大麻所持の初犯での刑罰はどの程度?逮捕後の流れや社会復帰しやすくなるコツを解説

大麻所持の初犯での刑罰はどの程度?逮捕後の流れや社会復帰しやすくなるコツを解説
大麻所持の初犯での刑罰はどの程度?逮捕後の流れや社会復帰しやすくなるコツを解説
  • 「大麻所持の初犯で逮捕された場合、刑罰はどうなるの?社会復帰できるか心配」
  • 「逮捕後の流れや勾留期間を知りたい」

大麻所持で逮捕されると、初犯でも所持量や所持の目的によっては、実刑になります。刑罰を軽くするには、再犯防止の取り組みが重要です。本人に更生する意志があるのは当然として、第三者の監督や支援も必要になります。

こちらの記事では大麻所持の初犯で逮捕された際の処分を説明し、逮捕後の流れや、不起訴や執行猶予を獲得する方法についても詳しく解説します。

社会復帰しやすくするコツは、勾留される期間を短縮することです。不自然な不在が長引くほど、仕事に影響を与えてしまいます。また、前科を付けないことも重要です。前科により職業選択の幅が狭くなり、国家資格の取得も制限されます。

まずは置かれている状況と今後の流れを把握して、これから選択できる最善策を考えていきましょう。

大麻の初犯で逮捕されたときの処分・刑罰

大麻所持は初犯でも実刑になる可能性があります。処分や刑罰が判断される際は、下記の3要素が重視されます。

  • 大麻を手に入れた手段
  • 所持していた量
  • 所持していた目的

個人的に使用していたのか、もしくは販売して利益を得ていたかは、とくに問題視されます。大麻取締法による「罰せられる行為」と「刑罰」については、以下の表を参照してください。

所持
譲り受ける
譲り渡す
個人的な使用が目的|5年以下の懲役
利益を得ることが目的|7年以下の懲役・200万円以下の罰金
栽培
輸入
輸出
個人的な使用が目的|7年以下の懲役
利益を得ることが目的|10年以下の懲役・300万円以下の罰金

第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。

出典:大麻取締法 | e-Gov法令検索

第二十四条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。

出典:大麻取締法 | e-Gov法令検索

実際には、どのようなケースで実刑になったり、不起訴になったりするのでしょうか。より具体的な例を挙げながら、解説していきます。

起訴されて実刑になるケース

大麻所持は初犯でも悪質と見なされると、執行猶予は得られず懲役刑になります。そうなってしまうと、前科が付き、刑務所に入らなくてはなりません。悪質と判断される要因は、下記を参考にしてください。

  • 売買で利益を得ることが目的である
  • 大量の流通に関与している
  • 再犯の恐れがある

初犯でも実刑になる要因について、これから詳しくお伝えしていきます。

売買で利益を得ることが目的の所持

大麻所持の目的が「売買によって利益を得る」ことなら、初犯でも実刑の可能性が極めて高くなります。これは営利目的の所持と呼ばれるものです。

裁判で判決が決定される際、営利目的か否かは、とても重要な基準になります。密売の期間が長かったり、得た金額が大きかったりするほど、刑罰も重くなると認識してください。懲役刑と罰金刑の両方を科せられることも珍しくありません。

大量の所持

所持していた大麻の量が多いほど、実刑になる可能性も高くなります。大麻所持の目的が売買ではなく、個人的に使用することでも、大量の所持は不利です。

「個人的な使用が目的」で大量に所持しているなら、常習や依存が疑われ、再犯が懸念されます。大量の流通に関わったことも、悪質な犯罪と判断されるでしょう。ゆえに刑罰も重くなりがちです。

大麻所持以外の犯罪歴がある

大麻所持は初犯だとしても、何らかの犯罪歴があると、実刑になる恐れがあります。犯罪を繰り返した経緯で、さらなる再犯を疑われてしまうからです。とくに下記のケースに当てはまると、実刑を免れることが難しくなります。

  • さかのぼって5年以内に執行猶予判決を受けた
  • 実刑判決を受けて刑の執行が終了したが、執行終了後まもなく逮捕された

たとえば執行猶予期間中に逮捕されたなら、大麻所持の初犯でも実刑になり得ます。執行猶予を受けてから7年以上過ぎていれば、実刑を避けられる見込みがあります。

更生する気がないと判断された

大麻所持を反省せず、更生する気もない場合は、初犯でも実刑になる可能性が高まります。薬物犯罪においては「再犯の恐れ」が問題視されるからです。具体的には、以下のケースに該当すると、更生する気がないと見なされます。

  • 犯罪の容疑が明らかな証拠があるが、容疑を認めない
  • 罪を犯したという意識がなかったり、態度が悪かったりする
  • 更生を支援する人がいない

捜査に非協力的だったり、そもそも罪の意識がなかったりすると、大麻への依存や再犯が疑われます。更生すると明言したところで、実行できる環境がなければ、信用を得にくいものです。家族や弁護人が支援をすることで、更生の意欲が認められやすくなります。

起訴されて執行猶予が付くケース

大麻所持の初犯で起訴されると、執行猶予付きの判決になることは多々あります。起訴された時点で前科は付くものの、ただちに刑務所に入る必要はありません。したがって、実刑よりは仕事に影響を与えにくくなるでしょう。

執行猶予が付くケースについて、詳細をお伝えします。

少量の所持

所持していた大麻の量が少ないほど、実刑になる可能性も低くなるでしょう。ただし、以下の要因が認められた場合に限ります。

  • 個人的に使用することが目的である
  • 常習性はない
  • 再犯の恐れもない

所持量が少なければ、常習性や依存症が疑われにくくなります。一方で、更生する意志がなかったり、再犯が疑われる環境にあったりすると、罪が重くなりがちです。

不起訴処分になるケース

不起訴処分になると、前科が付かずに釈放されます。大麻で逮捕された際の「最も軽い処分」と言えるでしょう。不起訴処分は以下の2種類に分けられます。

  • 起訴に十分な証拠はあるが、起訴する必要がない
  • 証拠が不十分で起訴が難しい

上記を踏まえつつ、不起訴処分が期待できるケースについて、掘り下げていきます。

ごく微量の所持

所持していた大麻がごく微量なら、「起訴する必要がない」と判断される可能性があります。たとえば1回分の使用に満たない量や、大麻の残りカスが付着していた程度なら、微量に該当するでしょう。

ただし微量の所持だったとしても、犯行内容によっては起訴を回避できません。一方で、1回分以上の量を所持していたものの、弁護士の協力により不起訴になったケースもあります。

共同所持

大麻の共同所持は処罰の対象です。ただし「証拠が不十分」と判断された場合は、不起訴処分になります。共同所持が成立する条件は、下記を参考にしてください。

  • 大麻が存在することを認識している
  • 大麻を使用したければ、使用できる状況にある

友人や家族の所有する大麻が、警察によって押収された際、その場にいた人も共に逮捕されることがあります。「大麻を共同で所持した」という容疑があるからです。捜査の結果、共同所持の証拠が不十分であれば、不起訴処分となります。

大麻所持の初犯で身柄を拘束されてからの流れと拘留期間

大麻所持で逮捕されると、どうなるのでしょうか。まずは身柄を拘束され、連絡すら自由にできなくなります。逮捕後の大まかな流れは下記のとおりです。

  1. 警察による取り調べ
  2. 検察の取り調べ
  3. 起訴されれば刑事裁判

たとえ初犯であっても、釈放まで時間がかかる傾向にあります。ここからは逮捕後の流れと拘束される日数について、詳しくお伝えします。

①警察による取り調べ|2日間

大麻所持で逮捕されると、まずは警察署内の留置施設に収容されます。警察による取り調べがおこなわれ、身の上のことや犯罪の詳細を追求されるのが一般的です。

そして逮捕後から48時間以内に、「警察から検察へ身柄を送致される」もしくは「釈放される」どちらになるか決定します。検察は24時間以内に勾留請求するかを判断します。勾留とは、逮捕後も引き続き身柄を拘束することです。

逮捕後からの72時間は、家族の面会すら認められず、弁護士のみ許可されます。検察に引き継がれてからの流れは、次の見出しにて解説します。

②検察による取り調べ|10〜20日間

警察による取り調べを踏まえた上で、検察の取り調べが始まります。勾留請求が認められると、まずは10日間身柄が拘束され、さらに10日間の延長が可能です。

起訴されるか、不起訴処分になるかは、この勾留期間中に決定します。起訴されると引き続き身柄が拘束され、刑事裁判で裁かれることになるのです。不起訴処分になると釈放され、前科は付きません。

大麻所持は証拠の隠滅が懸念されるため、初犯でも勾留されやすい犯罪です。また証拠隠滅の疑いから、家族すら面会が許されないことがあります。これは接見禁止と呼ばれる処分で、弁護士のみ面会可能です。

再逮捕|最長23日間

再逮捕とは、「他の犯罪で再度逮捕する」という意味で用いられるのが一般的です。大麻犯罪の場合、まずは所持で逮捕され、のちに栽培や売買が発覚することがあります。このように複数の犯罪を犯すと、再逮捕されると知っておいてください。

再逮捕されるタイミングは、最初に逮捕された犯罪の勾留期間が終わったときです。その時点から72時間のうちに手続きがなされ、最長で20日間の勾留が繰り返されます。大麻犯罪の種類が増えるほど、身柄拘束の期間も長くなります。

③刑事裁判|約1ヶ月間

大麻所持で起訴されると、初犯でも法廷にて正式裁判が開かれます。その理由は、大麻犯罪の刑罰は「懲役刑」もしくは「懲役刑と罰金刑の両方」になるためです。

刑事裁判の流れとして、まずは起訴されてから約1〜2ヶ月後に1回目の裁判が開かれます。大麻所持の初犯で犯行を認めているなら、2〜3週間後に判決を言い渡されるのが一般的です。有罪判決が下された場合、再度の審理を申し立てなければ、刑が確定します。

大麻所持の初犯で社会復帰しやすくするポイント

社会復帰をしやすくするには、「早急に身柄が解放される」「前科が付かない」の2点が重要です。

長期的に仕事を休むと、復職が困難になることが懸念されます。また、前科が付くことで就業できなくなる職種や、取得できない資格もあります。残念ながら、「前科がある人の採用を敬遠する」企業が存在するのも事実です。

早急に身柄解放される方法や、前科を付けないためにすべきことを、お伝えしていきます。

再犯防止に取り組む

不起訴処分や執行猶予を得るには、情状酌量を受けられるかが分かれ目です。情状酌量とは、「刑罰を軽くするために有利な事実」を意味します。大麻所持の場合は「再犯防止のプラン」が情状酌量に貢献します。

再犯防止策の信用度を高めるには、専門家や第三者の支援が必要です。具体的な取り組みについては、下記を参考にしてください。

  • 薬物依存症を専門とする機関で治療する
  • 家族や弁護人の監視下で更生に励む

大麻を止めるために治療をすることは、高評価となり得ます。また、更生をうながして監視する人がいると、信用を得やすくなるでしょう。

保釈請求をする

なるべく早く釈放されるための手段として、保釈請求が挙げられます。保釈は、起訴された後に使える制度です。保釈請求が認められた場合、保釈金を納めると釈放されます。

大麻所持は、初犯なら保釈が認められやすいため、選択肢のひとつとして検討してください。それでは、保釈請求と保釈金について解説していきます。

保釈請求とは

保釈とは「一定のお金を預けることを条件に釈放してもらう」ことです。逃亡や罪証隠滅の恐れがなければ、認められる可能性があります。保釈されるタイミングは、請求してから3〜5日後が一般的です。

刑事訴訟法で定められた「保釈請求できる人」は、下記を参照してください。

  • 勾留されている本人
  • 弁護人
  • 法定代理人や保佐人
  • 配偶者や直系の親族、兄弟姉妹

第八十八条 勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。

出典:刑事訴訟法 | e-Gov法令検索

保釈された後、逃亡せず裁判に出席し判決を迎えると、保釈金は返金されます。

保釈金の相場

大麻所持の初犯であれば、保釈金の相場は150万円程度です。ただし目安として認識してください。実際の金額は、被告人の経済力によって変動するからです。

なお、大量に所持していた場合は、より高額になることが懸念されます。

刑事事件が得意な弁護士に相談する

刑事事件で逮捕されると、警察や検察などの捜査機関と対峙することになります。捜査機関は法律の専門家です。しかし、被疑者を有利にするために、法律を活用してくれるとは限りません。

刑事事件に長けている弁護士は、被疑者の心強い味方となり、捜査機関に対抗してくれます。被疑者を有利にするために法律を活用し、捜査機関と交渉をすることも可能です。

それでは、弁護士に依頼することで得られるメリットを説明します。

身柄の釈放や保釈請求に有利になる

大麻所持で逮捕された場合、初犯でも釈放は容易ではありません。釈放されるタイミングは「不起訴処分を得た時点」もしくは「保釈請求が認められたとき」が一般的です。

弁護士が介入することで、勾留の回避や、勾留期間の短縮が期待できます。弁護士が裁判所にはたらきかけた結果、早期釈放されたケースも増えています。

保釈を請求することは、弁護士に依頼しなくても可能です。ただし簡単に認められるわけではありません。保釈を成功させるには、証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す必要があります。

刑事事件に強い弁護士は、保釈請求で重視されるポイントを把握しています。さらに、検察官や裁判官と交渉し、保釈の成功率を上げることも可能です。

不当な取り調べを避けられる

警察は、自白を引き出すために様々な手を使ってきます。厳しい追求を受けることが予想され、暴力的な態度を取られる可能性もゼロではありません。実際に、警察庁が「不適切な恐れがある取り調べ」を認定し、対策を講じています。

参考:警察捜査における取調べ適正化指針|警察庁

さらに、取り調べで発言したことは、後になって取り消すことが難しいのです。取り調べの対応を誤ると、取り返しのつかないことになるかもしれません。

「弁護士を付けている」という事実があるだけで、不当な取り調べを抑制することができます。もし不当な取り調べの疑いがある場合は、弁護士が捜査機関に抗議して、改善を促します。

不起訴や執行猶予を得られる可能性が高まる

不起訴を獲得するには、逮捕後から起訴されるまでの23日間が肝心です。この間に、犯罪が悪質でないことや、再犯の可能性がない旨を主張し、根拠も示さなくてはなりません。刑事事件に長けた弁護士は、捜査機関に対して証拠を積み上げ、交渉を重ねることができます。

起訴されても弁護士を付けず、刑事裁判を受けることは可能です。ただし極めて不利な立場となるでしょう。実際に、刑事事件で起訴されると、99%以上の確率で有罪判決が下されます。

参考:我が国の刑事司法について,国内外からの様々なご指摘やご疑問にお答えします。|法務省

刑罰の重さは、弁護士の技術によって大きく異なります。法廷では、「被疑者が心から反省している」旨を伝える術や、ときに駆け引きも必要になるのです。大麻所持で起訴されて執行猶予を得るには、刑事事件に強い弁護士のサポートが欠かせません。

まとめ

大麻所持は、初犯でも実刑になる可能性がある犯罪です。刑罰は、大麻を所持していた量や、所持した目的を考慮して決定されます。更生できるか否かは、重視されるポイントです。再犯を疑われると、刑罰が重くなる傾向にあります。

逮捕後に社会復帰しやすくするコツは、「早急の身柄解放」と「前科を付けない」ことです。不起訴処分を得たり、保釈が認められると、拘束期間を短縮できます。そのためには、信用度の高い「再犯防止のプラン」を作成しましょう。確実に刑罰を軽くしたいなら、刑事事件に強い弁護士に相談してください。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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