落書きは罪になる?問われる可能性のある犯罪と罪に問われた場合の対処法

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落書き行為は立派な犯罪です。落書きをする場所等によって成立する犯罪は異なるものの、いずれも罰金刑や懲役刑の規定がある犯罪ばかりです。そのため、「いたずら心」「好奇心」等、安易な気持ちで落書きをするのは絶対にやめましょう。

この記事では、落書き行為によって成立する可能性のある犯罪について詳しく解説しています。落書きをしてしまった経験がある人、落書きは罪になるの?と疑問に思っている人は、本記事で解説している内容を参考にしてください。

落書きで問われる犯罪

落書きで問われる可能性のある犯罪は以下のとおりです。

  • 器物損壊罪
  • 建造物等損壊罪
  • 公職選挙法違反
  • 迷惑防止条例違反
  • 文化財保護法違反

「落書き」という行為であっても、何に落書きをしたのかによって問われる犯罪は異なります。まずは、落書き行為で問われる可能性もある犯罪について詳しく解説します。

器物損壊罪

一般的な落書きは「器物損壊罪」という犯罪が成立します。器物損壊罪とは以下の要件を満たした場合に成立する犯罪です。

  • 故意に他人の所有物を壊した場合
  • 故意に他人の所有物を使えない状態にした場合

たとえば、「同級生の教科書に落書きをした」「他人の車にスプレーを吹きかけた」といった場合に成立します。

器物損壊罪と聞くと「物理的に物を壊した場合に成立する犯罪」をイメージされる人が多いでしょう。しかし、落書き行為であっても器物損壊罪が成立するため注意しなければいけません。

また、ただの落書きの場合、器物損壊罪の成立要件を満たしていないように思う人がいるかもしれません。確かに、落書きをしただけであれば壊したわけでもないし、使えない状態にしたわけではありません。

教科書の隅っこに書けば教科書として使用することはできるし、車にスプレーを吹きかけたとしても車としての機能が損なわれるわけではありません。このことから、器物損壊罪は成立しないのではないか?と考える人もいるでしょう。

しかし、他人の所有物に落書きをする行為は、「落書きをされた人がどのように思うか」が大切です。車を所有されている人であれば、スプレーを吹きかけられた状態で「このままでも全然問題ない。このまま車に乗りたい」と考える人は少ないでしょう。

当然、塗装を塗り直さなければいけません。教科書も同様であり、他人に落書きをされたことによって、「もうこの教科書は使えない」と感じてしまうかもしれません。結果的に、「他人の所有物を使えない状態にした」ということになり得ます。そのため、器物損壊罪として成立します。

ちなみに、器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または科料」です。懲役刑の定めもある犯罪であり、いたずら心でやるべきではありません。やられた側の気持ちを考え、絶対にやめましょう。

【科料とは?】
科料とは、罰金同様に金銭の納付を命じる刑事罰の一つです。罰金刑との違いは金額であり、1,000円以上1万円未満を科料、1万円以上を罰金刑と区別しています。

建造物等損壊罪

建造物等損壊罪とは「他人の建造物または艦船を破壊した場合」に成立する犯罪です。たとえば、「他人のマンションにスプレーを吹きかけた」など、建物を対象に落書きをした場合に成立する犯罪です。

建造物等損壊罪も器物損壊罪同様に「損壊した場合」に成立する犯罪ではあるものの、落書きも「損壊」として捉えられているため犯罪として成立し得ます。

建造物等損壊罪の法定刑は「5年以下の懲役」です。器物損壊罪とは異なり、罰金の規定がありません。そのため、有罪判決が確定した時点で懲役刑となり、刑務所へ収監されてしまうため注意しましょう。

ただし、執行猶予付きの判決が下された場合は、直ちに刑の執行は行われません。執行猶予とは、「刑の執行を猶予すること」です。たとえば、「懲役3年執行猶予5年」の有罪判決が下された場合、あなたに科された刑事罰は「懲役3年」です。

懲役3年であれば、本来であれば刑務所に収監されて3年間刑務作業を行わなければいけません。しかし、執行猶予がついている場合は、5年間刑の執行をせずに社会へ戻れるのです。

社会生活を送る中で執行猶予期間中に罰金刑以上の刑罰が確定しなければ、「懲役3年」という刑罰は失効します。しかし、罰金刑以上の刑罰が確定した場合は、執行を猶予されていた懲役3年も加算されて刑罰を受けることになります。

執行猶予期間中は「罰金刑以上」で執行猶予を取り消される可能性があります。しかし、実際は罰金刑程度で執行猶予を取り消されるケースは稀です。

公職選挙法違反

選挙ポスターに落書きをした場合は、公職選挙法違反となります。選挙が始まると看板に候補者のポスターが貼り出されます。貼り出されたポスターを破ったり落書きをしたりすると犯罪となるため注意しなければいけません。

いたずら心で簡単な気持ちでやってしまう人がいるかもしれませんが、絶対にやめましょう。

選挙に立候補している人たちは、すべて平等に扱われなければいけません。他の候補者が綺麗なポスターが貼られているにも関わらず、特定の人だけ落書きをされていたり破られたりしてしまうと、選挙結果に影響を与えてしまう可能性もあります。

上記のことから、選挙ポスターに対して落書きをしたり破いたり剥がしたりするような行為は禁止されています。最悪の場合、逮捕されてしまう可能性もあるため注意しましょう。

ちなみに、公職選挙法違反に問われた場合、「4年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」が科されます。非常に厳しい処罰が下されるため、絶対にやめてください。

【懲役と禁錮の違い】
懲役刑および禁錮刑はいずれも刑務所に収監される自由刑の一つです。それぞれの違いは、刑務作業が義務付けられているかどうかです。懲役刑は義務があり、禁錮刑は義務がありません。ただし、2025年6月1日以降は、懲役刑と禁錮刑が併合され拘禁刑という刑罰に変わります。拘禁刑は刑務作業が義務付けられてはいません。

迷惑防止条例違反

迷惑防止条例違反は各都道府県もしくは市区町村によって定められている法律(条例)です。そのため、違反した場合の罰則規定はお住まいの地域によって異なるため、一度自分が住んでいる地域の迷惑防止条例について確認をしてみると良いでしょう。

たとえば東京都渋谷区の場合は、落書きをした場合は迷惑防止条例違反として2万円の罰金が科される可能性があります。

文化財保護法違反

文化財保護法は重要文化財を守るための法律です。重要文化財に落書きをした場合は、重要文化財を毀損したと見なされて処罰の対象となります。

そもそも重要文化財とは、日本にある有形文化財のうち「とくに重要な物」が指定されています。これらの重要文化財にたとえば、スプレーで落書きをしたような場合は、文化財保護法違反として処罰されるため注意しなければいけません。

「建物に落書きをした」という事実だけであれば、建物等毀損罪が成立します。しかし、建物が重要文化財だった場合は、文化財保護法違反となり、より厳しく処罰されるため注意しなければいけません。

ちなみに、文化財保護法違反に問われた場合「5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。

重要文化財は多くの人が足を運んで観光等を楽しむ場所です。落書きがあると、せっかく重要文化財を見に来てくれた人が残念な思いをして帰らなければいけなくなります。重要文化財としての価値も著しく低下してしまうでしょう。

上記のことから、とくに重要文化財に対する落書きはとても厳しく処罰されるため注意してください。

軽犯罪法違反

落書きの程度が軽い場合は、軽犯罪法によって処罰される可能性があります。軽犯罪法違反に問われた場合は、科料もしくは拘留の処罰が下されることになります。

ちなみに「科料」とは、刑事罰の一つで金銭を納付させる処罰です。罰金刑と同じですが、科料は1,000円以上1万円未満の金銭納付を命じる刑事罰です。一方で罰金刑は1万円以上の金銭納付を命じる刑事罰であり、上限はありません。

「拘留」とは、1日以上30日未満の期間で刑務所へ収監させて刑務作業を行わせる刑事罰です。自由刑のひとつであり、内容は懲役刑と同じです。懲役刑は30日以上の場合に使用される刑罰です。

なお、刑事手続きに「拘留(こうりゅう)」と同じ読み方である「勾留(こうりゅう)」があります。拘留は刑事罰の一つであるのに対し、勾留は罪を犯した疑いのある人を一時的に身柄拘束するための手続きであり、内容はまったく異なります。

【よくある事例】違法となる落書き行為の例

落書き行為は立派な犯罪ではあるものの、つい「いたずら心」や「悪気もなく」落書きをしてしまうケースがあります。そのため、次に違法となる落書き行為のうち、よくやってしまいがちな行為について詳しく解説します。

いじめっ子の教科書に落書きをした

学生時代に「いじめ問題」の加害者になっていた人もいるでしょう。中には、いじめっ子の教科書に落書きをした経験がある人もいるのではないでしょうか。

他人の教科書に落書きをする行為は、器物損壊罪に該当するため注意しなければいけません。極端な話ですが、器物損壊罪の公訴時効は犯罪行為があったときから3年間です。もしかすると、数年前に行っていたいじめ行為が器物損壊罪として立証されてしまうかもしれません。

器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または科料」です。たかが「教科書に落書きをしただけ」であっても立派な犯罪です。

ただし、未成年者が犯した罪についてはたとえ刑法犯であったとしても、少年法で守られています。とくに学生時代に行った落書き行為であれば罪に問われる可能性は低いでしょう。とはいえ、落書きをされてしまった人はとても悲しく、辛い思いをしているはずです。

落書きだけに限らずいじめ行為はそのすべてが犯罪です。絶対にやめましょう。

イタズラで選挙ポスターに落書きをした

選挙活動が開始されると各地に選挙ポスターが貼り出されます。つい、いたずら心で落書きをしたり破りたくなってしまう好奇心が起きることがあるかもしれません。

しかし、上記のような行為はすべて公職選挙法違反として処罰される可能性があります。公職選挙法違反(ポスターの毀損)の場合、法定刑は「4年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。

とくに小さい子どもは、つい、いたずら心や好奇心でイタズラをしたくなる場合があるかもしれません。しかし、その行為が犯罪となることを親の世代からしっかりと伝えてあげることがとても大切です。

人の家や車にスプレーを吹きかけた

人の家や車にスプレーを吹きかける行為は、犯罪となる落書き行為であるため注意しましょう。たとえば、「知り合いの車に傷が入っていたため、似た色のスプレーを勝手に吹きかけた」といったことがあるかもしれません。

たとえ、親切心でやってあげた行為であっても、相手からしたら嫌な思いをしているかもしれません。また、相手が損壊されたと思えばそれは立派な犯罪であり、器物損壊罪が成立します。

器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または科料」であり、とても厳しい罰則規定があります。くれぐれも注意しましょう。

芸術的なストリートアート

河川敷などを歩いているととても上手に書かれた絵を見かけることがあるでしょう。いわゆる「ストリートアート」と呼ばれるものです。ストリートアートも許可を得ずに書いてしまうと犯罪になり得ます。上手な絵、芸術的な絵であってもその行為は立派な犯罪であるため注意しましょう。

ちなみに、ストリートアートで成立する犯罪はさまざまです。建物や艦船に落書きをした場合は建物等毀損罪が成立します。橋の下等に落書きをした場合は、建造物損壊罪や器物損壊罪が成立するため注意してください。

落書きで逮捕された場合の流れ

落書き行為は何らかの犯罪に抵触するため、逮捕されてしまう可能性があります。万が一逮捕されてしまった場合、今後どのような流れで事件が進んでいくのか?と不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。

次に、落書き行為で逮捕されてしまった場合の流れについて詳しく解説をします。

ちなみに落書き行為はその場で逮捕されなかったとしても、周囲の防犯カメラ等で捜査を行い、後から逮捕されてしまう可能性もあるため注意してください。

逮捕

落書き行為は何らかの犯罪となる可能性があります。そのため、逮捕されてしまう可能性があるため注意しなければいけません。

そもそも「逮捕」とは、罪を犯した疑いのある人の身柄を拘束するための手続きです。罪を犯したからといってすべての人が逮捕されるわけではなく、逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れがある場合もしくは重大な犯罪を犯した場合です。

落書き行為は犯罪ではあるものの、いずれも比較的軽微な犯罪です。そのため、逮捕をせずに捜査を行う可能性もあります。逮捕をせずに捜査を行うことを「在宅捜査」と呼びます。一方で逮捕をして身柄拘束を行って捜査を行うことを「身柄事件」と呼びます。

身柄事件となった場合は、逮捕から48時間以内に検察官へ事件を送致しなければいけません。そして、勾留請求の判断へ移行する流れとなります。在宅捜査となった場合は送致までの期限に定めはありません。

また、在宅捜査となった場合に行われる捜査は、あくまでも任意という形(任意聴取)で行われます。そのため、取り調べに応じるかどうかは自分次第です。とはいえ、罪を犯しているにも関わらず任意聴取を拒否し続けていると逮捕される可能性もあるため注意してください。

勾留請求

身柄付送致された場合は、さらに24時間以内に検察官が「勾留する必要があるかどうか」について判断する必要があります。勾留の必要があると判断された場合は、被疑者を裁判所へ連れて行って勾留質問等を行い、最終的に勾留の必要があるかどうかを裁判官が決定する流れです。

勾留の必要がないと判断された場合は、即時釈放されて在宅事件に切り替わります。一方で、勾留が必要であると判断された場合は、さらに10日間の身柄拘束が行われます。一般的にはさらに勾留延長請求が行われ、さらに10日合計20日間の勾留が行われることになるでしょう。

起訴・不起訴の判断

身柄事件の場合、勾留期間中に起訴もしくは不起訴の判断がされます。起訴には大きく分けて「略式起訴」と「正式起訴」があり、前者は、正式裁判を行わずに判決(略式命令)を言い渡して事件は終了します。

略式起訴は刑事裁判を行わない分、早期に釈放される点がメリットです。一方で、刑事裁判が開かれないため、事件に関する弁解をする機会を与えられない点がデメリットです。また、100万円以下の罰金もしくは科料に対してしか略式命令はできません。

落書き行為によって問われる可能性のある犯罪の中には、罰金刑の定めがある犯罪が大半です。そのため、略式命令が下される可能性もあるため覚えておくと良いでしょう。

また、被害者と示談交渉が済んでいる場合など特別な事情がある場合は、罪を犯した事実があっても不起訴処分となる可能性があります。不起訴処分となった場合は、当該事件で改めて罰を受けることはありません。

そして、正式起訴された場合は刑事裁判に移行して判決が言い渡される流れとなります。

刑事裁判を受ける

正式起訴された場合は、刑事裁判が開かれます。刑事裁判では、あなたが犯した罪について有罪か無罪かを判断し、有罪である場合はどの程度の刑罰に処するのが妥当かを決定し、判決として言い渡します。

落書きをした事実がある以上、刑事裁判で無罪判決が下される可能性はゼロです。そのため、正式起訴された場合はいかに刑罰を軽くするかに焦点を当て、弁護人とよく話し合いをしたほうが良いでしょう。

判決に従って刑に服する

刑事裁判の最後に判決が言い渡されます。落書きによる犯罪の刑罰は懲役刑・禁錮刑等の自由刑もしくは罰金刑・科料等の財産刑に分けられます。

自由刑が確定した場合、執行猶予付きの判決が下されなければ一定期間刑務所へ収監されます。執行猶予が付いた場合は、直ちに刑の執行をされることはありません。一定期間刑の執行を猶予し、社会へ戻ってくることができます。

執行猶予期間中に罰金刑以上の刑罰が確定しなければ、刑は失効します。つまり、刑が執行されることはありません。しかし、罰金刑以上の刑罰が確定すると、執行猶予が取り消されてしまう可能性があるため注意してください。

なお、財産刑の場合はお金を支払って終了します。しかし、万が一支払えなかった場合は、労役場留置となり、罰金が支払い終わるまで一定期間刑務所へ収監されます。

落書きで罪に問われた場合の対処法

落書きで罪に問われてしまった場合、罰金刑や懲役刑等さまざまな処分が下される可能性があります。そのため、少しでも刑罰を軽くするために以下の対処法を検討してください。

  • 反省している態度を示す
  • 原状回復・賠償を行う
  • 示談交渉を行う
  • 弁護士に相談をする

次に、落書きで罪に問われてしまった場合の対処法について詳しく解説します。

反省している態度を示す

落書き行為について真摯に反省している態度を示しましょう。刑事裁判等において、犯した罪について反省をしているかどうかは非常に重要です。「つい出来心でやってしまった。もう2度と同じことは繰り返さない」と誓い、深く反省することで刑罰が軽くなる可能性もあるでしょう。

とくに落書き行為によって成立する犯罪は、比較的軽微な犯罪ばかりです。そのため、反省している態度をしっかり示すことで、不起訴処分となったり執行猶予付きの判決が下されたりなど、さまざまなメリットが発生します。

原状回復・賠償を支払う

落書きをしてしまったところの原状回復を行い、賠償金の支払いを自ら申し出ましょう。落書きをしてしまった場合、落書きをされた者は修理をしたり買い換えたりしなければ使用できません。そのため、その費用は全額加害者であるあなたが負担をします。

たとえば、車のボディにスプレーを吹きかけてしまったのであれば、車の塗装費用を負担する必要があります。

また、落書き行為によって生じた損害に対する賠償金も支払う義務があるため、早めに交渉を行って支払いを完了させておいたほうが良いです。たとえば、車のボディにスプレーで落書きをしたような場合で、被害者が落書きによって車を使用できなかった。

代わりに代車を頼んでいたりレンタカーを借りたりしていた場合は、その費用を賠償金として支払う必要があります。

示談交渉を行う

被害者と示談交渉を行っておきましょう。示談交渉の成立有無は処分を決定する上で非常に重要です。示談交渉が成立していると、被害者の処罰感情は少なくなり、検察官等に対して「嘆願書」というものを提出してくれます。

嘆願書とは「私(被害者)は〇〇さん(加害者)と示談交渉が成立しています。そのため、どうか寛大な処分でお願いいたします(処分を求めません)」といった内容で提出されます。

嘆願書自体、法的効力のあるものではありません。しかし、嘆願書が提出されることによって被害者の処罰感情が少ないことが明らかになり、処分に影響を与えます。

示談交渉を進めるに当たっては、原状回復するための費用を支払ったり慰謝料を支払ったりする必要があります。また、やってしまったことについて真摯に認め、反省している態度を示し、被害者に対して謝罪をしなければいけません。

示談交渉は弁護士を介して行うのが一般的です。そのため、可能であれば早めに弁護人を付けたうえで示談交渉を進めていきましょう。

弁護士に相談をする

落書き行為で罪に問われてしまった場合、できるだけ早めに弁護士へ相談をしておきましょう。身柄事件の場合は勾留後、在宅事件の場合は起訴後に国選弁護人は付くものの、タイミングとしてはとても遅いです。

【国選弁護人とは】
国選弁護人とは、経済的事情等から私選弁護人の選任が難しい人に対して無料で弁護人を付けられる制度です。

落書き行為によって成立する犯罪の場合、ほとんどが比較的軽微な犯罪であり、在宅事件となる可能性が高いです。そのため、国選弁護人を待っていると起訴後になってしまうため、不起訴を目指している人にとってはタイミングが遅いです。

また、起訴されてしまうと99.9%の確率で有罪判決となり、前科が残ってしまいます。そのため、早めに弁護人へ相談をしたうえで適切な弁護活動を行ってもらうようにしましょう。

落書きは罪になる?よくある質問を紹介

落書き行為は罪になるのか?よくある事例を元に詳しく解説します。

Q.人の物に勝手にサインをする行為は罪になりますか?

A.罪に問われる可能性があります。

あなたが有名人dねあったとしても、すべての人がサインを求めているとは限りません。そのため、勝手にサインをしてしまうと器物損壊罪等の犯罪に問われてしまう可能性があるため注意しなければいけません。

あなた自身が良かれと思って行った行為であっても、相手からしたら迷惑行為である可能性もあります。そのため、たとえ有名人のサインであっても、相手方の同意を得たうえで書く必要があります。

たとえば、あなたが有名人であっても「自分の車にあなたのサインをしてほしい」と考える人は少ないでしょう。ましてや、あなたが勝手に行ったことであれば、迷惑でしかなく立派な犯罪行為として成立します。

Q.芸術であっても人の物に絵を描くのは違法ですか?

A.どれだけ芸術的な絵であっても、違法行為であることに変わりありません。

いわゆる「ストリートアート」もとても芸術的で素敵な絵が描かれていることが多いです。しかし、許可を得ずに書いてしまえば立派な犯罪です。何らかの犯罪が成立し得るため絶対にやめてください。

もし、「芸術的な絵でも犯罪になるのか?」などと考えた際は、「自分の大切なものに人が書いた絵を描かれても良いか?」という基準で考えましょう。たとえば、あなたがまったく興味のないジャンルの絵であれば「嫌だな」と感じるのではないでしょうか。

あなたがそのように思える人であれば、絵を描かれてしまった人や管理者も同じように思います。たとえ芸術的な絵であっても落書き行為であることは事実です。絶対にやめてください。

Q.人に頼まれた場合は違法性はありませんか?

A.人に頼まれて書いた場合は違法ではありません。

人に頼まれて落書きをした場合は、違法ではありません。ただし「所有者もしくは管理者」である前提が必要です。

たとえば、悪友に「私、〇〇さんのこと嫌いだから〇〇さんの車に落書きをしても良いよ」と言われた場合、車の所有者の許可を得ているわけではありません。そのため、この場合は当然に犯罪になり得ます。

一方で、「私の〇〇にあなたの絵を描いて欲しい」と依頼されたような場合は、当然違法性はありません。

上記のように、描いて欲しいと考えている人の所有物かどうかといった基準で違法性が判断されます。他人の所有物に勝手に絵を描いてしまうと、どれだけ立派なものであっても違法であるため注意してください。

Q.河川敷やトンネルに書かれている絵は落書きですか?目的は何ですか?

A.一概に目的を述べることはできませんが、何らかのメッセージが込められていることが多いです。

河川敷やトンネル等で見かけることのあるストリートアート。もちろん、どれだけ芸術的な絵であっても、所有者の許可を得ていなければ違法です。しかしなぜ、違法行為でありながらストリートアートを行っているのか?と、気になっている方も多いのではないでしょうか。

一概に「目的は〇〇です」とお伝えすることはできません。それぞれさまざまな意味を込めてストリートアートを行っているためです。一つ言えることとすれば、大半の人が何らかのメッセージを込めて描いています。

どのようなメッセージが込められているかについては、実際に書かれている文字を判読して意味を理解する必要があるでしょう。

そして「ストリートアート」に似た行為として「グラフィティー」というものがあります。いずれも落書き行為や犯罪行為であることに変わりはありません。しかし、それぞれ異なる特徴があります。

ストリートアートは壁や建物等に書かれた落書きのことを指し、広義で使用される言葉です。一方でグラフィティーは、文字や名前フォントを崩して描いているデザインのことを指します。

つまり、グラフィティーのほうがメッセージ性は強いと言えます。ただ、グラフィティーで書かれるデザインはフォントが崩れており、一般の人が解読をするのは難しいことがほとんどです。そのため、グラフィティライター同士内でメッセージを伝える意味合いが強いです。

Q.他人のノートやメモ帳に落書きする行為は違法ですか?

A.他人のノートやメモ帳であっても落書きをすることによって、器物損壊罪に問われる可能性があります。

ノートやメモ帳はメモを取ったり記憶しておきたいことを記載したりするためのものです。そのため、ノートやメモ帳に落書きをすることに対して罪意識が薄い人も多いでしょう。

確かに、ノートやメモ帳は落書きをしてもその部分を破いてしまえば再利用できますし、買い替えも容易です。しかし、落書きをされた本人からするとそのメモ帳やノートに思い入れがあるかもしれません。

そのため、たとえノートやメモ帳という何かを書くものであっても、違法となる可能性があるため注意しなければいけません。

ただし、ノートやメモ帳に落書きをしたからといって、直ちに罪に問われる可能性は低いです。なぜなら、ノートやメモ帳は何かを書くものであり、被害程度も軽微であるためです。そのため、直ちに罪に問われる可能性は低いため、過去に過ちを犯してしまっていたとしても過度に心配をする必要はないでしょう。

Q.賃貸マンションの壁に落書きするのは違法ですか?

A.賃貸マンションの居室内に落書きをした場合、罪に問われる可能性は低いです。

賃貸マンションは賃貸借契約に基づいて契約を行っており、賃借人は適切に使用する義務があります。たとえお金を支払って借りている居室であっても、他人の所有物であることに変わりはありません。そのため、他人の所有物に対して落書きをする行為は禁止されています。

とはいえ、とくに小さい子どもがいる家庭では故意はなく、誤って落書きをしてしまうこともあるでしょう。この場合、何らかの犯罪に抵触してしまう可能性は低いです。しかし、退去時、賃借人に対して原状回復義務が発生するため注意しましょう。

原状回復義務とは、賃貸したときと同等の状態に戻す義務です。もちろん、人が住んでいる以上、室内が汚れてしまったり経年劣化等は発生し得ます。そういった部分について原状回復義務は負いません。

しかし、室内の落書きはたとえ小さい子どもがいたとしても原状回復義務を負います。よって、犯罪になる可能性は低いものの、退去時に原状回復費用を請求される可能性はあるため注意してください。

Q.落書きで罪に問われた場合、逮捕されたり懲役刑となったりする可能性はありますか?

A.落書きで罪に問われた場合は、逮捕されたり懲役刑となる可能性があります。

落書き行為は刑法や公職選挙法、軽犯罪法などさまざまな法律で禁止されています。また、罰則規定のある犯罪であるため、罪を犯せば何らかの罰が下される可能性は十分に考えられます。

当然、犯罪行為であるため逮捕される可能性もあるため注意したほうが良いでしょう。逮捕されてしまうと身柄拘束されてしまうため、社会的影響も発生し得ます。また、勾留されたり懲役刑等の自由刑が確定したりすると、長期間にわたって身柄拘束が発生するため影響は相当なものになるでしょう。

仮に、在宅事件として扱われ、最終的に罰金刑で済んだとしても前科は残ってしまいます。前科は一生消えることのない「罪を犯して罰を受けた事実」であるため、くれぐれも注意しましょう。

まとめ

今回は、落書き行為について解説しました。

落書きはさまざまな法律によって禁止されている行為であり、罪を犯せば逮捕されたり処罰を受けたりする可能性があります。「いたずら心」「好奇心」でやってしまった行為であっても、犯罪であることに変わりはありません。

中には懲役刑の定めがある犯罪もあり、最悪の場合は長期間刑務所に収監されてしまうことになります。また、落書きをしたことによる損害金、賠償金の支払いを求められ、経済的にも苦しい思いをすることになるため絶対にやめましょう。

今回解説した内容を踏まえ、絶対に落書きといった犯罪を行わないように注意しましょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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