「任意の取り調べの対応方法がわからない」
「取り調べの対応方法を間違えるとどうなるか不安」
「取り調べの対応方法を誰かに相談したい」
刑事事件への関与が疑われると、警察から任意の取り調べに応じるように求められることがあります。逮捕されると強制的に取り調べを受けなければいけませんが、任意の出頭要請がかけられたケースでは、取り調べに応じるかどうかは対象者の自由です。
しかし、刑事実務上、任意の取り調べに応じなければ逮捕状が発付請求されるリスクが高まります。それならば、任意段階で誠実に取り調べに対応して軽い刑事処分獲得を目指す方が合理的だと考えられます。
そこで、この記事では、任意の取り調べの対応方法に疑問を感じている人や、家族が警察から取り調べを受けて困っている人のために、以下の事項について分かりやすく解説します。
- 捜査段階で実施される取り調べの実情・内容
- 取り調べへの対応方法及び注意事項
- 取り調べへの対応を誤ったときに生じるデメリット
- 取り調べを受ける前に弁護士に相談・依頼をするメリット
当サイトでは、刑事事件を得意とする弁護士を多数紹介中です。防御活動を開始するタイミングが早いほど軽い刑事処分を獲得できる可能性が高まるので、すみやかに信頼できる弁護士までご相談ください。
目次
警察や検察の取り調べはどんな感じ?
まずは、警察段階・検察段階で実施される取り調べの実情・流れについて解説します。
捜査機関が実施する「取り調べ」は2種類
捜査機関が実施する「取り調べ」は、以下の2種類に区別できます。
- 任意の取り調べ
- 強制の取り調べ
どちらの取り調べを実施するかは、事案の状況を踏まえて捜査機関側が判断します。
任意の取り調べは理屈上拒否できる
任意の取り調べは、捜査対象者が対応するか否かを自由に決定できる取り調べのことです。いわゆる「任意捜査」の範囲でおこなわれます(刑事訴訟法第197条第1項本文)。
任意の取り調べは、事前に捜査機関側から出頭要請がかかり、取り調べが実施される日程が決められます。そして、約束された日に警察署などを訪問し、取調室で事情聴取がおこなわれます。事案によって事情聴取の時間はさまざまですが、長くても数時間で取り調べは終了し、そのまま帰宅できます。
あくまでも「任意」を前提に実施されるものなので、理屈上は以下のような対応をとっても差し支えありません。
- 出頭要請に関する警察からの電話に出ない、着信拒否をする
- 出頭要請をするために自宅などを訪問してきた捜査員をその場で帰宅させる、居留守を使う
- 約束した事情聴取当日にキャンセルをする、何の連絡もなく警察署などを訪問しない
- 任意の取り調べの途中で好きなタイミングで帰宅する
- 任意の取り調べ中に黙秘をする、捜査官を無視する、嘘の供述をする など
ただし、任意の取り調べに誠実に対応しなければ逮捕状が発付されて強制的な取り調べを強いられるリスクがある点に注意が必要です。
強制処分中の取り調べは拒否できない
強制の取り調べとは、逮捕・勾留中に実施される取り調べを意味します。
逮捕・勾留とは、裁判所の発付する令状に基づいて強制的に被疑者の身柄を拘束する強制処分のことです。逮捕・勾留中の被疑者に対して実施される取り調べは拒絶することができません(刑事訴訟法第198条第1項但書)。
逮捕されると72時間以内、勾留されると10日以内(再延長によりさらに10日間)、外部と一切連絡がとれない状況で取り調べを強いられます。
任意の取り調べから強制処分に切り替わる可能性がある
当初は在宅事件として扱われて任意の取り調べが実施されていたケースでも、途中で逮捕状が発付されて強制の取り調べに切り替わる可能性があります。
たとえば、任意の取り調べを実施していても、捜査対象者が完全に黙秘を貫いていたり、そもそも出頭要請に応じなかったりすると、捜査活動は一切進展しません。在宅事件扱いでは捜査の進捗が見られない状況を放置したままでは事案の真実解明には至らないため、逮捕・勾留によって強制的に対象者の身柄を拘束して、厳しい取り調べを実施します。
つまり、任意の取り調べに誠実に対応しなければ、捜査機関の裁量次第で、いきなり逮捕状が発付されかねないということです。任意の取り調べなら比較的自由な状況で刑事手続きに対応できるのですから、捜査機関が在宅事件処理を選択している限りは、誠実に対応することを強くおすすめします。
強制処分としての取り調べから任意処分に切り替わることもある
在宅事件から逮捕・勾留に切り替わるパターンがあるように、当初は逮捕・勾留による強制的な取り調べが実施されていたのに、途中で在宅事件に切り替わるケースも存在します。
たとえば、当初は逮捕処分・勾留処分が下されて強制的な取り調べが実施されていたものの、被疑者が取り調べに誠実に対応する姿勢を見せていれば、逮捕・勾留の根拠である「逃亡または証拠隠滅のおそれ」がないと判断できるでしょう。そのような状況に至れば、強制的に身柄を拘束する必要性がない以上、公訴提起判断に至る前の段階で逮捕・勾留処分が解かれて、在宅事件に切り替わります。
被疑者側からすると、強制よりも任意の取り調べを受ける方がメリットが大きいです。逮捕・勾留をされたときには、弁護士に相談したうえで早期の身柄釈放を目指した取り調べ対応を実践してください。
取り調べが実施されるまでの流れ
取り調べが実施されるまでの一般的な流れは以下のとおりです。
- 警察から任意の出頭要請がかかる(電話、訪問など)
- 事情聴取の日に警察署の取調室で取り調べが実施される
- 供述調書が作成される
- 供述調書に署名・押印をする
- 取り調べが終了する
- 事件の状況を踏まえて、微罪処分や起訴・不起訴などの判断が下される
- 逮捕状が発付されて警察署に連行される
- 逮捕段階の取り調べが実施されてその都度供述調書が作成される
- 送検されて検察段階の取り調べが実施されて供述調書が作成される
- 勾留請求された場合には身柄拘束状態での取り調べが継続して供述調書が作成される
- 取り調べで得られた供述調書やその他の客観的証拠を前提に検察官が公訴提起するか否かを判断する
なお、事件の状況次第では、在宅事件の途中で逮捕されたり、逮捕・勾留が解かれて在宅事件に移行したりすることがあります。また、警察段階の取り調べが終了した段階で微罪処分が下されたり、逆に、鑑定留置がおこなわれて勾留期間が停止して取り調べが実施されなかったりするケースも存在します。
実際の刑事手続きの流れに疑問があるときには、刑事事件を得意とする弁護士に相談・依頼をして、今後の手続きの流れを予測してもらいましょう。
取り調べでは何を聞かれる?
取り調べ中は、対象者に対してさまざまな事項について質問・聴取がおこなわれます。何度も同じ質問が繰り返されることも少なくはありません。
質問事項は、以下のように「事件に関する事実」「被疑者本人の事情」に大別できます。
- 犯行日時、場所、方法、犯行当時の状況
- 犯行に至った動機、原因、背景、経緯
- 被害者や関係者との関係性
- 事件前後の行動
- 余罪への関与の有無
- 学歴、職歴
- 生い立ち、家族関係、交友関係
- 趣味、嗜好、普段の生活の様子
- 被害者との示談交渉の進捗状況、被害弁償の有無
- 犯行に対する考え、反省の態度の有無
取り調べにおける質問への回答内容・回答方法次第で、今後の刑事手続きの流れが変わります。
任意・強制のどちらの取り調べが実施されるケースでも、弁護士との打ち合わせが終わるまでは黙秘権を行使したうえで、明確な防御方針・供述方針をもって取り調べに対応するべきでしょう。
取り調べがおこなわれる時間や期間
取り調べは、原則として1日8時間以内、午前5時~午後10時までのなかでおこなわれます。
ただし、深夜に逮捕された場合や、事件が複雑で送検や公訴提起判断までの時間が限られている場合などでは、原則的な時間制限を超えて取り調べが実施されることもあります。
また、逮捕・勾留中の取り調べには刑事訴訟法で厳格な期間制限が設けられていますが、在宅事件での取り調べには期間制限が設けられていないので、数か月に及んで何度も事情聴取が実施される可能性もあるでしょう。
警察や検察での取り調べへの対応方法5つ
刑事事件を起こしたことが捜査機関に発覚すると、警察段階・検察段階でそれぞれ取り調べが実施されます。
ここでは、捜査機関で実施される取り調べへの対応方法及び注意事項について解説します。
黙秘権を行使する
取り調べでの供述方針が明確になっていない状況なら、黙秘権を行使するのも選択肢のひとつです。
黙秘権とは、被疑者や被告人が自己に不利な供述を強要されない権利のことです(憲法第38条第1項、刑事訴訟法第198条第2項、刑事訴訟法第311条第1項)。
「警察の取り調べで黙ったままだと、それだけで不利な処分を下されそう」と思う人も少なくはないでしょう。
黙秘権は、憲法及び刑事訴訟法に規定された被疑者・被告人の正当な権利なので、仮に取り調べで黙ったままの姿勢を貫いたとしても、黙秘をした事実だけで不利な扱いを受けることはありません。むしろ、供述方針が決定していない段階で曖昧な供述をしたり、供述内容がどんどん変遷してしまったりすると、「供述内容の信憑性が低い」「嘘をついている」と判断されて、刑事手続き上不利な処分を受ける可能性が高まります。
したがって、供述方針や防御方針がはっきりしていない状況なら、弁護士が今後の方針を決定してくれるまでは、取り調べで黙秘権を行使するとよいでしょう。
ただし、取り調べで黙秘をすると、「捜査に協力するつもりがない」「証拠を隠滅するおそれがある」などと判断されて、逮捕されて在宅事件化に失敗したり、勾留によって長期間身柄拘束されたりするリスクに晒される点に注意をしてください。
事前に供述内容・供述方針を決めておく
捜査機関の取り調べにのぞむときには、事前に供述内容・防御方針を決定しておくことを強くおすすめします。
というのも、捜査機関が検察官送致や起訴・不起訴の判断をするときには、供述内容それ自体だけではなく、「供述内容の一貫性」も重視されるからです。
たとえば、当初は被疑事実への関与について自白していた被疑者が、後から供述内容をひるがえして否認に転じたケースでは、「供述内容が変遷した」という事実自体が証拠として扱われます。そして、事案をめぐる客観的証拠も踏まえたうえでどの供述調書が重点的に採用されるのか、もしくは、どの供述調書も重視されないのかが決定されます。
つまり、最初から防御目標を明確化して供述方針・供述内容を統一していれば、被疑者・被告人側の供述内容の信憑性が高まるということです。
もちろん、防御方針は事案の状況などを総合的に踏まえたうえで決定する必要があるため、被疑者・被告人本人だけでは合理的な判断は難しいでしょう。ですから、捜査機関側から何かしらの接触があったときには、できるだけ早いタイミングで刑事実務に詳しい私選弁護人に相談・依頼をするべきだと考えられます。
任意の取り調べにも誠実に対応する
捜査機関が実施する取り調べは、任意の事情聴取と逮捕・勾留中の強制的な取り調べに分類されます。
そして、理屈上は、在宅事件に分類される任意の事情聴取は、取り調べ自体を拒絶できますし、取り調べの途中の好きなタイミングで切り上げて帰宅することも可能です。
ただし、実際に刑事手続きに巻き込まれたときには、任意の取り調べにも可能な限り誠実に対応するべきだと考えられます。
というのも、任意の事情聴取を拒否したり誠実に対応しなかったりすると、逃亡または証拠隠滅のおそれがあると判断されて、逮捕処分が下されかねないからです。そして、逮捕・勾留中は外部と一切連額がとれない状態で数日~数週間留置施設に収容されて、取り調べを拒絶することもできません。
つまり、任意の事情聴取を拒絶しても逮捕・勾留されて強制的に取り調べを受けなければいけない以上、捜査機関側から任意の出頭要請を受けている段階で誠実に対応した方が被疑者側にとってのメリットは大きいということです。
任意の取り調べにも誠実に対応する姿勢を見せておけば、刑事事件を起こしたこと、警察から疑いの目を向けられていることなどについて、会社や家族にバレるリスクも大幅に軽減できるでしょう。
捜査機関に無断で録音をしない
取り調べ中の様子や音声を録音・録画する行為を禁止する法律はありません。ですから、警察に無断で勝手にスマートフォンなどで録音・録画をしたとしても、その行為に対して何かしらの罰則が科されることはないでしょう。
ただし、そもそも逮捕・勾留中の被疑者の所持品は全て取り上げられるので、スマートフォンやボイスレコーダーで録音・録画をするのは不可能です。また、任意の事情聴取中に無断で録音・録画をしているのがバレると、捜査官から録音・録画をやめるように要請されるでしょうし、余計なトラブルに発展しかねません。捜査機関側にボイスレコーダーなどの持ち込みを打診してもほとんどのケースで拒否をされるでしょう。
ですから、無断で取り調べ中に録音・録画をするのは避けるべきですし、録音・録画以外の方法で捜査活動に対抗する手段を模索するべきだと考えられます。
嘘の供述は極力避ける
捜査機関で実施される取り調べに対応するときには、嘘の供述は極力避けるべきです。
というのも、捜査機関は事情聴取以外にもさまざまな捜査活動によって客観的証拠を収集するため、被疑者・被告人が嘘の供述をしたことがバレる可能性が高いからです。
取り調べの際に嘘をついていたことが発覚すると、捜査機関からの心証が悪くなって身柄拘束期間が長期化するだけではなく、重い刑事処分・判決が下されるリスクが高まります。犯罪行為に及んだ事実を隠したくなる気持ちは当然のことですが、社会復帰の可能性を高めるには軽い刑事処分を獲得するのが最善の方法なので、できるだけ早期に私選弁護人と打ち合わせをして、嘘のない一貫性のある供述を意識するべきでしょう。
取り調べの対応方法を間違ったときに生じるデメリット3つ
取り調べの対応方法を間違ったときに生じる可能性があるデメリットを3つ解説します。
強制的に身柄拘束されるリスクが高まる
刑事事件を起こしたことが警察に発覚したとしても、いきなり逮捕されるわけではありません。というのも、逮捕状が発付されるのは、以下2つの要件を満たしたときに限られるからです。
- 逮捕の理由があること(犯罪事実に及んだ疑いがあること)
- 逮捕の必要性があること(逃亡または証拠隠滅のおそれがあること)
つまり、実際に刑事事件を起こした事実に間違いがなかったとしても(「逮捕の理由があること」の要件を満たす状況であったとしても)、
事案の状況や取り調べへの対応方法次第では「逮捕の必要性がない」と判断されて、在宅事件として処理されるということです。
しかし、たとえば、取り調べで嘘をついていたことが発覚したり、供述内容がころころと変わって捜査活動を攪乱しようとする意図があると認定されたりすると、「逃亡または証拠隠滅のおそれがある」と判断された結果、逮捕状が発付される可能性があります。実際、当初は在宅事件として処理されていたのに、途中から逮捕されるケースは少なくありません。
また、逮捕されてから検察官が公訴提起判断をするまでの期間は「原則72時間以内」ですが、この期間内の取り調べでの供述内容や捜査の進捗状況次第では、検察官の勾留請求が認められて、身柄拘束期間が10日間(再延長により最長20日間まで)延長されることもあります。つまり、取り調べでの対応方法を誤った場合、最長23日間の身柄拘束期間が生じるリスクが高まるということです。
逮捕・勾留中は外部と一切連絡をとれませんし、外出も認められません。さらに、厳しい取り調べ以外の時間は過酷な留置施設での生活を強いられます。
刑事処分が重くなるリスクが高まる
刑事手続きに巻き込まれた場合には、できるだけ軽くて有利な刑事処分・判決の獲得を目指す必要があります。
というのも、たとえば、微罪処分の獲得に成功すれば送検以降のデメリットはゼロになりますし、起訴猶予処分を獲得できれば有罪になったり前科がついたりすることもなくなるからです。
しかし、取り調べへの対応方法を間違えると、不利な刑事処分を下されたり重い判決が言い渡されたりしかねません。刑事処分が重くなるほど、現在の社会生活への悪影響が大きくなるばかりでなく、社会復帰のハードルも高くなるでしょう。
社会的な悪影響が生じる
取り調べへの対応方法を誤ると、現在の社会生活や今後の人生に甚大なる悪影響が生じかねません。
たとえば、取り調べで嘘の供述をしたために逮捕・勾留による身柄拘束期間が長期化すると、その期間中は完全に社会生活と隔離された状態になるので、会社や学校に刑事事件を起こしたことがバレる可能性が高いです。仮に起訴猶予処分を獲得できたとしても、周囲からの冷たい目に晒されて仕事などがやりにくくなるでしょう。
また、実刑判決が確定すると刑期を満了するまで収監されて社会生活から隔離されるので、現在の仕事はやめざるを得ませんし、履歴書に空白があるために転職活動も困難になりかねません。また、仮に実刑を回避して執行猶予付き判決・罰金刑が確定したとしても、有罪判決が下された以上は前科がつくので、前科によるデメリットに悩まされ続けます。
以上を踏まえると、取り調べへの対応方法でミスをして刑事処分が重くなると、刑事手続き中だけではなく、刑事裁判などが終了した後の人生にも大きなデメリットが生じるといえるでしょう。
- 履歴書の賞罰欄への記載義務が生じる
- 前科を理由に就業・取得できない職業・資格がある
- ビザ・パスポートの制限がかかって海外出張・海外旅行に支障が生じる
- 結婚が難しくなったり離婚されたりする
- 再犯時の刑事処分が重くなる可能性がある
取り調べを受ける際に弁護士へ相談・依頼をするメリット
取り調べへの対応方法に不安・疑問を抱いたときには、すぐに弁護士へ相談・依頼をしてください。
というのも、刑事事件を得意とする私選弁護人を頼ることによって多くのメリットを得られるからです。
なお、刑事事件を起こしたときには、当番弁護士制度や国選弁護人制度を利用できますが、ご自身で私選弁護人を選任することを強くおすすめします。着手金や成功報酬などの弁護士費用は発生しますが、刑事事件を取り扱った経験・ノウハウを踏まえた対応を期待できるでしょう。
事案の状況を総合的に考慮して供述方針を決定してくれる
取り調べを受けるときには、できるだけ有利な刑事処分を獲得しやすくなる内容を供述する必要があります。
ところが、法律や刑事実務に詳しくなければ、どのような供述が適切かを判断することができません。場合によっては、供述してはいけない内容を口走ってしまった結果、想定よりも不利な形で刑事手続きが進められてしまうリスクも生じます。
刑事事件を得意とする弁護士に相談すれば、事件の全体像や今後の刑事手続きの流れ、時々刻々と変化する捜査状況などを踏まえて、どのような供述方針・防御方針で取り調べにのぞむべきかを早期に決定してくれるでしょう。
取り調べを受けるときの注意点を教えてくれる
取り調べを受けるときは、いくつかの注意点を踏まえる必要があります。
たとえば、供述調書が作成されたときには、しっかりと記載内容を確認したうえで署名・押印をしなければいけません。供述者の署名・押印がある供述調書には高い証拠能力が認められるので、事前に内容を確認しなければ、内容に問題がある供述調書や被疑者側にとって不利な供述調書が刑事裁判で採用されてしまいます。供述調書の内容に同意できないときには、絶対に署名・押印しないでください。
また、供述調書の記載内容を変更したいときには、捜査官に変更の旨をしっかりと伝えるのも重要です。訂正箇所が希望どおりの内容に変更されていれば署名・押印をし、同意できないものであれば署名・押印を拒否してください。
弁護士に相談・依頼をしていれば、このような取り調べ時の注意事項や、どのような供述調書なら署名・押印をするべきではないかなどについて的確なアドバイスを期待できるでしょう。
違法な取り調べに対抗してくれる
刑事事件を得意とする弁護士に依頼をしておけば、違法な取り調べや捜査活動へしっかりと対抗してくれます。
そもそも、以下のように、捜査活動に対しては、刑事訴訟法や警察捜査における取調べ適正化指針などでさまざまな制約が定められています。
- やむを得ない場合を除いて、捜査員は被疑者の身体に接触してはいけない
- 直接または間接に有形力を行使してはいけない
- ことさらに不安を覚えさせたり、困惑させたりするような言動をとってはいけない
- 一定の動作や姿勢をとるように強く要求してはいけない
- 一定の供述などをする代わりに、便宜を供与したり、便宜の供与・約束をしたりしてはいけない
- 被疑者の尊厳を著しく害するような言動をとってはいけない
- 原則として、1日8時間、午前5時~午後10時の間に取り調べを実施しなければいけない(この時間帯以外に取り調べを実施するときには、事前に警察本部長などの承認が必要)
- 令状を発付していない状況で実質的な逮捕と評価できるような態様の取り調べを実施してはいけない
- 正当な理由がないのに弁護士との接見を禁止してはいけない など
刑事事件を得意とする弁護士へ相談すれば、被害者ノートを差し入れたり定期的に接見機会を設けたりすることで違法な捜査がおこなわれていないかチェックしてくれたり、違法な捜査がおこなわれるおそれがあるときには捜査機関に対してクレームを入れるなどの措置をとってくれるでしょう。
また、違法な捜査によって意に反した供述調書が作成されたときには、刑事裁判においてその旨を主張・立証し、違法収集証拠の排除を求めてくれます。さらに、逮捕や勾留といった強制処分に根拠がないと判断できるときには、準抗告や取消しの申し立てをしてくれます。
少しでも軽い刑事処分獲得に役立つ証拠などを用意してくれる
刑事手続きで有利な処分・判決を獲得するには、そのための証拠・材料をそろえる必要があります。
たとえば、犯行に至った経緯に同情するべき事情が存在するのなら、酌量減軽を獲得できるような証言・証人を探し出してくれます。また、被害者が存在する犯罪類型で刑事訴追された事案なら、早期に被害者との間で示談交渉を成立させて、被害者の処罰感情がなくなっていることを示してくれるでしょう。さらに、捜査機関が立証しようとしている被疑事実自体に疑いがあるときには、他の犯人を捜したり、被疑者にアリバイがあることを提示します。
刑事弁護の実績豊富な専門家の力を借りれば、個別事案の状況を総合的に考慮したうえで、被疑者側にとって有利な証拠を用意してくれるでしょう。
取り調べへの対応方法に困ったときは弁護士に相談しよう
警察から任意での出頭要請を受けたときや、任意の取り調べを受けているときに不安・疑問を抱いたときには、できるだけ早いタイミングで刑事事件を得意とする弁護士へ相談・依頼をしてください。
弁護士のサポートがあれば、どのような防御方針で取り調べに向き合うか早期に決定できますし、取り調べへの対応方法などについてもさまざまなアドバイスを期待できるでしょう。
当サイトでは、刑事事件をめぐる論点や注意事項、刑事事件を得意とする弁護士を多数紹介中です。「どれだけ早いタイミングで効果的な防御活動をスタートできるか」が今後の処分内容を左右するので、刑事手続きに巻き込まれたときには、すみやかに信頼できる弁護士までお問い合わせください。