レジのお金が合わない場合、すぐに窃盗を疑うのは早計です。人がレジを操作している以上、ミスが発生している可能性も否定できないためです。そのため、まずはレジ金が合わない原因を探る必要があります。
もし、窃盗が発覚した場合は、窃盗を行った従業員に対して何らかの処分を下したり警察へ通報をして刑事罰を負わせたりする必要があります。一方で、つい魔が差して窃盗を行ってしまった人は、お店に対して誠心誠意謝罪をして返金をし、許してもらうしかありません。
この記事では、お金を盗まれてしまったお店側の目線・お金を盗んでしまった従業員目線それぞれの対処法について詳しく解説しています。レジ金が合わないと悩まれている人、レジのお金を盗んで後悔してしまっている人は、本記事を参考にしてください。
目次
【初めの確認事項】レジのお金が合わない時の対処法
レジのお金が合わない場合、従業員等に窃盗されている可能性も否定はできません。しかし、レジのお金が合わないからといってすぐに人を疑ってしまうのは早計です。たとえ、従業員等に怪しい行為があったとしても、はじめに人為的ミスを疑ってみましょう。
万が一、人為的ミスであるにも関わらず人を疑い、従業員が実際に窃盗をしていなかった場合、その人との関係性が悪化してしまいます。貴重な人材を失う原因になる恐れもあるため、はじめに人為的ミスを疑い、それでも解決しない場合に初めて窃盗を疑ってみましょう。
レジのお金が合わない原因としてよくある事例は、主に以下のとおりです。
- レジ金の数え間違い
- 会計時のお釣りの渡し間違い
- レジの打ち間違い
- 割引券・クーポン券の処理方法の間違い
- レジ付近に落としている可能性
- 最後に窃盗を疑う
まずは、レジのお金が合わない時の原因や対処法について詳しく解説します。
もう一度お金を数えてみる
レジのお金が合わない場合は、はじめにもう一度お金を数え直してみましょう。これまでに何度も何度も確認をしたうえでレジのお金が足りない状況になっているはずです。
それでも時間をおいてもう一度計算をしてみると、計算を間違えていたり何らかのミスに気付く可能性があります。そのため、もう一度だけお金を数え直してみてください。
また、同じ人が何度もお金を数え直すのではなく、他の従業員と一緒に数えたり、数えてもらったりしましょう。同じ人が何度もお金を数えていると、誤りに気付きにくいためです。
お金を数えるのは「人」であるため、何らかの数え間違えが発生していることを前提に考えます。自分では「正しい」「間違えていない」と考えてしまうため、計算ミスに気付きにくいためです。
とくに何度も何度も計算をしていると「自分は正しい」「絶対に数え間違いはない」という概念が優先してしまいます。そのため、時間をおいて頭の中をすっきりさせたうえで他の従業員と一緒に再度確認をしてみましょう。
会計時のお釣りの渡し間違いを疑う
レジのお金を計算し直してもなお、合わない場合は会計時にお釣りを渡し間違えてしまった可能性を検討しましょう。たとえば、ちょうど5,000円不足する場合は、1万円札と5,000円札を渡し間違えてしまった可能性を確認します。
たとえば、従業員に確認をしたりお客さんから渡し間違えている旨の連絡が来ていないかどうかを確認する、といった方法が有効です。
お客さん側は、店舗側のミスでお釣りを多くもらった場合、必ず返金をしたり多くもらってしまった旨を伝えなければいけません。もし、多くお釣りが支払われていることに気付いているにも関わらず、詐欺罪もしくは占有離脱物横領罪といった罪に問われます。
ただ、現実的に考えてお客さんの良心に委ねられている部分が多く、もしも渡し間違えが発生している場合は、お客さんからの連絡がないケースも多いです。
レジの打ち間違いがないか確認する
レジの打ち間違いが発生していないかどうかを確認しましょう。たとえば、商品のバーコードをスキャンしたつもりだったが、実はスキャンできておらず、商品をお客さんへ渡してしまっていた可能性です。
たとえば、1,000円の商品を打ち間違いもしくはスキャンし忘れてしまった場合、1,000円分の商品をお客さんへ無料提供していることになります。そのため、レジのお金は1,000円分合わなくなります。
レジの打ち間違いの場合は、在庫とのさを確認してみるとわかるでしょう。もちろん、その他の可能性として万引き(窃盗)の可能性もあるでしょう。そういった可能性も考慮して確認してみましょう。
割引券・クーポン券の処理方法を確認する
お客さんから預かった割引券・クーポン券の処理方法を間違えていた可能性もあります。たとえば、10,000円の買い物をしたお客さんが10%割引券を出したとしましょう。上記の場合、1,000円分の割引が発生します。
そのため、お客さんから9,000円預かってレジに入れたとしましょう。しかし実際は、クーポン処理を忘れてしまい、10,000円のままレジ打ちをしてしまった可能性があります。この場合、当然1,000円の差額が発生します。
この場合は、その日にレジ対応した従業員にヒアリングをすることによって発覚するケースが多いです。そのため、まずは従業員に対して「割引券・クーポン券の利用者はいたか?」「どのようにレジを打ったか?」と確認をしましょう。
レジ付近を確認する
レジ付近に落ちていないかどうかも合わせて確認しておきましょう。もしかするとレジから落ちたお金が隙間等に入っているかもしれません。
今一度よく確認し、落ちていた場合は再度お金を数え直して、レジのお金があっているかどうかについて確認しましょう。
窃盗を疑う
上記すべてで確認した内容を確認してもなお、レジのお金が合わない場合は、窃盗を疑いましょう。従業員に聞き取りを行ったり、監視カメラを確認して窃盗の事実を裏付けていく必要があります。
人を疑うことはあまりおすすめできませんが、上記内容すべてを確認してもなお、レジ金が合わない可能性は窃盗の可能性が高いです。そのため、疑いの目を持って確認作業を進めていくと良いでしょう。
なお、レジ金の窃盗は証拠がなければ立証するのは難しいです。そのため、現時点で証拠がない場合は、できるだけ証拠集めに尽力し、早急に対応するように心がけましょう。
窃盗が疑われる場合の対処法
従業員の窃盗が疑われる場合、はじめに行うべきことは「対策」です。そのうえで「証拠集め」を行っていきましょう。
対策をすることにより、今後の窃盗被害を防止する効果に期待が持てます。また、証拠を集めることによって、これまでの窃盗事実を裏付けて立証していくことが可能になります。そのため、「対策」と「証拠集め」をすぐに行いましょう。
対策を行う
窃盗が疑われる場合は、対策を行うことがとても大切です。はじめにレジ近くに防犯カメラが設置されていない場合は、設置を検討しましょう。
防犯カメラを設置する際は、「誰がお金を盗ったか」がはっきり見える場所に設置する必要があります。従業員であればレジやお金に触れるのは当然であるため、盗った瞬間がはっきり見える状態でなければいけません。
証拠として成立するためにはある程度「疑うに足りるもの」である必要があります。ただお金を触っているだけの映像であれば、証拠として不十分です。そのため、「ポケットに入れた瞬間がはっきりはっきり映っているかどうか」等を確認しましょう。
なお、従業員がお客さん役と結託して窃盗行為を行うケースもあります。たとえばお釣りとして渡すお金を「5,000円と10,000円を間違えたふりをする」のようなケースです。
対策としては、10,000円札をお釣りとして出すことはないため、お釣りとは別の場所に入れておくなどの方法が有効です。また、カメラの映像でも確認できるような状態にしておくことが好ましいです。
証拠を集める
窃盗が頻発している場合は、証拠を集めておきましょう。証拠となり得るものは、防犯カメラの映像や従業員のシフト記録、レジの記録やデータ、目撃証言等です。
可能な限り証拠を集め、怪しい従業員に聞いてみても良いでしょう。中には、カマをかけるだけで白状する人もいるかもしれません。しかし、万が一にも当該従業員が罪を犯していなかった場合は、とても嫌な思いをします。そのため、ある程度の証拠を集め、確証を得てから確認するようにしましょう。
なお、証拠が不十分であっても窃盗であることが明らかである場合は、警察に相談をしてみても良いでしょう。アドバイスを受けられたり、捜査を行ってくれたりするためです。
レジのお金が合わない原因で窃盗の疑いがある場合に証拠となるもの
レジのお金が合わない場合、最終的には窃盗を疑う必要があります。しかし、窃盗を疑って罪に問うためには、必ず「証拠」がなければいけません。
証拠がなければ、たとえ窃盗である確証があってもその人を罪に問うことは難しいです。また、窃盗した人を解雇することも難しいでしょう。そのため、窃盗が疑われる場合は、以下の証拠を確認しておく必要があります。
- 防犯カメラの映像
- 従業員のシフト記録
- レジの記録・データ、目撃証言の収集
次に、レジのお金が合わずに窃盗罪が疑われる場合の「証拠」について詳しく解説します。証拠となり得るものがなければ罪に問うことはできないため、ぜひ参考にしてください。
防犯カメラの映像
防犯カメラは窃盗の倉庫としてもっとも有効です。ただ、「窃盗している状況が明らかである映像」であることが大切です。
お金を扱う店舗である以上、多くの従業員がレジに触れます。そのため「レジの前に立っていて怪しい動きをしていた」というだけでは証拠にはなり得ません。たとえば、「レジからお金を取って自分の服のポケットに入れていた」という映像があれば証拠になります。
また、解像度が低くて人物を特定できない可能性もあるでしょう。もしくは、死角になるところで金銭を盗んでいる可能性もあります。とくに、従業員であればどこにカメラが設置」されているかを把握しています。
そのため、防犯カメラの映像を証拠として扱う場合は、「窃盗している状況が明らかである場合」に初めて証拠として成立するということを覚えておきましょう。
従業員のシフト記録
レジからお金がなくなった日、レジからお金がなくなった時間を記録し、従業員のシフト記録と照らし合わせましょう。もし、特定の人物がシフトに入っている時間帯にお金が盗まれているのであれば、その人が窃盗をしている可能性が高いです。
また、記録を残しておくことで証拠ともなり得ます。何度もお金がなくなる場合は、必ず日付と時間帯を記録しておくようにしましょう。
時間帯は、確実にレジのお金があっていた時間帯〜お金が合わないことが発覚した時間帯を記録しておくと良いです。通常は開店前や閉店後にレジ金の確認を行うことが多いですが、可能な限り具体的な時間帯を記録しておくことで犯人の特定がしやすくなります。
レジの記録・データ、目撃証言の収集
いわゆるレジの「ジャーナル」を保管しておきましょう。ジャーナルは税務署に提出しなければいけない書類であるため、元々保管されている店舗が大半です。そのため、別途ジャーナルを証拠用に残しておく必要はありません。
ジャーナルは、レジのお金と合わない証拠になり、窃盗を裏付ける証拠のひとつ一つとなり得るため、必ず処分せずに保管しておきましょう。
また、従業員等にヒアリングを行い、怪しい行為があったかどうかについて証言を集めておくのも良いでしょう。「最近、〇〇さんの羽振りが良くなった」「〇〇日にレジの前で怪しい行動を取っていた」など、どのようなことでも構いません。
可能な限り証言を集めておくことで、容疑者の絞り込みと窃盗の事実の裏付けとなる可能性があります。
ただし、人証はすべてが証拠になるとは限りません。「人」である以上、記憶違いや勘違い等があるのは前提です。そのため、「〇〇さんが怪しい行動を取っていた」といった情報を得たとしても直ちに窃盗や容疑者の特定はしないように気をつけましょう。
証拠が揃わないときの対処法
レジのお金が合わずに窃盗を疑っている場合「証拠」がなければ、窃盗としての立証は不可能です。とはいえ、従業員が窃盗をしている場合は、なかなか証拠を集めにくいです。そのため、「お金が合わないけど証拠が集まらない……」と悩まれている人も多いでしょう。
もし、証拠が揃わない場合は、以下の対処法を検討されてみてはいかがでしょうか。
- レジにあるお金の番号を記録
- 防犯カメラを設置
次に、レジのお金が合わず、証拠も揃えられない場合の対処法について詳しく解説をします。
証拠がなければ窃盗を立証することができない
大前提として、証拠がなければ窃盗罪等の立証ができません。そもそも、被害申告をしたところで「盗まれた」という根拠がなければ事件として扱うことはとても難しいです。
もちろん、警察に通報をすることによって捜査を行いますが、窃盗以外の可能性を否定できない以上は、窃盗として捜査を進めていくことはとても難しいです。そのため、是が非でも証拠を集める必要があります。
たとえば、現時点で窃盗としての証拠が揃っていない場合、先に解説したレジ金の数え間違えやお客さんへの渡し間違いなどの可能性も残っています。これらの場合、当然犯罪として成立しないため、事件として扱うことができないのは当然です。
そのため、必ず「お金が盗まれた」という事実を証明するための証拠・根拠を用意しておく必要があります。とはいえ、実際に証拠を集めるのは困難であるケースが多いです。そのため、これから解説する証拠の集め方についてぜひ参考にしてください。
レジにあるお金の番号を記録しておく
はじめにレジにあるお金の番号を記録しておきましょう。もちろん、レジのお金であるため、出入りはあるでしょう。新たに入ってきた紙幣の番号も記録しておくと良いです。
そのうえで、閉店後もしくはレジのお金がないことが発覚した時点で、その日レジに触れた従業員全員の持ち物をチェックしましょう。もし、レジのお金として記録しておいた番号と同じ番号のお金を持っている人がいた場合は、その人が窃盗犯である可能性が高いです。
ただし、仮にお金を盗まれてしまった場合であっても、持ち物検査を強制することは許されません。そのため、あくまでも任意であり「確認させてほしい」とお願いをする立場であることを忘れてはいけません。
また、盗んだお金を財布の中に入れているとは限りません。カバンの中やポケットの中などさまざまな場所に隠している可能性もあるでしょう。
とても手間のかかる方法であるうえに持ち物検査を拒否された場合は、強制力を持たないため、確実な方法でもありません。その点を理解したうえで証拠集めの一つとして検討されてみてはいかがでしょうか。
防犯カメラを設置する
レジ近くに防犯カメラが設置されていない場合は、新たに設置しましょう。防犯カメラにレジのお金を盗んでいる場面が映っている場合は、証拠として使えます。
また、現在レジ近くに防犯カメラが設置されている場合であっても、解像度が低かったり位置が悪かったりする場合もあるでしょう。この場合は、鮮明に映る防犯カメラに付け替える、カメラの位置を変えるといった方法を検討しましょう。
防犯カメラの映像は窃盗の証拠として最有力です。そのため、被害額が大きい場合や被害を食い止めたい場合、犯人を突き止めたい場合はお金をかけてでも積極的に取り入れましょう。
窃盗が発覚した場合の対処法
万が一、窃盗が発覚した場合は、以下の対処法を検討しましょう。
- 警察へ届け出る
- 従業員に対する処分を検討する
- 民事上の責任を負わせる
- 社内で今後の対策を検討したうえで周知徹底する
次に、窃盗が発覚した場合の対処法について詳しく解説します。証拠が揃い、窃盗であることが明らかとなった場合は、これから解説する内容をもとに対応を検討してください。
警察へ届け出る
はじめに警察への届出を検討しましょう。レジからお金を盗む行為は窃盗罪や業務上横領罪といった犯罪行為です。そのため、警察は事件を認知することで捜査を開始し、送致します。その後は刑事裁判等によって処分が下されます。
窃盗罪および業務上横領罪は非親告罪であるため、被害者(店舗)からの親告がなくても捜査機関等は捜査をしたり起訴したりできます。
しかし、店舗内で行われている行為であるため、実際は被害者が親告をしなければ捜査機関等が捜査を開始することはありません。そのため、窃盗を行った従業員に対して何らかの処分を望まない場合は、あえて親告しないという方法を検討しても良いでしょう。
また、告訴することによって関係者の時間も奪われます。当然、捜査には協力しなければいけないためです。そのため、被害額や処罰感情などを考慮したうえで、警察に相談をするかどうかを決定すると良いでしょう。
従業員に対する処分を検討する
従業員に対する処分を検討しましょう。窃盗罪や業務上横領罪は犯罪であるため、会社としては何らかの懲戒処分を検討することになるでしょう。
懲戒処分は、軽いものから以下のようなものがあります。
- 戒告(かいこく)
戒告は従業員に対して注意をする処分です。注意のみで終了するため、懲戒処分の中ではもっとも軽い処分です。 - 譴責(けんせき)
譴責処分は、従業員に対して注意を行うと共に始末書の提出を求める処分です。戒告よりは重い処分であるものの、比較的軽微な処分であるといえます。 - 減給
減給は給料の一部を減らす処分です。たとえば「3カ月間給料の10%をカット」のように処分を決定します。 - 出勤停止
出勤停止は、出社を認めない処分です。問題が解決するまでもしくは社内で方針が決定するまでは、出勤を停止させる処分です。 - 降格
降格は、役職のついている従業員に対して、役職を下げる処分です。たとえば「部長職の従業員を課長職へ降格させる」といった処分です。役職が下がることによって、当然給与等も減るため、経済的なダメージは大きいです。 - 諭旨解雇
諭旨解雇は解雇の一種ではあるものの、従業員側に寄り添った解雇であると理解しておけば良いでしょう。諭旨は「諭す」といった意味合いがあります。そのため、場合によっては解雇ではなく自己都合退職にしてもらえる可能性もあります。 - 懲戒解雇
懲戒解雇は処分の中でももっとも重い処分です。懲戒解雇となった場合、解雇されることに加えて退職金や解雇予告手当の不支給や即日解雇が可能であり、従業員にとって大きな打撃となり得ます。
レジのお金を盗む行為は窃盗罪もしくは業務上横領罪が窃盗します。金額の代償に関わらず、その事実が発覚した場合はいずれの処分を下すことも可能です。
とくに懲戒解雇の場合は「不当解雇」の訴えを提起されるケースが多いものの、窃盗や業務上横領罪は懲戒解雇の正当な理由に該当するため、可能であると判断されるケースが大半です。
民事上の責任を負わせる
盗まれたお金について、当該従業員に対して民事上の責任を負わせることが可能です。民事上の責任とは、実際に盗まれたお金の返還請求およびお金が盗まれたことによって受けた被害に対する賠償金です。
たとえば、長期間にわたって100万円のお金が盗まれた場合は、100万円の返済を求める民事訴訟を請求できます。さらに、仮にお金が盗まれたことによってその日の営業ができなかった場合は、その日の売り上げ相当額を請求することも可能です。
しかし実態として、一度盗まれたお金を回収することはほぼ不可能です。中には、罪を犯してしまった人の家族等が肩代わりするケースもありますが、ごく一部です。そのため、基本的に盗まれたお金は返ってこないと考えておいたほうがよいでしょう。
なお、中には「従業員の給料から引こう」と考える人がいるかもしれません。しかし、給料から勝手に天引きする行為は労働基準法違反となります。そのため、給料から支払わせたい場合は、一度従業員へ給料を渡したうえで、従業員の意思で返済してもらう必要があります。
社内で今後の対策を検討したうえで周知徹底する
罪を犯した従業員が発覚したからそれで終了。ではありません。今後、同じことの内容に再発防止策を検討し、全従業員に周知徹底してすべて解決したと言えます。
たとえば、お金の管理方法の見直しや盗まれないように教育を徹底するなど、社内でさまざまな協議を行ったうえで今後の対応方法を検討していきましょう。
魔が差してレジのお金を盗んでしまったときの対処法
つい、魔が差してレジのお金を盗んでしまった場合、あなたは罪に問われてしまう恐れがあるため注意しなければいけません。もし、後悔しているのであれば、以下の対処法を検討してください。
- 罪を認めて誠心誠意謝罪をする
- 返金をする
やってしまった事実を変えることはできません。ましてや、店舗側に窃盗がバレている場合はなおさらです。そのため、素直に罪を認めてお金を返し、少しでも処分や刑事罰が軽くなるように動くことが大切です。
これから解説する対処法を参考のうえ、今後の対応方法についてしっかり検討してください。
罪を認めて誠心誠意謝罪する
レジの中からお金を盗った事実が発覚した場合、早期に罪を認めて誠心誠意謝罪をしましょう。仮に、お金を盗った事実が発覚していなくても、店舗内で問題になっている可能性が高いため、早めに自分から申し出るようにしましょう。
罪を認めて謝罪したとしても許してもらえるとは限りません。ましてや、窃盗罪もしくは業務上横領罪という罪を犯しているため、お店側の心象としても非常に最悪です。そのため、何らかの懲戒処分が下される可能性は高いでしょう。
しかし、自ら申し出ることによって「この人は反省している」といった姿勢を見せることができます。結果的に、捜査機関への通報を回避したり嘆願書を書いてくれたりなど、今後起こり得る刑事罰の中で大きなメリットを得られる可能性が高いです。
嘆願書とは、被害者が捜査機関等に対して「示談が成立しているため厳罰を求めません」のように要望する書類のことです。嘆願書は法的な書類ではないものの、被害者の処罰感情が薄いことが明らかであるため、処分や刑事罰に影響を与えます。
お店側としては「盗癖のある人を雇い続けるわけには行かない」と考えるでしょう。そのため、解雇やその他の処分が下されてしまう可能性が高いです。たとえ少額、1回だけであっても「レジからお金を盗んだ事実」は相当重く捉えられます。
そのため、自ら申し出る際は解雇処分になる可能性を受け入れておきましょう。中には「解雇されたくないから黙っておこう」と思う人がいるかもしれません。しかし、今回はあなたが盗んだことが発覚しなかったとしても、いずれバレてしまう可能性もあるでしょう。
また、あなた自身も罪悪感に苛まれながら同じ店で働き続ける必要があります。そのため、やってしまった事実を受け入れ、素直に謝罪をしたうえで処分を受け入れましょう。お店側の意向により、「今回限り許す」と言われる可能性もゼロではないでしょう。
いずれにせよ、後から発覚するくらいであれば先に自ら報告をしておいたほうが自分のためになることは変わりありません。すぐにでもお店の店長等の担当者へ相談をしましょう。
返金をする
金額の代償に関わらず、盗んでしまったお金は全額返金しましょう。盗んだお金を使い切ってしまっていたとしても、親に相談をしたり分割払いで返済をしたりなど、どのような形であっても返済をする意思をしっかり伝えることが大切です。
返金をして反省している態度を示すことによって、被害者であるお店側の処罰感情が薄れる可能性も高いです。結果的に、警察への告訴を回避したり嘆願書が提出されたりなど、あなたにとってさまざまなメリットがあります。
多少無理をしてでも「必ず返済します。申し訳ございませんでした」と伝えることがとても大切です。
レジのお金を盗むことによって成立する犯罪
レジのお金を盗むことによって成立する犯罪は「窃盗罪」もしくは「業務上横領罪」です。どちらの罪が成立するかは、犯罪の内容によって異なります。どちらも「他人の占有物を自己の占有下におくこと」で成立する犯罪です。
また、業務上でレジのお金を盗んだ場合は、多くの人が「業務上横領罪が成立するのではないか?」と考えるでしょう。しかし、実際は窃盗罪に問われるケースが多く、稀に一定の要件を満たしていると業務上横領罪が成立します。
次に、それぞれの法定刑や成立要件について詳しく解説します。レジのお金を盗んでしまった人は、今後、どういった罪に問われる恐れがあるのか?についてぜひ参考にしてください。
窃盗罪
窃盗罪は他人の財産を侵害することによって成立する犯罪です。簡単に言えば「人の財布からお金を盗んだ」といったような場合に成立する犯罪であると考えておけば良いです。
上記のことから「レジの中にあるお金を盗んだ」という状況であれば、基本的には窃盗罪が成立します。ただし、窃盗罪が成立するためには「他人の占有下」にあることが前提条件です。
たとえば、レジの中にあるお金の管理者は通常、会社であり、会社のお金です。つまり、会社(他人)の占有物を盗み、自分の占有下におく行為は「窃盗罪」という犯罪が成立します。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。懲役刑の定めもある重罪であるため注意しなければいけません。万が一、懲役の実刑判決が下された場合は、長期間刑務所に収監されてしまう恐れもあります。
ただし、初犯である場合や被害額が少ない場合、被害者の処罰感情が薄い場合は罰金刑や執行猶予付きの判決となる可能性があります。とはいえ、有罪判決が確定した時点で前科が残り、今後の生活にも影響を与えるため注意してください。
業務上横領罪
業務上横領罪も「会社(他人)のお金を盗む行為」であることを考えれば、窃盗罪と違いはありません。しかし、業務上横領罪は「業務上、自己の占有化にある財物」であることが前提です。
たとえば、雇われ店長であるあなたが店舗のお金の管理を任せられているような場合です。この場合、あなたは他人のお金ではあるものの、「業務上、自己の占有下にある財物である」と見なされます。つまり、業務上横領罪が成立するのです。
業務上横領罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。窃盗罪の場合は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」のように、罰金刑の規定もあります。しかし、業務上横領罪の場合はありません。
つまり、業務上横領罪に問われた場合、有罪判決が下された時点で懲役刑が確定します。さらに、執行猶予付きの判決が下されなければ、実刑となり長期間刑務所へ収監されることになるため注意しましょう。
執行猶予とは、直ちに刑罰の執行をせずに一定期間猶予することです。たとえば「懲役3年執行猶予4年」であれば、直ちに刑罰(懲役3年)を執行せずに4年間猶予し、執行猶予期間中に罰金刑以上の刑罰が確定しなければ、刑罰の執行を免れるというものです。
罰金刑以上の刑罰が確定した場合は、執行猶予が取り消され、刑罰が執行される可能性があります。
なお、執行猶予付きの判決が下され、何事もなく過ごした場合であっても有罪判決が確定した時点で前科は付いてしまいます。そのため、今後の生活にも大きな影響を与えることになるでしょう。
レジのお金を盗んだ場合のリスク
つい魔が差してレジの中にあるお金を盗んでしまう人は、少なからず存在します。しかし、少しだけ考えられるタイミングがあった場合、これから解説する「もしもレジのお金を盗んでしまうとどうなるのだろうか?」について今一度振り返ってみてください。
レジのお金を盗んだ場合、会社の人に責められたり刑事罰を受けたりするだけではありません。実際に以下のようなリスクがあります。
- 懲戒解雇のリスク
- 賠償金請求のリスク
- 逮捕・長期勾留のリスク
次に、レジのお金を盗んでしまった場合に起こり得るリスクについて詳しく解説します。魔が差してしまった場合は、これから解説するリスクを思い出してください。
懲戒解雇のリスク
レジのお金を盗んでしまうと、懲戒解雇のリスクがあります。懲戒解雇は、懲戒処分の中でももっとも重い処分です。懲戒解雇になると、ただ勤務先を解雇されるだけではなく、以下のような影響が発生します。
- 解雇予告手当が支払われない
- 退職金が支払われない
- 再就職に影響を与える
解雇の種類はさまざまですが、懲戒解雇は従業員側に原因がある場合に認められている解雇です。そもそも解雇は、従業員を強制的にやめさせる行為であるため、相当な理由がなければ認められていません。
とくに懲戒解雇の場合は、上記のような影響があるため「懲戒解雇が合理的である理由」がなければいけません。当然、会社のお金を盗んだという事実は、懲戒解雇の理由になり得ます。
そして、懲戒解雇となると即日解雇が可能です。通常の解雇の場合は、解雇する30日以上前に解雇を通達する必要があります。30日未満で解雇をする場合は、解雇予告手当を支払わなければいけません。
しかし、懲戒解雇の場合は従業員側に相当な理由があるため、たとえ即日解雇であっても、会社側に解雇予告手当を支払う義務が発生しません。
さらに、社内規則で退職金の支払いについて定められている場合であっても、懲戒解雇の場合は退職金を支払わなくても良いです。多くの企業では社内規則に「懲戒解雇の場合は退職金を支払わない」と書かれています。
今後、再就職をする場合に前職の退職理由を記載する必要があります。このとき「解雇」と書かなければいけず、再就職先からは「解雇理由証明書」の提出を求められるケースが多いです。
当然、解雇理由証明書には「会社のお金を盗んだ」といった内容で書かれるでしょう。結果的に今後の再就職もうまくは行かなくなるため注意しましょう。
賠償金請求のリスク
初めに、盗んだお金について返済を求める訴訟を起こされる可能性があります。当然、盗んだお金については返済をする義務があります。そのため、初めから罪を認めて自ら「必ず返済します」と伝えておくと良いでしょう。
しかし、現実的にレジから盗んだお金を使い切ってしまった場合、すぐに返済をするのは難しいでしょう。この場合、分割等で返済をしていくことになります。
そして、レジのお金が盗まれたことによって、お店を営業できなかったり何らかの影響を受けている場合は、その分の損害賠償金も請求されます。たとえば、休業を余儀なくされてしまった場合は、休業していなかったら得られていたであろう利益分が損失として賠償請求されます。
逮捕・長期勾留のリスク
レジのお金を盗む行為は犯罪です。そのため、当然逮捕されたり長期間勾留されたりする可能性があります。
レジのお金を盗んでしまうことによって会社も解雇され、勾留されてしまうことによって再就職先を探すこともできません。家族がいる人であれば家族に生活費を入れることもできなくなってしまいます。独身の人であっても、収入がなければ生活を続けることはできません。
中には「解雇されてもすぐに再就職先を探してお金を稼ぐ」と考えている人がいるかもしれません。しかし、逮捕されて勾留されてしまえば長期間にわたって身柄を拘束されます。そのため、長期間収入を得られない状況が続き、私生活にも多大な影響がで始めるでしょう。
レジのお金を盗んで罪に問われた場合の流れ
レジのお金を盗む行為は犯罪です。そのため、警察等の捜査機関から取り調べを受けたり、場合によっては逮捕されて勾留されたりする可能性があります。次に、レジのお金を盗んで罪に問われてしまった場合の流れについて詳しく解説します。
今後、自分がどのような流れで裁かれていくことになるのか。そう不安を抱えている人は、これから解説する内容をぜひ参考にしてください。
逮捕
レジのお金を盗む行為は「窃盗罪」もしくは「業務上横領罪」が成立します。これらは刑法に定められている犯罪です。そのため、罪を犯した時点で逮捕されてしまう可能性があるため注意しなければいけません。
罪を犯したからといってすべての人が逮捕されるわけではないものの、上記のような犯罪の場合は逮捕されてしまう可能性が高いです。そして、逮捕されると身柄を拘束されます。逮捕後は48時間以内に検察官へ送致しなければいけません。
そのため、逮捕後は初めに48時間の範囲内で事件について取り調べが行われ、検察官へ事件を送致されるのが初めの流れです。
なお、窃盗罪や業務横領罪であっても逮捕せずに捜査を行うケースもあります。これを「在宅捜査」と言います。在宅捜査の場合は、自宅へ戻ることはできるものの、警察や検察等から呼び出しを受けた場合は任意で出頭する必要があります。
あくまでも任意であるため拒否はできるものの、在宅捜査の任意捜査で拒否してしまうと逮捕して身柄を拘束する可能性もあるため注意してください。何らかの事情で出頭できない場合は、事情を説明して日程を調整したほうが良いでしょう。
勾留請求
逮捕された被疑者の場合、逮捕から48時間以内に検察官へ事件を送致します。逮捕した被疑者も合わせて送致することを「身柄付送致」と言います。
身柄付送致の場合は、さらに24時間以内に引き続き被疑者を勾留する必要があるかどうかを判断します。勾留の必要があると判断された場合は、被疑者を裁判所へ連れて行って交流質問等を経て最終的に勾留可否を裁判官が決定します。
裁判官が勾留を認めた場合は、初めに10日間の身柄拘束が可能となります。ただ、実務的にはさらに10日間の勾留延長が認められるケースが大半であるため、勾留期間は20日となります。
ここまでで最長23日間の身柄拘束が発生するため、社会的な影響も大きくなるでしょう。早期の釈放を目指すためには在宅捜査を目指すしかありません。
起訴・不起訴の判断
身柄事件の場合は、勾留期間中に被疑者を起訴するか不起訴とするかを判断します。在宅事件の場合は期限に定めがなく、書類送検から2〜3カ月程度で判断されるのが一般的です。
不起訴となった場合は、本事件について今後有罪判決を受けることはありません。つまり、前科も付かずに社会生活へ戻ることができます。たとえ「レジからお金を盗んだ」という事実があったとしても、被害者と示談交渉が成立している場合などは不起訴処分となることもあります。
仮に、起訴された場合は基本的には刑事裁判を受けることになります。ただ、窃盗罪に問われた場合は罰金刑の規定があるため、「略式起訴」される可能性もあるでしょう。
略式起訴とは刑事裁判を開かずに手続きを省略させて罰金刑を確定させる方法です。略式起訴が選択されることによって、早期の釈放を目指せます。罪を犯した事実がある場合や略式起訴を提案された場合は検討してください。
刑事裁判を受ける
正式起訴された場合は、刑事裁判が開かれます。刑事裁判ではあなたの犯した罪について有罪か無罪かを判断します。有罪である場合は、どの程度の刑罰に処するのが妥当かを判断します。
「レジからお金を盗んだ」という事実がある以上、無罪判決となることはあり得ません。そのため、いかに刑罰を軽くするか、執行猶予を付けられるかといったところで争っていくことになるでしょう。
判決に従って刑に服する
有罪判決が下されて判決が確定した場合は、その刑罰に従って刑に服します。罰金刑であれば、罰金を支払って終了します。罰金を支払えなければ労役場留置となり、1日あたり5,000円程度で罰金の支払いを目指します。
懲役刑であれば、一定期間刑務所に収監されて刑務作業を行わなければいけません。ただし、執行猶予付きの判決が下された場合は、直ちに刑が執行されずに一度社会へ戻って生活を送ることができます。
執行猶予とは、直ちに刑罰の執行をせずに一定期間猶予することです。たとえば「懲役3年執行猶予4年」であれば、直ちに刑罰(懲役3年)を執行せずに4年間猶予し、執行猶予期間中に罰金刑以上の刑罰が確定しなければ、刑罰の執行を免れるというものです。
罰金刑以上の刑罰が確定した場合は、執行猶予が取り消され、刑罰が執行される可能性があります。
【店舗側】レジ金が合わないときによくある質問
レジのお金が合わない場合によくある質問を「店舗側の目線」で紹介します。
Q.レジ金を盗んだ従業員を懲戒解雇することは可能ですか?
A.レジのお金を盗んだ従業員の懲戒解雇は可能です。
懲戒解雇は懲戒処分の中でももっとも重い処分であり、処分を受ける従業員も大きな不利益を受けます。そのため、万が一誤った懲戒解雇をしてしまうと、解雇した従業員から不当解雇等の訴えを出される恐れもあるため注意しなければいけません。
懲戒解雇をするためには「懲戒解雇に値する事実であること」が必要です。では、「レジからお金を盗んだ場合、懲戒解雇は可能なのか?」と考えるでしょう。結論は「可能」です。
懲戒解雇に値する事実はある程度判例等で定められており、その中には「会社内における窃盗・横領・傷害等、刑法犯に該当する行為があった場合」も含まれます。
レジのお金を盗む行為は金額の大小に関わらず、窃盗罪もしくは業務上横領罪が成立します。いずれも刑法犯であり、立派な犯罪です。このことから、レジからお金を盗むという行為があった場合は、当該従業員を懲戒解雇することが可能です。
Q.盗られた証拠がない場合は、泣き寝入りするしかありませんか?
A.盗られた証拠がなければ、誰かに賠償責任を負わせるのは相当難しいです。
レジからお金が減っていたとしても、「盗まれた」という事実がなければ窃盗罪や業務上横領罪の立証は不可能です。仮に警察等の捜査機関に相談をしたとしても、犯人を特定することは困難でしょう。
また、窃盗である事実が証明できない場合は、そもそも窃盗ではない可能性があります。そのため、誰かに賠償責任を負わせることは難しいでしょう。
レジのお金がなくなってしまった原因を究明せずに、一方的に従業員に対して金銭を支払うように求める行為は違法であるため注意が必要です。不足するお金をどのように処理するかはお店側で決定すべきことですが、窃盗や横領ではない限り、従業員に対して一方的に補填を要求することはできません。
Q.窃盗が発覚した場合は直ちに警察へ相談するべきですか?
A.警察へ相談をしたほうが良いでしょう。
窃盗罪は立派な犯罪です。そのため、窃盗が発覚した場合は警察への相談を検討したほうが良いです。ただし、従業員に対して多少なりとも情けがある場合は、あえて通報しなくても良いでしょう。
本来、窃盗罪は非親告罪であるため被害者からの告訴がなくても罪に問うことは可能です。しかし、従業員の窃盗の場合は被害者が警察に通報をしなければ、事件として発覚することはありません。
また、窃盗が発生している場合に警察へ通報しなかったからといって、店舗側が何らかの方に触れたり処分をされたりすることもありません。そのため、「必ずしも通報しなければいけないのか?」といえば、そうではないことを覚えておきましょう。
ただし、罪を犯した従業員に対して少しでも反省してもらいたいと考えるのであれば、警察に通報をしたほうが良いでしょう。当該従業員は、当然窃盗罪や業務上横領罪に問われることになりますが、罪に問われることによって改心する人も少なからずいます。
必ず警察へ通報をする必要はないものの、本人の意思や意向、反省の度合いなどを考慮したうえで通報するかどうかを決めると良いでしょう。
【従業員側】レジ金を盗んでしまったときによくある質問
レジのお金が合わない場合によくある質問を「従業員側の目線」で紹介します。
Q.なんとか罪に問われたくないのですが、どうすれば良いでしょうか?
A .罪を犯してしまった以上、何をしても「絶対に罪に問われない」という保証はありません。
罪に問われたくない場合は、大前提として罪を犯さなければ良いだけです。しかし、つい出来心でレジのお金を盗んでしまったのであれば、罪に問われることを回避するのが困難です。
ただし、被害者であるお店は「犯罪事実を警察に通報する義務」があるわけではありません。そのため、お店に対して誠心誠意謝罪をしたうえで返金対応をするなど、真摯な対応をすることで警察への通報を回避できる可能性はあるでしょう。
ただ、上記の方法は確実な方法ではありません。あくまでも警察へ通報するかどうかは、被害者であるお店側が判断をするためです。
お店側の意向次第では「絶対に許さない」「何を言われても、何をされても警察へ通報します」といった態度を取る場合もあるでしょう。この場合は、あなたは窃盗罪もしくは業務上横領罪の罪に問われることになります。
ただし、罪に問われたからといって必ずしも逮捕されたり有罪判決が下されたりするわけではありません。とくに、誠心誠意謝罪をして返金対応をしている場合は、警察による取り調べ等は行われるものの、最終的に不起訴処分となる可能性があります。
不起訴処分となれば、前科も付くことはないため今後の影響は少ないでしょう。そのため、罪を犯してしまったあなたに今できることは、できるだけ早く、お店に返金と謝罪をすることです。
Q.レジ金がなくなったことは発覚したのですが、私がやったことはバレていません。このままでも大丈夫でしょうか?
A .いずれバレる可能性もあるため注意しましょう。
今時点であなたが「バレていない」と思っていても、お店の中では内々に証拠集めを行っている可能性があります。いずれバレてしまう可能性もあるため注意したほうが良いでしょう。
ただ、もしかすると証拠が揃っておらず、窃盗である事実を認識していない可能性もあるでしょう。この場合は、今後バレる可能性もなく、罪に問われることもありません。
しかし、万が一バレてしまった場合は、窃盗罪や業務上横領罪に問われます。いつまでも黙っておくことに罪悪感を覚えているのであれば、できるだけ早めに自分から申告をしたほうが良いでしょう。
今後、万が一バレてしまった場合に「ずっと黙っていた」という事実が重く受け止められてしまう可能性もあります。
Q.レジ金を取った後に罪悪感が出てきました。明日、レジの下にお金を戻して「落ちてました」と言っても大丈夫ですか?
A .お金を返すことは大切ですが、結果的にあなたがお金を盗んだことがバレてしまう可能性もあるため注意しましょう。
レジのお金が合わない場合、多くの人はレジの下を確認したりお金を数え直したりなどさまざまな対処法を検討します。そのため、あなたが翌日に「レジの下にお金落ちていました」と申告をしても、現実的に考えて「昨日あれだけ確認したのに……」と思われるでしょう。
上記の結果、「もしかして〇〇さん(あなた)が盗んだのではないか?」と、勘繰られてしまう恐れもあります。また、レジのお金が合わなかった時点で防犯カメラを確認するなどして、あなたがお金を盗ったところを見てわかっている可能性もあるでしょう。
上記の場合、あなたは「レジのお金を盗んだうえに、自分ではないと嘘をついた人」と認識されてしまいます。結果的に被害者(お店側)の心象としてはとても悪く、処罰感情も厳しくなるかもしれません。
そのため、罪悪感があるのであればやってしまったことを素直に認め、謝罪して自ら返金をしたほうが良いでしょう。素直に「昨日レジからお金を盗んでしまいました。罪悪感があったため、返金します。申し訳ございません」と伝えましょう。
Q.レジ金を盗んでいないのに自分が疑われています。どうすれば良いですか?
A .あなたが盗んでいないのであれば、毅然とした態度で対応しましょう。
あなたが本当にレジのお金を盗んでいないのであれば、「私はやっていません」としっかり伝えましょう。何らかの証拠があってあなたが疑われている場合は、証拠について弁解をすれば良いです。
たとえば、「あなたがレジの前で怪しい行動をしてた」と言われた場合、一緒に防犯カメラを確認してください。そのうえで、そのときに何をしていたのかを伝え、理解してもらえれば良いです。
また、証拠もないのに窃盗の疑いをかけてくる場合は、相手方に対して「侮辱罪」が成立する可能性もある旨を伝えましょう。弁護士に相談をして対応しても良いです。対応方法はさまざまであるため、まずは毅然とした態度でしっかり対処されることをおすすめします。
Q.本当にお金は盗んでいません。ただ、私のミスでレジ金に差があります。どうすれば良いですか?
A .ミスを認めて素直に謝罪をしましょう。
お金を盗んでいないのであれば、「お金を盗んでいません」としっかり伝えてください。そのうえで、ミスがあったことを認めて反省すれば良いです。また、なぜミスが発生したのかを説明し、今後同じことがないように改めれば良いでしょう。
なお、従業員のミスでレジ金の差を発生させてしまった場合、故意や過失がなければ賠償する必要はありません。
まとめ
今回は、レジのお金が合わない場合の対処法や窃盗された場合・してしまった場合の対処法について解説しました。
お店で人がお金を扱う以上、ミスが発生してしまうことはあります。また、つい魔が差してお金を盗んでしまう人も少なからずいます。もちろん、絶対にあってはいけないことではあるものの、人がレジを操作している以上起こり得ることです。
今回解説した内容を踏まえ、正しい対応方法を検討してみましょう。