健康診断から薬物使用が発覚するケースはないと思っていて良いです。
ちなみに一般的な血液検査で確認される項目は主に以下のとおりです。
- ヘマトクリット値(貧血の判断)
- 血色素(ヘモグロビン)値(貧血・出血・多血症を判断)
- 赤血球数(貧血の判断)
- 白血球数(細菌感染・がん・白血病等の判断)
- 血小板・血液像(赤血球増多症・慢性骨髄性白血病・肝硬変・貧血・急性白血病・血小板減少性紫斑の判断)
他にもさまざまな病気等のリスクを確認する為に血液検査を行います。そもそも健康診断は「診断者の状態」を確認するために行われるものです。そのため、前提として薬物検査は行われません。
健康診断を目的とした「尿検査」でも薬物検査は含まれない
健康診断では、血液検査のほかに尿検査を行う場合があります。尿検査でも薬物の使用を確認できるため、薬物使用者からすると緊張するかもしれません。しかし、血液検査同様に一般的な健康診断では、尿検査による薬物検査を行っていません。
そのため、健康診断で尿を出したとしても薬物反応が出ることはなく、健康診断をきっかけに薬物使用が発覚することもないでしょう。
ちなみに、尿検査では主に腎臓や糖尿病等の病気の可能性を探る為に行われます。そもそも薬物検査は検査項目に含まれていないため、健康診断と薬物検査は別物であると考えておいて良いです。
健康診断以外の理由で薬物使用の疑いがある場合は検査を行う
健康診断以外の目的で薬物の使用が疑われる場合は、尿検査もしくは薬物検査を行う場合があります。たとえば、薬物による身体的な影響が考えられる場合は、治療方法を探る為に血液検査や尿検査を行う場合があります。
覚せい剤を使用して急性症状が現れた場合、不安性の興奮状態と幻覚性錯乱状態となる場合があります。こういった症状を考慮し、薬物使用の疑いが強まった場合は、尿検査もしくは血液検査を行って症状の原因を把握し、治療にあたる場合があります。
薬物使用者が病院で血液検査を受けた場合の守秘義務
薬物使用の疑いがあり、病院へ搬送されて血液検査を受けた場合、麻薬であれば医師に都道府県知事へ届け出る義務があります。しかし、覚せい剤の場合は届出義務がないため、必ずしも通報されるとは限りません。
病院では、治療をする為に必要な検査を行うことが認められています。たとえば、薬物の使用によって中毒症状が現れている場合、医師であれば「薬物使用の可能性がある」と判断できるでしょう。この場合、必要に応じて薬物使用の検査を行うことができます。
検査結果を元に適切な治療を行う為です。しかし、血液検査の結果、薬物使用が明らかになった場合はその使用薬物によって届出義務の有無が異なるということです。
次に、薬物使用者が病院で血液検査を受けた場合の守秘義務について詳しく解説します。
麻薬使用の疑いがある場合は都道府県知事へ届け出る義務がある
麻薬の使用疑いがあり、血液検査の結果、麻薬反応が出た場合は意思が都道府県知事へ届け出る義務が発生します。麻薬とは主に以下のようなものが該当します。
ちなみに、麻薬とは「中枢神経を麻痺させる薬物」であり、覚せい剤は含まれません。主に以下のようなものが麻薬に分類されます。
- コカイン
- ヘロイン
- LSD
- モルヒネ
- アヘン
等々
上記の薬物を使用した疑いがあり、検査の結果明らかとなった場合は医師は必ず都道府県知事へ届け出なければいけません。
覚せい剤使用に関する届出義務は定められていない
覚せい剤使用の場合は、医師に届出の義務はありません。つまり、覚せい剤の使用による急性中毒で搬送され、医師の判断で検査を行って薬物使用が発覚した場合であっても、必ず届け出られるとは限りません。
ただし、医師が届出をしたとしても守秘義務には該当しないため、医師が何らかの罪に問われることもありません。そのため、大半の意思が通報をすると考えておいて良いでしょう。
病院で薬物検査を行う事例
病院で基本的に薬物検査を行うことはありません。通常は、警察の判断によって必要であると判断された場合に尿検査もしくは血液検査を行います。
ただし、以下に該当する場合は病院で薬物検査を行う場合があるため覚えておいてください。
- 麻薬・覚せい剤による中毒性精神病の疑いがある場合
- その他麻薬・覚せい剤の使用が疑われる場合
病院で薬物の血液検査を行う事例について、それぞれ詳しく解説します。
麻薬・覚せい剤による中毒性精神病の疑いがある場合
麻薬もしくは覚せい剤による中毒性精神病の疑いがある場合は、原因を知るために血液検査もしくは尿検査を行う場合があります。その結果、麻薬の使用反応が出た場合は、都道府県知事へ届け出なければいけないため、必ず逮捕されると思っておきましょう。
その他麻薬・覚せい剤の使用が疑われる場合
上記に該当しない場合であっても、麻薬もしくは覚せい剤の使用が疑われる場合は検査を行い、必要に応じて届け出る義務があります。たとえば、急性中毒によって緊急搬送されたような場合が該当します。
血液検査による薬物反応に関するよくある質問
血液検査による薬物反応に関するよくある質問を紹介します。
Q.会社の健康診断で血液検査や尿検査を拒否できますか?
A.法律的に拒否することはできません。
法律上、「意思が必要であると判断した場合のみ」血液検査等を断ることができます。そのため、特別な事情がない限りは原則拒否できないものと思っておいたほうが良いでしょう。
なお、何度もお伝えしているとおり一般的な健康診断では薬物検査は行われません。もちろん、薬物の使用は絶対にしてはいけませんが、健康診断で発覚する可能性は極めて低いため血液検査等には応じるようにしましょう。
Q.他の検査で薬物使用がバレる可能性はありますか?
A.薬物を目的とした検査ではない限り、バレる可能性は低いと思っておいて良いでしょう。
一般的な人を対象に薬物検査を行うようなことはまずありません。なぜなら、検査をするだけ無駄であるからです。
ただ、薬物検査が必要であると判断された場合は、協力をお願いされる場合があります。この場合も強制力はありません。ただし、警察官が薬物検査の必要があると判断し、令状を請求して発布された場合は強制力が生じます。
Q.薬物を使用した場合、何日程度体内に残りますか?
A.使用する薬物等によって異なります。
一般的には、覚せい剤・LSD・MDMA等の薬物の場合で2〜3日程度、大麻は1週間〜30日程度と言われています。また、コカインの場合は3日〜4日程度であると言われています。
ただ、使用した薬物の純度や頻度、量や体質などさまざまな事情によって異なるため一概には言えません。不安な場合は薬物をやめることを誓い、自首を検討したほうが良いでしょう。
Q.薬物使用が原因で倒れた場合、薬物検査は行われますか?
A.医師の判断で薬物検査を行う可能性があります。
医師の判断で薬物の急性中毒である可能性があると判断された場合は、薬物検査を行う場合があります。ただ、医師が行う検査はあなたを逮捕するためではなく、適切な処置をするためのものです。
とはいえ、麻薬の場合は必ず届け出なければいけません。また、覚せい剤であっても大半の医師は通報をするでしょう。
Q.心療内科で行われる血液検査は薬物検査が目的ですか?
A.健康診断等同様に何らかの病気を確認するために行われるのが一般的です。
たとえば、薬の作用を確認したり内臓の不調を確認したりする為に血液検査を行います。心療内科で処方される薬の中には副作用が強いものもあるため、血中濃度等を把握する目的があります。また、内臓から来る精神病もあるため、内臓の不調を確認する目的もあるでしょう。
ただし、「幻覚が見える」など明らかに薬物使用の疑いがある場合は、薬物検査を目的とした血液検査が行われる場合もあります。
まとめ
今回は、血液検査による薬物反応について解説しました。
一般的な健康診断等で行われる血液検査には、薬物検査は含まれていないため、健康診断等が原因で薬物使用が発覚するケースは少ないです。しかし、薬物の使用が疑われる場合は薬物検査となる可能性もあります。
そもそも薬物は許可なく所持・使用してはいけないと定められているものが大半であるため、絶対やめましょう。