泥酔して暴行を加えた場合、暴行罪や傷害罪、不同意わいせつ罪や不同意性行為等が成立し得ます。内容によっても異なりますが、いずれの場合も刑事罰が下されてしまうため注意しなければいけません。
また、泥酔をしていた場合、中には「記憶がない」「覚えていない」ということも起こり得るでしょう。この場合であっても、基本的には客観的証拠に基づいて罪に問われることになるでしょう。
この記事では、泥酔して暴行してしまった場合に問われる罪、泥酔していた際の刑事責任能力について詳しく解説しています。泥酔して暴行をしてしまったケースの罪について知りたい人は、本記事を参考にしてください。
目次
泥酔して暴行した場合に問われる罪
泥酔して人に暴行を加えた場合、以下の罪に問われる可能性があります。
- 暴行罪
- 傷害罪
- 傷害致死罪
- 不同意わいせつ罪
- 不同意性交等罪
まずは、泥酔して人に暴行を加えた場合に成立する犯罪や、それぞれの成立要件について詳しく解説します。
暴行罪
泥酔して人に暴行を加えた場合は、刑法に定められている「暴行罪」という犯罪が成立します。暴行罪は、人に対して有形力を行使し、結果的に傷害に至らせなかった場合に成立する犯罪です。
たとえば、泥酔して胸ぐらを掴んだ、強く押した、唾を吐きかけたなどの行為はすべて暴行罪が成立します。暴行罪に問われた場合「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」に処されます。
たとえ、泥酔して行ってしまった行為であっても、罪に問われる可能性があるため注意してください。
傷害罪
暴行の結果、人に怪我をさせた場合は傷害罪が成立します。傷害罪は、怪我の有無によって成立するかどうかが変わります。たとえば、「泥酔して人を殴った」というケースで相手が怪我をしなかった場合は暴行罪、怪我をしてしまった場合は傷害罪が成立します。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。暴行罪と比較すると、相当重い罪に問われることになるため注意しなければいけません。
傷害致死罪
傷害致死罪は、傷害の結果、人を死亡させてしまった場合に成立する犯罪です。たとえば、「人を殴った」という事例であっても、殴った結果相手が倒れて頭を強打し、そのまま死亡してしまった場合は傷害致死罪になり得ます。
仮に、殺害するつもりがなくても、結果的に死亡させた時点で「傷害致死罪」は成立してしまうため注意しましょう。ちなみに、傷害致死罪の法定刑は「3年以上の有期懲役」です。
有期懲役とは、期間の定めがある懲役刑を指します。懲役刑は、有期懲役と無期懲役があります。無期懲役は、その名の通り期間の定めがない懲役刑であり、終身刑の側面もあります。仮釈放が認められなければ、一生刑務所からでられません。
有期懲役は、判決外渡された時点で期間が定められており、その期間刑務所に収容されることによって刑期を全うしたことになります。なお、有期懲役の上限は加重なしで20年、加重された場合は30年です。
不同意わいせつ罪
泥酔した勢いで相手に対してわいせつな行為(暴行)をした場合、不同意わいせつ罪という罪に問われます。無理やりわいせつな行為をした場合も、いわゆる「暴行」と言われるケースもあるため、不同意わいせつ罪についても考えておいたほうが良いでしょう。
なお、わいせつな行為とは以下のような行為が該当します。
- 陰部に触れる
- 胸を触る
- 服を脱がせる
上記のような行為はすべて、わいせつな行為として不同意わいせつ罪が成立します。なお、不同意わいせつ罪は、「相手の同意がないこと」が前提です。
なお、不同意わいせつ罪の法定刑は「6カ月以上10年以下の拘禁刑」です。非常に厳しい刑罰が下される恐れがあるため注意しましょう。
拘禁刑は自由刑の一つです。現在は、懲役刑と禁錮刑の2つの自由刑がありますが、2025年6月1日以降は懲役刑および禁錮刑が一本化され、拘禁刑に変わります。
不同意性交等罪
不同意性交等罪とは、同意のない相手に対して性交等(暴行)を加えた場合に成立する犯罪です。不同意わいせつ罪との違いは、相手に対して行った行為です。不同意わいせつ罪は「わいせつな行為」であるのに対し、不同意性交等罪は「性交等」です。
性交等に含まれる行為は、以下のとおりです。
- 通常性交
- 肛門性交
- 口腔性交
とくに注意すべきなのはお互いに泥酔している状態で行為を行ってしまうことです。冷静な判断をできない状態で性交等を行った場合、後から「同意していなかった」と言われてしまう恐れがあります。仮に暴行を用いていなくても、無理やり行った事実が「暴行」と判断されてしまうこともあるため注意しましょう。
なお、不同意性交等罪の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」です。たとえ、泥酔した勢いであっても、当然罪に問われることになるため十分に注意しましょう。
拘禁刑は自由刑の一つです。現在は、懲役刑と禁錮刑の2つの自由刑がありますが、2025年6月1日以降は懲役刑および禁錮刑が一本化され、拘禁刑に変わります。
泥酔して暴行した場合の責任能力について
泥酔して暴行をしてしまった場合、泥酔している本人はアルコールによって感情をコントロールできなくなったり、記憶障害を起こしてしまったりすることがあります。このことにより、普段であれば自制できる行為であっても、アルコールによって自制できなくなるケースもあるのです。
もし、アルコールの影響によって暴行をしてしまった場合、刑事責任能力はどのように判断されるのでしょうか。次に、アルコールの影響と刑事責任能力について、詳しく解説します。
刑事責任能力とは
刑事責任能力とは、簡単に言えば「自分の行ったことが法律違反になるのかどうかを判断できる能力」です。一般的に刑事責任能力を科し得る年齢は14歳であると言われています。
飲酒可能な年齢は20歳からであるため、当然に泥酔して暴行をした本人には、刑事責任能力があると判断されます。しかし、アルコールの影響によって良し悪しの判断ができない状況になっている場合、刑事責任能力なしと判断されるケースもあるのです。
そもそも、刑事事件においては、刑事責任能力がなければ罪を問うことができません。たとえば、年齢が14歳以上に達していたとしても、知的障害者の刑事責任能力は年齢だけではなく障害の程度や犯行の態様、行動などを元に判断されます。
他にも、精神状況が不安定であり、適切な判断をできない状況下で行った犯行についても、心身衰弱もしくは心神喪失によって、罪が軽くなったり罪に問えなかったりします。
アルコールも同様であり、飲酒によってひどく泥酔し、適切な判断をできずに行ってしまった犯罪については刑事責任を問うことはできません。もちろん、飲酒の程度や酩酊具合などを考慮したうえで判断されます。
刑事責任能力「あり」と判断されるケースが多い
泥酔して暴行を加えた場合、仮に記憶になかったとしても刑事責任能力「あり」と判断されるケースが多いです。
まず、飲酒による刑事責任能力を問う際は、「単純酩酊」と「異常酩酊」のどちらであったかを判断する必要があります。前者の場合は、アルコール血中濃度に応じた通常範囲内の反応であり、刑事責任能力はあると判断されます。
単純酩酊状態を簡単に言えば、お酒を飲み始めたタイミングやほろ酔いで「ある程度の判断をできる状態」です。
一方で、異常酩酊とはひどく泥酔した状況を指し、一般的には「酒癖が悪い」「酒乱」などといった言葉で言い表されることがあります。さらに、異常酩酊を細かく分類すると「複雑酩酊」と「病的酩酊」に分けられます。
複雑酩酊の場合は、限定責任能力ありと判断され、病的酩酊の場合は責任無能力と判断されます。一般的な人であれば、過度な飲酒をした場合であっても異常酩酊になるケースは少ないため、結果的に「刑事責任能力あり」と判断されるのです。
心神耗弱・心身喪失による刑事責任能力「なし」となるケースもある
先ほども解説したとおり、過度の飲酒によって「責任能力なし」と判断されるためには、異常酩酊であったことを証明しなければいけません。異常酩酊には、「複雑酩酊」と「病的酩酊」の2種類あることも前述のとおりです。
複雑酩酊とは、いわゆる酒乱と呼ばれる状況を指し、具体的には「飲酒によって暴力的な態度、言動をしてしまう状態」です。この状態であったことを証明できた場合は、複雑酩酊によって限定責任能力ありと判断されることになります。限定責任能力の場合は、刑が減刑されます。
一方で、病的酩酊とは飲酒していないときには現れないものの、飲酒によって攻撃性や暴力性が突如現れてしまう状況です。この状態にあった場合は、病的酩酊となり、責任無能力なしと判断され、罰せられることはありません。
泥酔して暴行した場合に逮捕される可能性
泥酔した、軽微であっても逮捕されてしまう可能性があります。しかし、被害が軽微である場合は逮捕せずに、一時的に「保護」するケースもあるため注意しなければいけません。
次に、泥酔して暴行した場合に起こり得る逮捕の可能性について詳しく解説します。
逮捕される可能性が高い
泥酔して暴行を加えてしまった場合、逮捕される可能性が高いです。なぜなら、逮捕という行為は、「逃亡の恐れ」もしくは「証拠隠滅の恐れ」がある場合に行える手続きであるためです。
泥酔している状態にあるため、そのまま警察署に連れて行って事情聴取を行うのは困難です。仮に、その場で自宅に帰してしまえば、アルコールによる記憶障害によって、無意識に逃亡したり証拠隠滅をしたりする可能性もあるでしょう。
上記のことから、軽微な暴行であっても一度逮捕をしたうえで在宅捜査に切り替えるケースが多いです。
軽微でも保護される可能性がある
軽微な暴行である場合や暴行が認められない場合であっても、泥酔状態にある場合は、一時保護するケースがあります。警察が行う保護とは、事件性がないものの一時的に保護をしたほうが良い場合に行われる手続きです。
基本的には酔いが覚めた時点で即時釈放されますが、一時的に警察署内にある保護施設もしくは病院等で保護をすることがあります。
泥酔して暴行し、逮捕された場合の流れ
泥酔して暴行をした場合、被害程度に関わらず逮捕されてしまう恐れがあります。万が一逮捕された場合、どのような流れで事件が進んでいくのだろうか?と、不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
次に、泥酔して暴行し、逮捕された場合の流れについて詳しく解説します。
逮捕
泥酔して暴行を加えた場合、どのような事情があったにせよ逮捕される可能性があります。逮捕された場合は、初めに48時間の身柄拘束が行われます。この間は、警察署にある留置所と呼ばれる場所で生活を送らなければいけません。
その後、事情聴取などを行い、引き続き身柄拘束する必要がないと判断された場合は釈放されて在宅捜査に切り替わります。
引き続き身柄拘束されたまま捜査を行う事件のことは「身柄事件」と呼びます。一方で、在宅に切り替わった場合は「在宅事件」と呼ばれ、その後の流れが変わるため覚えておきましょう。
なお、警察は逮捕から48時間以内に検察官へ事件を送致しなければいけません。身柄付きで送致する場合は「身柄付送致」と言います。在宅捜査に切り替わる場合は、「書類送検」と呼び、期限に定めはありません。
勾留請求
身柄事件の場合、事件が送致されてからさらに24時間以内に引き続き身柄を拘束するかどうかを判断します。身柄拘束の必要がないと判断された場合は、そのまま釈放されて在宅捜査に切り替わります。
一方で、引き続き身柄拘束の必要があると判断された場合は、勾留請求を行う流れです。勾留請求が行われた場合は、被疑者を裁判所へ連れて行って勾留質問を行い、最終的に裁判官が決定します。
勾留請求が認められた場合、初めに10日間の身柄拘束が行われます。ただし、さらに10日間の勾留延長が認められるケースが大半であり、合計20日間の拘束となるため注意しなければいけません。
ここまでで、逮捕〜勾留で23日間の身柄拘束が行われることとなり、社会的な影響も大きくなるため注意しましょう。当然、勾留中は外へ出ることはできないため、会社や学校等の日常生活も遅れなくなります。
起訴・不起訴の判断
身柄事件の場合は、勾留期間中に被疑者を起訴するか不起訴とするかを判断します。在宅事件の場合は、通常2カ月程度で起訴・不起訴の判断されると思っておけば良いでしょう。
不起訴となった場合は、罰を受けずに事件は終了します。不起訴となるためには、被害者との示談交渉有無がとても重要であるため、早めに示談交渉を進めておくようにしましょう。
起訴された場合、通常は刑事裁判を受けて判決に従って刑に服します。ただし、暴行罪や傷害罪の場合は、「略式起訴」という起訴方法によって起訴されるケースがあります。
略式起訴とは、100万円以下の罰金に対してのみ行える起訴方法であり、刑事裁判を開かずに事件が終了できるため、被疑者にとってメリットの大きい制度です。ただ、刑事裁判が開かれない分、弁解する機会が与えられません。そのため、自分に言い分がある場合などは略式起訴を断ることもできます。
刑事裁判を受ける
正式起訴された場合は、刑事裁判を受けます。刑事裁判では、あなたに対する刑事責任能力の有無や行った犯罪などを審理し、有罪か無罪かを判断します。有罪である場合は、どの程度の刑罰に処するかを決定し、判決を言い渡す流れです。
判決に従って刑に服する
判決が言い渡された場合、その判決に従って刑に服します。罰金刑であれば、罰金を支払って終了します。懲役刑であれば、一定期間刑務所で過ごさなければいけません。
なお、いずれの犯罪も執行猶予が付いた場合は、直ちに刑の執行はされません。執行猶予期間中に罰金刑以上の刑罰が確定しなければ、今後も執行されることはないため安心してください。
泥酔して暴行をしてしまった場合の対処法
泥酔をして暴行してしまった場合、後悔しても遅いケースが大半です。やってしまったことは変えられないため、今後どのように行動をすべきか?について考える必要があります。
具体的には、以下の方法を検討すると良いでしょう。
- 弁護士へ相談をする
- 被害者と示談交渉を行う
- 反省している態度を示す
次に、泥酔して暴行をしてしまった場合の対処法について解説します。
弁護士へ相談をする
初めに弁護士への相談を検討しましょう。弁護士へ相談をすることによって、早期に適切な弁護活動を行い、早期の釈放や刑罰の減刑に期待が持てます。
また、逮捕された場合に一度だけ弁護人を呼べる「当番弁護人制度」というものがあります。この制度は、逮捕された被疑者に対して今後のアドバイスや弁護人制度の紹介、今後の流れについて説明をするための制度です。
「逮捕後に一度だけ」という制限があり、継続的な弁護活動を目的とした制度ではありません。そのため、可能であれば自分自身で弁護人を選任されることをおすすめします。
そもそも、逮捕された一般人の多くは、法律に関する知識はほとんどありません。そのため、「今後自分はどうなってしまうのだろうか?」「取り調べにはどのように応じれば良いのだろうか?」といった悩みや不安を抱えていることでしょう。
そういった不安を解消し、適切に取り調べに応じられるようにするための制度です。そのため、継続的な弁護活動を依頼する場合は、原則私選弁護人を選任するしかありません。
後に、勾留確定もしくは起訴された場合には国選弁護人を選任してもらうことも可能です。しかし、勾留されてしまえば最長20日間、起訴された場合は99%の確率で有罪判決となります。つまり、国選弁護人を待っていればタイミングとしてはとても遅いのです。
よって、費用は自分で支払わなければいけませんが、私選弁護人を選任したうえで早期に弁護活動を開始してもらったほうが良いでしょう。
被害者と示談交渉を行う
泥酔して暴行を加えてしまった場合、しっかり反省したうえで被害者に対して示談交渉を行いましょう。示談が成立した場合は、被害者は「嘆願書」という書類を提出してくれます。
嘆願書は法的に効力のある書類ではないものの、被害者の処罰感情が薄れた、もしくはなくなったことを表しているため、刑罰が軽くなる可能性が高まります。とくに暴行罪や軽微な傷害罪の場合は、不起訴処分となる可能性が高いでしょう。
もし、示談が成立して不起訴処分となった場合は、前科は付きません。そのため、今後の影響も最小限に抑えられる点がメリットです。
なお、示談金の相場は被害程度等によって異なります。暴行罪であれば10万円〜30万円程度、傷害罪であれば程度に応じて30万円程度〜と考えておけば良いでしょう。示談交渉は弁護士を介して行うのが一般的であるため、弁護人に示談交渉したい旨を伝えて被害者と交渉をしてもらうようにしてください。
反省している態度を示す
取り調べの際、しっかり反省している態度を示しておきましょう。泥酔して行ってしまったのであれば、今後の飲酒は控えるなど具体的な改善策とともに、反省して2度と同じことを繰り返さないように心に決め、約束をすることが大切です。
また、言葉だけでは伝わらない部分もあるため、家族や友人等近しい人に監督者として見ともらうことを提案するのもひとつの手段です。
泥酔して暴行をしてしまった場合によくある質問
泥酔して暴行をしてしまった場合によくある質問を紹介します。
Q.泥酔して暴行をしてしまったかもしれません。あまり記憶にないのですが罪に問われますか?
A.暴行をした事実がある場合は、罪に問われる可能性が高いです。
先ほども紹介したとおり、泥酔していたとしても「異常酩酊」でなければ、罪に問われる可能性が高いです。「暴行をしてしまったかもしれません」ということは、なんとなく記憶にある、もしくは周りの友人や知人から何らかのことを言われたのでしょう。
その行為が事実なのであれば、たとえ記憶になかったとしても罪に問われてしまうでしょう。できるだけ早めに被害者に謝罪をしたうえで、必要に応じて示談交渉を行い、早期の解決を目指してください。
Q.暴行の定義とは何ですか?
A.暴行の定義は「他人の体に対して有形力を行使し、傷害に至らなかった場合」です。
暴行は「他人の体に対して有形力を行使」した時点で成立します。また、刑法で定められている暴行罪の成立要件は、「暴行の結果、傷害に至らなかった場合」です。
具体的には、殴る蹴るの暴行はもちろん、泥酔してわざと吐瀉物を人にかける、唾を吐きかける、胸ぐらを掴むといった行為が暴行に該当します。暴行の結果、人に怪我をさせた場合は傷害罪、傷害の結果人を死亡させた場合は傷害致死罪に問われます。
Q.前科を付けないためにはどうすれば良いですか?
A.不起訴処分となる必要があります。
前科がつくのは「裁判で有罪判決が確定した時点」です。よって、起訴されただけでは前科は付きません。しかし、起訴された場合は99%の確率で有罪判決が下されてしまいます。つまり、前科が付きます。
そのため、前科が付かないためには不起訴処分となる必要があります。仮に何らかの罪を犯していたとしても、不起訴処分となる可能性はあるため安心してください。ただし、不起訴処分となるためには、反省している態度や被害者の処罰感情がとても大切です。
とくに被害者の処罰感情は処分に大きな影響を与えます。そのため、起訴・不起訴の判断がなされる前に示談交渉を成立させておくことがポイントです。示談交渉を進めるために、まずは早期に弁護人へ相談をしたうえで被害者と接触してもらいましょう。
Q.相手が先に手を出してきた場合、正当防衛は認められますか?
A.要件を満たしていれば、正当防衛は認められます。
相手が先に手を出してきたとしても、正当防衛が認められるとは限りません。正当防衛が認められるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
- 急迫不正の侵害があること
- 防衛の意思があること
- 防衛の必要性があること
- 防衛行為に正当性があること
上記の要件をすべて満たしていた場合には、正当防衛が認められます。ただし、やりすぎた場合は過剰防衛として罪に問われてしまうため注意しなければいけません。
仮に、相手が先に手を出してきたとしても、必ずしも正当防衛が認められるとは限りません。とくに泥酔している状態で行った行為は、自制できずにやりすぎてしまうこともあるため注意しなければいけません。
Q.一切記憶にない場合、取り調べはどのように応じれば良いですか?
A.覚えてる範囲で取り調べに応じましょう。
取り調べを行う警察官等は、周辺にある防犯カメラの映像や被害者、目撃者からの情報を元にあなたの容疑を固めていきます。そのため、あなたは警察官から言われた内容を聞き、思い出せる範囲で素直に認めていけば良いでしょう。
当時の状況を聞くことによって、何となく思い出せることもあるでしょう。そういった場合は、思い出した範囲で罪を認め、素直に謝罪をして反省している態度を示すことが大切です。
まとめ
今回は、泥酔して暴行した場合に問われる罪について解説しました。
暴行の程度や内容によって問われる罪は異なりますが、基本的には暴行罪もしくは傷害罪が成立します。他にもわいせつな行為や性交等を行った場合は、不同意わいせつ罪もしくは不同意性行為等が成立し得ます。
いずれの場合も犯罪であり、逮捕されたうえで取り調べを受けることになるでしょう。泥酔して行ってしまったのであれば、素直に罪を認めたうえで被害者に謝罪をし、示談交渉を進めたうえで可能な限りの減刑を目指しましょう。