闇バイトでも逮捕される?特殊詐欺事件などの実行役を担う危険性と弁護士へ早期相談するメリットを解説

闇バイトでも逮捕される?特殊詐欺事件などの実行役を担う危険性と弁護士へ早期相談するメリットを解説
闇バイトでも逮捕される?特殊詐欺事件などの実行役を担う危険性と弁護士へ早期相談するメリットを解説

SNSやインターネット掲示板、求人サイトなどのWebサービスの普及に伴い、「闇バイト」への関与を理由に逮捕される事件が増えています。

「高額な報酬に釣られただけで悪いことをしているつもりはなかった」「闇バイトでお金を稼いでいる人は多いから自分も大丈夫だと思った」などの言い訳は通用しません

なぜなら、闇バイトは実行行為役として重大犯罪に加担しているため、故意を否定するような特殊な事情が存在しないかぎり、刑事責任を免れることはできないからです。

たとえば、闇バイトへの関与が発覚すると、逮捕・勾留によって長期間身柄拘束されかねません。また、闇バイト事件の態様次第では、初犯でも一発実刑の判決が言い渡される可能性も高いです。

そこで今回は、過去に闇バイトに手を出してしまって後日逮捕されるのではないかと不安を抱えている方や、闇バイトに関与したことを理由にご家族が逮捕されてしまった方のために、以下4点についてわかりやすく解説します。

  1. 警察に逮捕される可能性が高い「闇バイト」の具体例
  2. 闇バイトへの関与を理由に逮捕されたときの刑事手続きの流れ
  3. 闇バイトに関与してはいけない理由
  4. 闇バイトへの関与を理由に逮捕されるか不安なときや、逮捕されてしまったときに弁護士へ相談するメリット

重大犯罪の計画の一部を担っただけでも、闇バイト関与者には厳しい刑事処罰が科される可能性が高いです。少しでも軽い刑事処分や判決内容を獲得するには刑事手続きの初期段階から効果的な防御活動を展開する必要があるので、できるだけ早いタイミングで刑事事件を専門に扱っている弁護士までご相談ください

目次

闇バイトとは?逮捕される犯罪行為一覧を紹介

特殊詐欺事件などの組織的な犯罪行為の手口が複雑になっていくにしたがって、犯罪行為に末端として加担する「闇バイト」の種類も多様化しているのが実情です。

たとえば、組織的な強盗事件の主犯格が海外の刑務所居ながら、闇バイトを利用して日本国内で広域強盗事件を起こしたケースは記憶に新しいでしょう。

まずは、闇バイトとはどのようなものなのか、犯罪行為一覧問われ得る罪状について解説します。

闇バイトとは

「闇バイト」は法律の専門用語ではなく、「高額な報酬を受け取って犯罪行為を代行するアルバイト」を総称する用語のことです。

SNS(Twitter、Instagramなど)、インターネット掲示板(5ちゃんねる、ジモティーなど)、求人サイト(indeed、エンゲージなど)等で「単価条件の良い案件」として募集されます。たとえば、仕事内容に比べて明らかに日給条件が良過ぎたり、募集時の仕事内容が曖昧、連絡手段にTelegramが指定されている場合には、闇バイトの可能性が高いです。

首謀者や犯罪集団は「高収入、高額報酬、高額バイト、簡単な仕事、絶対に捕まらない」などの謳い文句で求人を募るものの、闇バイトとして実行行為役を担った人物は逮捕される危険性がある場面での仕事が求められることが多く、結果として、「首謀者は逮捕されないが、闇バイトとして関与した人物だけが逮捕される」という事態が頻発しています。

闇バイトの具体例・一覧

闇バイトで募集される犯罪行為はさまざまですが、代表的なものとして以下のものが挙げられます。

闇バイト 内容 問われる犯罪類型と法定刑
運び屋 違法薬物(覚醒剤や大麻など)や銃器類の密輸や荷受け。 ・覚醒剤所持罪(10年以下の懲役刑)
・大麻所持罪(5年以下の懲役刑)
・銃刀法違反(銃砲の場合、1年以上10年以下の懲役刑)
現金強奪(叩き) タワーマンションや宝石店に押し入るなどして貴金属を奪う。 ・窃盗罪(10年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑)
・強盗罪(5年以上の有期懲役)
・強盗致傷罪(無期懲役または6年以上の懲役刑)
・器物損壊罪(3年以下の懲役刑または30万円以下の罰金、科料)
受け子・出し子 特殊詐欺(オレオレ詐欺や振り込め詐欺など)の実行役。現金やキャッシュカードを受け取ったり、ATMを操作して現金を引き出したりする。 ・詐欺罪(10年以下の懲役刑)
・窃盗罪(10年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑)
口座やスマホの売買・譲渡 自分名義で契約した銀行口座やスマートフォンを売却して利益を得る。 ・犯罪収益移転防止法違反(1年以下の懲役刑または100万円以下の罰金刑)
・携帯電話不正利用防止法違反(50万円以下の罰金刑など)
・詐欺罪(10年以下の懲役刑)
・窃盗罪(10年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑)
打ち子 パチンコ店と共謀して、サクラとして遊戯したり、店長などに利益を還元したりする。 ・業務上横領罪(10年以下の懲役刑)
・窃盗罪(10年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑)
出会い系サイトのサクラ 出会い系サイトの運営元に雇われてユーザーと連絡を繰り返し、サイト利用料金を騙し取る。 ・詐欺罪(10年以下の懲役刑)

注意を要するのが、闇バイトに関与した人のなかには、それが犯罪行為に該当するとは知らずに組織的な犯罪行為に巻き込まれていることがあるという点です。

たとえば、「指定された場所に届く荷物を受け取る仕事」を引き受けただけでも、郵送される荷物が特殊詐欺の被害品である場合には、特殊詐欺事件の一部を担ったことを理由に詐欺罪の容疑で逮捕・起訴されかねないでしょう(もちろん、このようなケースでは「詐欺罪の故意」の認定を争う余地は残されていますが、個別事案の状況や仕事を引き受けた回数などの客観的な事情から、故意が認定される可能性が高いです(最判平成30年12月11日最判平成30年12月14日))。

このように、犯罪グループはあの手この手を尽くして危険な犯罪プロセスを何も知らない素人に押し付けるものなので、闇バイトへの関与に確信がもてなくても、少しでも「違法行為に関わってしまったかもしれない」という不安があるのなら、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談のうえ、自首などの防御方法について検討してもらいましょう

闇バイトへの関与を理由に逮捕されるときの刑事手続き

闇バイトへの関与が捜査機関に発覚すると、以下の流れで刑事手続きが進められます。

  • 警察に逮捕される(状況次第では逮捕されずに「任意の出頭要請」)
  • 警察段階の取調べが実施される
  • 闇バイト事件が警察から検察官に送致される
  • 検察段階の取調べが実施される
  • 検察官が闇バイト事件を公訴提起するか否か判断する
  • 闇バイト事件が刑事裁判にかけられる

警察に逮捕されて身柄を押さえられる

闇バイトに参加して何かしらの組織的犯罪に関与したことが捜査機関に発覚すると、警察に逮捕されて身柄を押さえられます。

警察に身柄を押さえられるパターンは以下2つに大別されます。

  1. 闇バイトで犯罪行為に及んでいる現場で「現行犯逮捕」される場合
  2. 過去の闇バイトが警察に発覚して後日「通常逮捕」「緊急逮捕」される場合

闇バイトに関与している現場で現行犯逮捕される

たとえば、特殊詐欺事件の”受け子”の闇バイトに応募して被害者宅に現金を受け取りに訪問したところ、事前に通報を受けて警察官が待ち受けていた場合には、「現行犯逮捕」によって身柄を押さえられます。

現行犯逮捕とは、「現に罪を行い、または、罪を行い終わった者(現行犯人)に対する身柄拘束処分」のことです(刑事訴訟法第212条第1項)。

まず、後述の通常逮捕とは異なり、現行犯逮捕をする際には逮捕状の発付手続きは要求されず、無令状でおこなわれます(同法第213条)。なぜなら、現行犯逮捕は目の前で犯罪行為がおこなわれたときに実行される逮捕処分なので、裁判官による事前の令状審査を求める意味がないからです。

また、現行犯逮捕は、警察官や検察官などの捜査機関だけではなく、一般私人によっておこなわれることもあります(同法第213条)。たとえば、被害者宅に押し入って金庫からお金を盗もうとしたときに、居合わせた家主に抵抗されてそのまま取り押さえられたようなケースでは、「私人逮捕」によって身柄が拘束されて、駆けつけた捜査機関に引き渡されることになります。

現行犯逮捕は「闇バイトの犯行現場」でおこなわれるのが典型例ですが、「闇バイトの犯行現場から逃走をしたとき」にも無令状で身柄を拘束される可能性があります。具体的には、「以下4つの要件のいずれかを満たす闇バイト関与者が、罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるとき」には「準現行犯人」として無令状逮捕の対象になるということです(刑事訴訟法第212条第2項)。

  1. 闇バイト関与者として追呼されているとき
  2. 贓物や明らかに闇バイト事件の用に供したと思われる兇器などの証拠物を所持しているとき
  3. 身体や被服に闇バイト事件に及んだ顕著な証跡があるとき
  4. 強盗などの闇バイトの犯人だと誰何されて逃走しようとするとき

たとえば、闇バイト強盗の叩きとして犯行に加担している最中に通報を受けてかけつけた警察官に気付いて逃走をしたものの、以上の要件を満たすと判断される場合には、準現行犯逮捕が実施されるでしょう。

過去の闇バイトを理由に通常逮捕される

過去に闇バイトに応募して犯罪行為に関与したことが警察に発覚すると、後日「通常逮捕」によって身柄が取り押さえられます。

通常逮捕とは、「裁判官の事前審査を経て発付される逮捕令状に基づいて実施される身柄拘束処分」のことです(刑事訴訟法第199条第1項)。

「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること(逮捕の理由)」「被疑者の身柄を強制的に拘束した状態での取調べを実施する必要性(逮捕の必要性 = 逃亡または証拠隠滅のおそれがあること)」という要件を満たすときに、裁判官が闇バイトにかけられた罪状に対して逮捕状を発付します(犯罪捜査規範第122条)。

たとえば、闇バイトで関与した刑事事件や犯人が以下のような状況にあるとき、後日自宅などに捜査員が逮捕状を持参してやってきて、身柄拘束処分が実行されるでしょう。

  • 住所不定・無職・職業不詳で逃亡のおそれがある場合
  • 前科・前歴があるなど、素行不良者である場合
  • 闇バイトをきっかけに複数の犯罪行為に加担している可能性がある場合
  • 闇バイトで関与した犯罪行為によって生じた被害が大きい場合
  • スマートフォンや犯行当時の洋服・凶器など、闇バイト事件の証拠物を隠滅するおそれがある場合
  • 闇バイトに関与した件についての任意の出頭要請を拒絶した場合
  • 闇バイトに関与した件について任意の事情聴取を進める過程で、犯行を否認したり、黙秘・供述矛盾が発生した場合
  • 闇バイトで関与した犯罪行為の被害者の処罰感情が強い場合
闇バイトをきっかけに特殊詐欺事件などに関与した場合、少なくとも実行行為者である闇バイト参加者の犯行はかならず捜査機関に発覚します。たとえば、被害者の通報や周辺の防犯カメラ映像が証拠になることが多いでしょう。そのため、闇バイトで犯罪行為に加担した場合、いつまでも逃げ切るのは現実的に難しいと言わざるを得ません。なぜなら、犯罪行為には「公訴時効制度」が定められているものの、公訴時効が完成するまでには犯罪行為から数年から十数年の長期間を要するからです(公訴時効期間は犯罪類型によって異なります)。したがって、過去に闇バイトで犯罪行為に関与した心当たりがあるなら、「時効逃げ切り」を狙うのではなく、現段階で弁護士へ相談をして、自首や任意出頭について検討してもらうべきだと考えられます

過去の闇バイトを理由に緊急逮捕される

過去に闇バイトに応募して犯罪行為に関与したことが警察に発覚したシチュエーション次第では、「緊急逮捕」によって身柄が取り押さえられることもあります。

緊急逮捕とは、「死刑または無期懲役、長期3年以上の懲役刑・禁錮刑にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときに、その理由を告げて被疑者の身柄を押さえる逮捕処分」のことです(刑事訴訟法第210条第1項)。身柄拘束処分が実行された後に逮捕状の発付手続きが履践される点に特徴があります。

そして、闇バイトで関与する犯罪行為のほとんどは「死刑、無期懲役、長期3年以上の懲役刑・禁錮刑」の容疑をかけられることが大半なので、たとえば、たまたま職務質問をされている最中に闇バイト事件の指名手配犯だと発覚したときなどに、過去の闇バイト事件を理由に緊急逮捕されるでしょう。

【注意!】闇バイトに関与したことが警察にバレても逮捕を回避できる場合もある

過去に闇バイトに応募して犯罪行為に加担したことが警察に発覚したとしても、通常逮捕や緊急逮捕が実行されず、任意ベースで捜査活動が実施される可能性もあります。

任意捜査とは、「被疑者を強制的に身柄拘束する逮捕処分とは異なり、被疑者の同意を前提に実施される捜査活動」のことです(刑事訴訟法第197条第1項、同法第198条第1項)。警察から電話がかかってきたり、捜査員が自宅にやってくるなどして警察署への出頭を求められて、事情聴取に応じるように説得されます。

任意の出頭要請や事情聴取に応じるか否かは被疑者側が自由に決めることができます。たとえば、「警察に話をしたくないから」「仕事が忙しいから」というように、どのような理由で出頭を拒否してもペナルティが科されることはありません。また、任意の取調べを受けている途中で帰宅したくなったら、自由なタイミングで取調べを切り上げることも可能です(在宅事件)。

ただし、闇バイト事件への関与が疑われる状況において、捜査機関からの出頭要請や事情聴取に対して誠実に対応しなければ、「逃亡または証拠隠滅のおそれがある」という理由で逮捕状が請求されて、在宅事件から逮捕手続きに切り替えられるリスクがある点に注意する必要があります。同じように捜査機関からの取調べを受けるのならば、強制的に身柄が拘束される逮捕手続きよりも、ある程度融通が効く在宅事件処理の方が被疑者にとってメリットが大きいと考えられるので、捜査機関による出頭要請や事情聴取要請には、可能な限り誠実に対応することを強くおすすめします(警察に出頭する前に弁護士へ相談をして、取調べにおいてどのような供述をするべきかなどについて打ち合わせをしておくべきでしょう。)

闇バイトをきっかけに犯罪行為に加担したケースにおいて、在宅事件処理として刑事手続きが進められるのは、以下のような事情があるときです。

  • 氏名・住所・職業が明らかで逃亡のおそれがない
  • 前科前歴のない完全初犯
  • 任意の出頭要請や事情聴取に応じて、矛盾ない供述を素直にしている
  • 闇バイトをきっかけに犯罪行為に加担したことについて反省の態度を示している
  • 特殊詐欺事件などの被害者との間で示談が成立している(被害弁償が済んでおり、被害者の処罰感情がない)
  • 端末的に闇バイトに応募しただけで、余罪への関与や首謀者との深いつながりが存在しない
  • 闇バイトで起こした犯罪行為による被害が僅少
  • 闇バイト事件の証拠物を隠滅するおそれがなく、捜査機関に素直に提出している
  • 共犯者と口裏を合わせるおそれがない、共犯者がすでに逮捕されている

なお、逮捕処分とは異なり、任意ベースの在宅事件処理には後述のような刑事手続き上の時間制限は設けられてません。そのため、捜査機関から出頭要請がかかったとき以外は日常生活を送ることができる反面、検察官が公訴提起(在宅起訴)するか否かの判断をするまでに数カ月以上の期間を要するリスクに晒されかねない点にご注意ください。

闇バイト事件について警察で取調べが実施される

闇バイトとして犯罪行為に加担したことが警察にバレて逮捕された後は、「警察段階の取調べ」が実施されます。逮捕処分に基づく取調べは強制的なものなので、取調べを受けること自体を拒絶することはできません(取調べに対して黙秘をすることは可能です)。

警察段階で実施される取調べの制限時間は「48時間以内」です(刑事訴訟法第203条第1項)。48時間の身柄拘束期限が到来する前に、身柄や証拠物が検察官に送致されます。

警察段階の取調べに時間制限が設けられているのは、逮捕処分に基づく取調べが被疑者の身体・行動の自由を制限するものだからです。たとえば、逮捕期間中は取調べをかならず受けなければいけませんし、取調べ以外の時間は留置場・拘置所で過ごす必要があるため、自宅に戻ることは許されません。また、所持品はすべて取り上げられるので、たとえば、スマートフォンで家族や友人に連絡するのも不可能です。さらに、逮捕段階は接見禁止処分が下されることが多いので、弁護士以外の第三者とは一切面会機会をもつこともできません。

闇バイト事件が検察官に送致される

闇バイトとして関与した犯罪行為について警察段階の取調べが終了すると、事件・身柄・証拠物がすべて検察官に送致(送検)されます(刑事訴訟法第246条本文)。

なぜなら、後述の「微罪処分」に該当する場合を除いて、刑事事件に関する捜査活動の最終的な決定権限を握っているのは検察官だからです。

闇バイト事件について検察官による取調べが実施される

闇バイト事件について警察段階の取調べが終了すると、「検察段階の取調べ」が実施されます。

検察段階で実施される取調べの制限時間は「24時間以内」が原則です(刑事訴訟法第205条第1項)。警察段階の48時間と検察段階の24時間を合わせて、合計72時間以内の身柄拘束期間で得られた証拠・供述内容を踏まえて、検察官が闇バイト事件を起訴するか不起訴にするかを決定します。

ただし、闇バイト事件は共犯関係が複雑だったり背後に存在する主犯格を追及する必要があったりするので、72時間以内の取調べだけでは充分な捜査活動を実施できないケースが少なくありません。

そこで、闇バイトに応募して犯罪行為に加担したケースが以下のような「やむを得ない事情」を有する場合、検察官による勾留請求が認められており(同法第206条第1項)、裁判所によって勾留状が発付されると、例外的に被疑者の身柄拘束期間が10日間~20日間の範囲で延長されます(同法第208条各項)。

  • 他の闇バイトにも応募して特殊詐欺事件などの余罪に関与した疑いがある場合
  • 組織的な犯罪グループの全貌(主犯格や共犯者)を掴む必要性がある場合
  • 闇バイト事件の被害者や目撃者が多く、参考人聴取に相当の時間を要する場合
  • 闇バイト事件の現場を記録した防犯カメラ映像やスマートフォンの解析など、実況見分や鑑定に時間を要する場合
  • 闇バイト事件について被疑者が黙秘・否認している場合、共犯者の供述内容と矛盾している場合

特に、闇バイト事件は共犯関係や組織的な犯行が疑われるため、事件の全貌解明のために末端の関与者を厳しく追及するという捜査手法が採られることが多いです。そのため、闇バイトに応募して犯罪行為に関与したことがバレて逮捕された場合には、ほとんどのケースで勾留請求がおこなわれて、検察官の公訴提起判断まで最大23日間の身柄拘束を強いられる可能性が高いでしょう。

なお、「原則72時間、例外的に最長23日間」という身柄拘束期間は「1事件単位」でカウントされる点に注意が必要です。つまり、闇バイトに応募したことがきっかけで複数の犯罪行為に加担してしまうと、各闇バイト事件ごとに再逮捕・再勾留が繰り返されるので、刑事裁判にかけられるまでに数カ月以上の身柄拘束期間が生じる危険性もあるということです。仮に最終的に不起訴処分を獲得できたとしても身柄拘束期間が長期に及ぶだけで日常生活にさまざまな支障が生じるので、社会生活への悪影響を最大限軽減したいなら、刑事事件に強い弁護士に相談をして早期釈放に向けて尽力してもらうべきでしょう

検察官が闇バイト事件を公訴提起するか判断する

逮捕処分に基づく身柄拘束期限が到来するまでに(勾留された場合には勾留期限到来までに)、検察官が闇バイト事件を公訴提起するか否か(起訴処分にするか不起訴処分にするか)を決定します。

まず、起訴処分とは、「闇バイト事件を公開の刑事裁判にかける旨の訴訟行為」のことです。起訴処分が下されると、1カ月~2カ月後に開廷される刑事裁判をかならず受けなければいけません。また、起訴処分が下された後の保釈請求に失敗すると、起訴後勾留が続いて公判期日までの数カ月間日常生活に復帰できないリスクにも晒されるでしょう。

次に、不起訴処分とは、「闇バイト事件を公開の刑事裁判にかけることなく、検察官限りの判断で刑事手続きを終結させる旨の意思表示」を指します。不起訴処分が下された時点で無罪放免で身柄が釈放されるので、有罪判決や前科がつく心配はなくなります。

日本の刑事裁判の有罪率は約99%とも言われています。つまり、「刑事裁判にかけられた時点=起訴処分を下された時点」で有罪になることがほぼ確定するということです。

したがって、「実刑判決や前科を避けたい」と希望するなら、検察官が公訴提起判断までに効果的な防御活動に尽力することによって、何としても不起訴処分を獲得する必要があると考えられます。逮捕から公訴提起判断までは「数日~数週間」程度しか猶予が与えられないので、刑事事件を専門に扱っている私選弁護人までご依頼ください

闇バイト事件が公開の刑事裁判にかけられる

検察官が起訴処分を下した場合、闇バイトに応募して関与した犯罪行為が「公開の刑事裁判」にかけられます。

公訴事実に争いがなければ、第1回公判期日で結審し、後日判決が言い渡されることが多いです。これに対して、「闇バイトに関与した事実は間違いないが、組織的犯行の駒として動いただけなので罪状に対する故意はなかった」などのように無罪を狙うようなケースでは、複数の公判期日をかけて弁論手続き・証拠調べ手続きが進められます。

最終的に、公判に提出された証拠や被告人の態度などを総合的に考慮して、裁判官が判決内容を判断します。闇バイトに応募して起こした犯罪行為に対して何罪の容疑をかけられているかにもよりますが、たとえば、強盗罪や詐欺罪などの重大犯罪で検挙された場合には「一発実刑」もあり得るでしょう。

実刑判決(懲役刑・禁錮刑)が下されてしまうと、刑期を満了するまで服役を強いられて、日常生活から完全に隔離されます。刑事責任を果たして出所をしたとしても、再就職や住む場所に困るため、社会復帰が困難になりかねません。

したがって、検察官が起訴処分を下して刑事裁判にかけられた場合には、酌量減軽などを目指す防御活動を尽くして「執行猶予付き判決・罰金刑」の獲得を目指すべきだと考えられます。検察官の主張に対して効果的な反論を積み重ねなければ重い刑事罰が下されかねないので、かならず執行猶予付き判決や刑事裁判実績豊富な私選弁護人までご依頼ください

闇バイトに関与してはいけない理由7つ

「今すぐ楽をしてお金が欲しいから」「友達や先輩に誘われたから」など、軽はずみな動機で闇バイトに応募してしまうケースが頻発しています。また、違法行為に加担することになるとは分からないまま、SNSなどの”割りの良いバイト”に応募したために、刑事事件に巻き込まれたというケースも少なくありません。

しかし、どのような事情があったとしても、明らかに報酬感のおかしい闇バイトには参加をするべきではないでしょう。なぜなら、闇バイトに応募するだけで、以下のようなリスクに晒されるからです。

  1. 実行役という役割を担わされる闇バイト応募者はもっとも逮捕リスクが高いから
  2. 闇バイトに応募しただけで犯罪組織や特殊詐欺グループに個人情報を知られることになるから
  3. 闇バイトに応募して犯罪行為に関与したことがバレると長期間身柄拘束される可能性が高いから
  4. 闇バイトきっかけで犯罪行為に加担したことが学校にバレると退学しなければいけないから
  5. 闇バイトきっかけで犯罪行為に関与したことが会社にバレると懲戒処分(解雇)を覚悟しなければいけないから
  6. 闇バイトに応募したことが原因で逮捕されると顔写真・実名が報道される可能性が高いから
  7. 闇バイトが原因で逮捕・起訴されると前科によるデメリットを被るから

実行役なのでもっとも逮捕される危険性が高いから

闇バイトに応募すると、依頼相手から「絶対に捕まらないから大丈夫」「他の人も捕まってないから問題ない」などの誘い文句を向けられることが多いですが、これらはすべて嘘です。

なぜなら、犯罪組織や主犯格は闇バイトに釣られて応募してくる”カモ”にもっとも危険な実行行為役を担わせることしか考えていないからです。たとえば、闇バイトに応募してきた人物に特殊詐欺の受け子役を担わせて騙し取った現金を海外送金させるケースでは、主犯格は海外などの安全な場所に居ながら高額の利益を手にする一方で、受け子は「被害者からお金を騙し取る」というもっとも逮捕リスクが高い場面を強いられます。実際、「組織の末端として関与した闇バイト応募者だけが逮捕されて、主犯格は刑事訴追されない」というケースも少なくありません。

したがって、闇バイトは「トカゲのしっぽ切り」的なポジションでしかないと言えるでしょう。他の健全なアルバイトと比べると高額な見返りを受け取ることができるかもしれませんが、闇バイトは背負う代償が重過ぎるので、絶対に関与してはいけません。

犯罪組織に個人情報を知られるから

SNSや出会い系サイトなどの闇バイトに応募するだけで犯罪組織・反社会的勢力に個人情報を知られるリスクに晒されます。

たとえば、自分のSNSアカウントから応募をしただけで、他の投稿やアカウント名からさまざまな個人情報(顔写真や交友関係)が抜き取られてしまいます。闇バイトの危険性を察知して断ろうとしても、「闇バイトに応募しようとしたことを友だちや家族にばらすぞ」と脅されると、犯罪集団から距離を置くこともできません。

また、巧妙な闇バイトのなかには、事前に「報酬の振込用口座」「スマートフォンの電話番号」などの情報を求めてくるケースも散見されます。犯罪組織にこれらの情報を教えてしまうと、自分名義の銀行口座や携帯電話が特殊詐欺事件に直接的に悪用されるリスクがあるので、捜査機関に犯行が発覚したときに、末端構成員ではなく主要構成員として厳しく追及されかねないでしょう。

このように、闇バイトに一度でも応募してしまうと、捕まるまで何度も犯罪行為を強要されるリスクが増しますし、逮捕されたときには複数の刑事事件について立件されるので刑事処罰の内容が重くなる可能性が高いです。どのような事情があっても決して闇バイトに手を出すのはやめましょう。

闇バイトへの関与で逮捕されると長期間身柄拘束されるから

闇バイトに応募して加担する犯罪行為は悪質な重大犯罪がほとんどです。また、単独犯で犯罪行為がおこなわれるわけではなく、複数の実行行為者と計画を練った犯罪集団などが共謀して組織的に遂行されるという特殊性もあります。

そのため、闇バイトをきっかけに犯罪行為に関与したことが警察にバレると、逮捕・勾留によって長期間身柄拘束される可能性が高いです(1つの事件につき最長23日間。しかも、共犯者と口裏を合わせるリスクがあると判断されて起訴後勾留が続くことも多いので、刑事裁判が終了するまでの数カ月間収容施設に身柄を拘束されることもあります。

身柄拘束期間が長期化するほど、勤務先や学校に犯罪行為に及んだことを隠し通すのは難しくなります。また、厳しい拘置所生活は心身にストレスを生じるでしょう。さらに、家族や知人と面会できないなか実施される取調べを苦に感じて、捜査機関に誘導されるがまま虚偽の自白をしてしまうケースも少なくありません。

身柄拘束期間を短縮化するには、刑事手続き初期段階の防御活動がポイントになります。取調べ対応を工夫したり被害者と示談交渉を進めることによって早期釈放を実現できる可能性が高まるので、警察から連絡があったり逮捕されたりした場合には、すみやかに刑事事件を専門に扱っている私選弁護人までご依頼ください

闇バイトへの関与がバレると学校を退学しなければいけないから

闇バイトに応募して組織的な犯罪行為に加担したことが学校にバレると、退学処分が下される可能性が高いです。

また、学則・校則によっては停学処分や戒告などの軽い処分で済むこともありますが、通いづらさから自主退学に追い込まれることも少なくありません。

高校や大学を途中で辞めざるを得なくなると履歴書に「中退」が発生するため、「普通に就職して健全な社会生活を営むこと」が難しくなるでしょう。

闇バイトへの関与がバレると会社から懲戒処分を下されるから

闇バイトをきっかけに悪質な組織的犯罪に関与したことが勤務先にバレると、何かしらの懲戒処分を下される可能性が高いです。

懲戒処分の内容は各社の就業規則の規定に準じて決定されますが、 「戒告、譴責、減給、出勤停止、降格」などの軽い処分で済むことは少なく、大半は「諭旨解雇、懲戒解雇」によって職を奪われることになるでしょう。また、運良く軽い懲戒処分で済んだとしても、闇バイトに応募したことが会社内で噂になると仕事を進めにくくなりますし、会社側からの信用は失墜した状況なので今後の昇進・昇格は一切期待できないでしょう。

後述のように、闇バイトのような社会的に問題視されている犯罪行為に関わってしまうと実名報道されるので、SNSで特定・炎上されると勤務先名が発覚して、会社の社会的評判を毀損しかねません。会社に迷惑をかけたくないのなら絶対に闇バイトに応募するべきではないですし、万が一逮捕されたときには弁護士の力を借りて「不起訴処分」獲得を目指した防御活動に尽力してもらいましょう

闇バイトへの関与で逮捕されると実名報道される危険性があるから

闇バイトをきっかけに若者などが特殊詐欺事件などに巻き込まれる事案は社会問題化しているので、闇バイト事件への関与がバレて逮捕されると顔写真・実名が報道される可能性が高いです。

たとえば、自宅や会社に報道機関がやってくるだけでかなりの迷惑がかかりますし、逮捕時に実名報道されると、Webニュースやネット記事に犯罪情報が掲載されるので、名前を検索されるとすぐに過去の犯罪行為が発覚する状態におちいります。就職活動や転職活動では求職者の氏名をネット検索する作業が当たり前のようにおこなわれるので、社会復帰が難しくなるでしょう。

闇バイトへの関与で逮捕・起訴されると前科がつく可能性が高いから

闇バイトきっかけで犯罪行為に加担すると、起訴されて有罪判決が下される可能性が高いです。そして、起訴されたケースのほとんどが有罪になるので、刑事責任を果たした後は「前科者」として更生の道を歩むことになります。

前科がつくと、今後の社会生活に次のような支障が生じます。

  • 前科の有無は「履歴書の賞罰欄」への記載義務が生じるので、就活時の書類選考さえ通過しにくくなる
  • 前科を隠して内定を貰っても、事後的に発覚すると「経歴詐称」を理由に懲戒処分を下される
  • 前科があることは「法定離婚事由」に該当するので、前科を隠して結婚しても離婚リスクが高まる(慰謝料や親権も不利になる)
  • 前科があることをパートナーに伝えるとそもそも結婚が難しくなる(婚前調査でバレる可能性が高い)
  • 前科の内容次第では就業が制限される職種・資格がある(士業、警備員、金融業など)
  • 前科を理由にパスポートやビザ発給が制限されると、海外旅行や海外出張に支障が出る
  • 前科・前歴がある人物が再犯に及ぶと、刑事処分や判決内容が重くなる可能性が高い

人によっては「前科がつくこと」が一切今後の日常生活に悪影響をもたらさないこともあります。その一方で、前科によるデメリットが原因で現在の生活基盤や今後の人生プランが崩壊していまうという人も少なくはないでしょう。

「どうしても前科を避けたい」と希望するなら、検察官が公訴提起するか否かを判断するまでに示談交渉を進めるなどして「不起訴処分を獲得」しなければいけません。逮捕されてから公訴提起判断までは限られた時間しか残されていないので、すみやかに示談実績や不起訴処分獲得実績豊富な私選弁護人までご相談ください

闇バイトへの関与で逮捕されたときに弁護士へ相談するメリット3つ

過去に闇バイトに応募してしまった方や、ご家族が闇バイトきっかけで犯罪行為に加担したことを理由に逮捕されてしまった方は、できるだけ早いタイミングで弁護士へ相談することをおすすめします。

なぜなら、刑事事件を専門に扱っている弁護士への相談によって以下3点のメリットが得られるからです。

  1. 特殊詐欺事件などの被害者との間で早期に示談交渉を開始してくれる
  2. 接見機会をフル活用して被疑者を励まし取調べへのアドバイスを提供してくれる
  3. 少しでも軽い刑事処分・判決内容獲得を目指してくれる

なお、警察に逮捕された被疑者は誰でも「当番弁護士制度」を利用できますが、闇バイト事件のような複雑な刑事事件の容疑をかけられた場合には、被疑者ご自身の責任で「私選弁護人」を選任するべきでしょう。

当番弁護士制度は初回無料でその日当番が回ってきた弁護士が接見にやってきて被疑者に対して今後の流れや防御方針を説明してくれるものですが、弁護士の性別・年齢・経験・性格などを一切選ぶことができません。場合によっては、強盗事件や詐欺事件の弁護実績がない新米弁護士がやってくることもあるので、効果的な防御活動を期待しにくいこともあります。

これに対して、私選弁護人は被疑者・被告人自身が専門家の実績などを参照して依頼相手を決定できます。着手金・成功報酬などの費用は発生しますが、刑事事件の行く末を任せたい信頼できる弁護士と契約できるでしょう。

被害者との間で早期に示談交渉を開始してくれる

刑事事件に慣れた弁護士に依頼すれば、闇バイト事件の被害者との間で早期に示談交渉を開始してくれます。

示談とは、「特殊詐欺事件などの当事者同士で解決策について直接話し合いを行い、双方が納得する条件で和解契約を締結すること」です。闇バイト事件に関与したときには、以下の示談条件が掲げられることが多いです。

  • 加害者が被害者に対して一定額の示談金を支払う
  • 被害者は提出済みの被害届・告訴状を取り下げる
  • 被害申告前なら示談成立によって紛争解決とし、被害者は警察へ通報をしない
  • 被害者は捜査機関や裁判所に対して「処罰感情がないこと」を伝える

なお、「示談金をいくらに設定するか」は当事者同士が自由に決定できるので、「示談金の相場」と言われるものは目安でしかありません。いくらの示談金なら被害者は納得してくれるのか、加害者はいくらまでなら支払うことができるのか、支払い方法は現金一括なのか分割払いなのか、支払いの担保として連帯保証人等を提供するのかなど、示談ごとに条件は異なります。

いずれにしても、被害者との間で示談が成立すれば、「被害申告回避によって刑事事件化自体を予防できる」「民事的解決が済んでいるため不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得しやすくなる」というメリットが得られるでしょう。

「示談は当事者間で話し合いをするものなら、わざわざ弁護士に依頼しなくても、加害者本人や加害者家族が闇バイト事件の被害者と交渉すれば良いのではないか」と考える人も少なくはないでしょう。確かに、示談交渉は当事者同士だけで進めることも可能です。ただし、闇バイトで犯罪行為に関与したケースでは、弁護士を代理人に選任して示談交渉を任せることをおすすめします。なぜなら、弁護士に示談交渉を委任することで以下のメリットが得られるからです。

  • 弁護士が着任した方が闇バイト事件の被害者の連絡先を入手しやすい
  • 不安や怒りで感情的になっている被害者とも冷静な話し合いを進めやすい
  • 不当な示談金の釣り上げなどに対して粛々と対応してくれる
  • 「闇バイトで関与しただけ」という事情を踏まえて、事件全体の被害額ではなく関与分に応じた示談金での合意形成を目指してくれる
  • 和解契約書の準備、示談交渉のための訪問など、交渉に要する作業をすべて代理してくれる
  • 厳格な時間制限がある刑事手続きに間に合うように迅速な和解成立を目指してくれる

接見機会を通じて身柄拘束中の被疑者にアドバイスを提供してくれる

闇バイトをきっかけに刑事事件を起こして逮捕されると、身柄拘束期間中は高確率で接見禁止処分が下されるので、家族などの第三者とは一切面会できません。逮捕・勾留期間中に好きなタイミングで面会できるのは弁護士だけです。

まず、身柄拘束期間中は厳しい取調べと劣悪な環境で数日~数週間過ごさなければいけないので、被疑者の心身は相当疲弊します。そのなかで、自分の唯一の味方になってくれる弁護士と面会する機会をもつだけで、取調べに向き合う気力がわいてくるでしょう。

次に、刑事弁護に慣れた弁護士は、取調べにおける注意点や供述方針についてアドバイスを提供してくれます。たとえば、「供述調書に署名・押印するときには調書の内容を精査すること」「必要であれば供述調書の内容に修正を求めること」「供述調書の内容に同意できないときには署名・押印を拒否すること」「取調べにおける供述内容は一貫したものを意識して矛盾がないようにすること」「犯行を認めるなら最初から素直に取調べに応じること」などが挙げられます。

捜査機関は自分たちが描いたストーリーに見合った供述内容を無理矢理引き出そうとしてくるので、警察や検察官の思うがままに誘導されると不利な刑事処分・判決内容が確定しかねません。刑事手続きの初期段階から刑事実務に詳しい弁護士のアドバイスを受けることによって、できるだけ有利な状況を目指しましょう。

少しでも軽い刑事処分獲得を目指してくれる

刑事弁護を専門に扱っている弁護士に相談すれば、闇バイト事件に関与した被疑者が少しでも有利な刑事処分を獲得できるように手を尽くしてくれるでしょう。

具体的な防御活動・防御目標は状況によって異なりますが、たとえば、以下のような防御方針を立てるのが一般的です。

  • 闇バイトが警察に発覚する前なら「自首」
  • 闇バイト事件の容疑で逮捕されたなら「微罪処分」
  • 闇バイト事件の容疑で送検されたなら「不起訴処分」
  • 闇バイト事件の容疑で起訴されたなら「執行猶予付き判決」

闇バイトが警察に発覚する前なら「自首」による減軽を狙う

叩きのような強盗事件・窃盗事件は被害がすぐに判明するので警察に隠し通すのは難しいですが、振り込め詐欺やオレオレ詐欺などの詐欺事件は被害者が騙されたことに気付かない限りは警察に通報されることはありません。

そして、闇バイトに応募して実行に移した犯罪行為が警察に発覚する前なら、示談交渉と合わせて「自首」をするのも効果的な防御方法です。

自首とは「まだ捜査機関に発覚しない前に、犯人自ら進んで闇バイトで犯罪行為に及んだ事実を申告し、刑事処罰を求める意思表示」のことです(刑法第42条第1項)。犯人自身が犯罪を申告する点が評価されて、「刑の任意的減軽」という効果が得られます。

自首による任意的減軽を目指すなら、事前に弁護士へ相談をして、今後想定される取調べの問答練習をしておいた方が有利に刑事手続きを進めることができるでしょう。

闇バイト事件の容疑で逮捕されたなら「微罪処分」で早期釈放を目指す

闇バイトに応募して犯罪行為に加担したことが原因で逮捕された場合には、「微罪処分」を目指すのも選択肢のひとつです。

微罪処分とは、「闇バイト事件を送検せずに、警察限りの判断で刑事手続きを終結させる事件処理類型」のことです(刑事訴訟法第246条但書、犯罪捜査規範第198条)。送検前に刑事手続きが終了するので、逮捕されても最長48時間以内に無罪放免で日常生活に復帰できます。

微罪処分は、以下のような条件を満たす場合に下されます。

  • 検察官があらかじめ指定した軽微な犯罪類型の容疑をかけられていること(窃盗罪、占有離脱物横領罪など)
  • 犯情が軽微であること(計画性がないケース、衝動的な犯行のケース)
  • 闇バイト事件の被害が軽微であること(被害額2万円程度、全治1週間程度が目安)
  • 闇バイト事件の被害者との間で示談が成立していること
  • 前科・前歴がなく、素行不良者でないこと
  • 家族や上司などの身元引受人がいること

闇バイト事件の容疑で送検されたなら「不起訴処分」で有罪・前科回避を目指す

闇バイトに応募して刑事事件を起こしたとき、最大の防御目標になるのが「不起訴処分」です。不起訴処分になれば有罪・前科のリスクを回避できるので、逮捕・勾留による長期間に及ぶ身柄拘束以外のデメリットは生じません。

不起訴処分は、その理由によって以下3つに大別されます。冤罪事件でない限り、起訴猶予処分」獲得に向けて取調べ対応や示談交渉に力を入れるべきでしょう(刑事訴訟法第248条)。

  • 嫌疑なし:闇バイト事件に関与した証拠がない場合
  • 嫌疑不十分:闇バイト事件を立証するだけの十分な証拠が揃っていない場合
  • 起訴猶予:闇バイト事件への関与は間違いないが、犯人の性格・年齢・境遇・情状などを総合的に考慮すると、刑事裁判にかける必要がない場合

起訴猶予処分を獲得するには、被害者との示談成立は必須です。検察官の公訴提起判断までには限られた時間しか残されていないので、捜査対象になったことがわかったときには、できるだけ早いタイミングで示談実績や刑事事件に強い弁護士までご相談ください。

闇バイト事件の容疑で起訴されたなら「執行猶予付き判決」で実刑を回避する

闇バイトがきっかけで逮捕・起訴された場合には、「執行猶予付き判決」獲得を目指すことになるでしょう。

執行猶予とは、「刑事裁判で指定された一定期間だけ刑の執行が猶予されて、執行猶予期間が無事に経過すれば刑を執行されることなく判決言渡しの効力が消滅する制度」のことです。刑務所に収監される実刑判決とは異なり、執行猶予付き判決を獲得できれば日常生活から隔離されることはありません。

ただし、執行猶予付き判決の対象事件は「3年以下の懲役刑・禁錮刑・50万円以下の罰金刑の言渡しを受けたとき」に限られる点に注意が必要です(刑法第25条第1項)。たとえば、詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役刑」なので、執行猶予付き判決の対象になるには酌量減軽・自首減軽などの防御活動を尽くして執行猶予付き判決の対象になるまで量刑を引き下げる努力をしなければいけません

闇バイトへの関与が警察にバレたならすぐに弁護士へ相談しよう

闇バイトに関与する人物は軽はずみな気持ちで応募しているかもしれませんが、闇バイトで関与する刑事事件は重大犯罪であることが多いので、主犯格のことを何も知らなかったとしても、警察にバレたときには逮捕・勾留によって長期間身柄拘束される可能性が高いです。

少しでも身柄拘束期間を短縮化し、また、不起訴処分獲得の可能性を高めるには、被害者と早期に示談交渉を開始しなければいけません。特に、特殊詐欺事件などの高額被害が発生するケースでは闇バイト応募者だけでは全額の被害弁償が難しいので、被害者との間で示談条件について丁寧に話し合いを進める必要があります。

そのため、被害者との間で現実的に履行可能な示談契約を締結するには、示談実績や刑事事件を専門に扱っている弁護士のサポートが不可欠だと考えられます。逮捕後、検察官の公訴提起判断までに示談をまとめて、不起訴処分獲得による刑事事件終結を目指しましょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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