ホテル内にある備品を持ち帰ったら盗難になる?持ち帰りOKな物の見分け方

ホテル内にある備品を持ち帰ったら盗難になる?持ち帰りOKな物の見分け方
ホテル内にある備品を持ち帰ったら盗難になる?持ち帰りOKな物の見分け方

ホテル内にある備品の中には「持ち帰りOK」なものと「持ち帰りNG」な物があります。明らかにOKもしくはNGであることがわかる備品がある一方で、持ち帰っても良いのかどうか悩んでしまうものもあるでしょう。

万が一、持ち帰ってはいけないものを持ち帰ってしまうと、思わぬ盗難トラブルに巻き込まれてしまう可能性があるため要注意です。

今回は、ホテル内の備品で持ち帰りがNGな備品や誤って持ち帰ってしまった場合に起こり得ることについて解説しています。また、視点を変えて「ホテル内で自分の荷物が盗難被害にあった場合の責任は?」についても解説しているため、ぜひ参考にしてください。

目次

ホテル内にある備品は持ち帰りNG

ホテル内にある備品は持ち帰りOKなものと持ち帰りがNGなものがあります。持ち帰りOKなものの代表例としては、使い捨てのシャンプー・リンスやウェルカムスイーツなどです。

万が一、持ち帰りNGの備品を持ち帰ってしまうと思わぬ盗難トラブルに巻き込まれてしまう可能性があるため注意が必要です。まずは、一般的にホテル内で持ち込みNGとされている備品の種類について詳しく解説します。

備品として設置してあるものの持ち帰りはNG

基本的な考え方としていわゆる「備品」として設置してあるものの持ち帰りはNGです。たとえば、以下のような備品の持ち帰りはNGであるケースが多いため要注意です。

  • ドライヤー
  • 使い捨てではないシャンプーリンス等
  • ガイド本・雑誌
  • トイレットペーパー・ティッシュ
  • タオル・寝具・バスローブ等

実際はホテルによって対応が異なるものの、上記備品を持ち帰る際は注意したほうが良いでしょう。思わぬ盗難トラブルに巻き込まれてしまう恐れもあるため要注意です。

ドライヤー

ホテル内に設置してあるドライヤーは、当然ながら備品であるため持ち帰りNGです。誤って持ち帰ってしまった場合は、チェックアウト後に変換を求めるための電話等がかかってくるでしょう。

とくに、ホテルに設置されているドライヤーは高価であることが多いため、事後の対応が悪いと最悪の場合は盗難として処理される可能性もあるため要注意です。

また、高価な物で言うとホテルにはテレビや冷蔵庫、加湿・除湿機が設置されていることがあります。当然ながら、これらの備品も持ち帰りはNGです。とくに「持ち帰らないでください」と書かれていなくても、社会通念上に照らしてNGであることは明らかです。

使い捨てではないシャンプー・リンス等

シャンプー・リンス類はホテルによって対応が異なります。しかし、とくに使い捨てではないタイプ(ボトルに入っているシャンプー・リンス等)の持ち帰りはNGであるケースが多いです。

一方で、使い捨てタイプのものが置いてある場合、基本的にはホテル内で利用されることを目的としていますが、持ち帰っても問題はありません。持ち帰っても良いのか悪いのかわからない場合は、事前にホテル側へ確認をするようにしましょう。

ガイド本・雑誌

ホテル内においてあるガイド本や雑誌等の書籍類は、基本的に持ち帰りNGです。ただ、中にはフリーペーパーとして置かれているガイド本もあります。この場合は、「持ち帰りOK」や「フリー」と記載されていることが多く、持ち帰っても問題ありません。

一方で、たとえば不特定多数の人向けに置いてあるような雑誌、漫画等はホテルの備品であるため持ち帰りは避けたほうが良いです。

トイレットペーパー・ティッシュ

ホテル内に設置されているトイレットペーパー・ティッシュ類は、その場で利用されることを想定して設置している物です。そのため、不用意に持ち帰る行為はNGとなるため注意してください。

ただし、ホテル内でポケットティッシュが置かれているような場合は、外出時に利用されることを想定されているため、持ち帰っても問題ありません。過度な持ち帰り(1人で極端に多くもらう行為)は避けたほうが良いでしょう。

タオル・寝具・バスローブ等

ホテル内に設置されているタオル、寝具、バスローブ類は持ち帰りNGとなっているケースが多いです。とくに持ち帰って良いのかどうか悩むものとして「タオル類」があるかと思います。

フェイスタオルについては持ち帰っても良いところは多いものの、大きめのバスタオルは持ち帰りNGとなっているところが多いため要注意です。とくに、いわゆる高級タオルが使用されている場合は、持ち帰りを前提としていないため持ち帰ると思わぬトラブルに発展する可能性があります。

アメニティバイキングの大量持ち帰りはトラブルの原因

ホテル等で何種類ものアメニティが置いてあり、自由に持ち帰って良いようになっているサービスを「アメニティバイキング」と言います。このサービスは、アメニティの持ち帰りを許可しているものの、大量に持ち帰ることはNGの場合が多いため要注意です。

また、アメニティバイキンが設置されており「自由にお使いください」と書かれている場合であっても、ホテル内で利用されることが前提のことがあります。そのため、自宅へ持ち帰る目的で大量に持ち帰ると思わぬトラブルの原因になり得ます。

小物備品の持ち帰りはNGな場合もある

ホテル内に設置されている小物備品は持ち帰りOKな場合とNGな場合があります。たとえば、電話横に設置されていることが多いメモ帳やボールペンは、あくまでもその場での利用を想定されているものであり、持ち帰りはNGなケースが多いです。

一方で、テーブル等にサービスとしてボールペンがおいてあるような場合は、「持ち帰ってお使いください」といった意味が込められているため持ち帰りOKです。

思わぬトラブルを回避するためにも、不安な場合はホテル側へ「持ち帰っても良いですか?」と確認をすると良いでしょう。

ホテル内の備品を持ち帰った場合は盗難として処理される可能性がある

ホテル内にある備品の所有権は、ホテル側にあります。ホテルに宿泊することによって、その備品を利用する許可を得られていたとしても、持ち帰る許可が出ているわけではありません。

そのため、ホテルの備品を持ち帰ってしまうことによって、ホテル側が「盗難被害」と認識してしまう可能性もあるため注意が必要です。万が一、盗難と認識された場合は、刑法に定められている窃盗罪が成立する可能性があります。

盗難は刑法に定められている「窃盗罪」に該当

盗難は刑法に定められている「窃盗罪」に該当します。窃盗罪は、以下の罰則規定があります。

(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法|第235条

つまり、ホテルの備品を窃取した場合は窃盗罪が成立し、10年以下の懲役または50万円以下の罰金となる可能性があります。

「窃盗(不法領得)の意思」がなければ窃盗罪は成立しない

窃盗罪は「窃盗の意思(不良領得)」がなければ成立しません。たとえば、ホテル内に置いてあったフェイスタオルを持ち帰り、後からホテル側から「フェイスタオルはホテルの備品であるため窃盗だ!」と言われたとしましょう。

この場合、窃盗の意思があったかどうかが問題になります。上記例の場合、フェイスタオルは「持ち帰ってOK」と認識してしまう人も多いです。実際、多くの宿泊施設でフェイスタオルの持ち帰りはOKとされているケースが多いでしょう。上記のことから、実際に窃盗の意思がなかったのであれば窃盗罪は成立しません。

ただし、「持ち帰りNG」と記載されている場合に窃盗の意思を持って、タオルを持ち帰った場合は窃盗罪が成立する可能性が高いため注意が必要です。

また、窃盗の意思は本人の考え方であるため、客観的に判断することが難しいです。そのため「窃盗の意思はなかった」という意見や主張は尊重されるのが当然でしょう。

しかし、たとえばホテル内に設置されている除湿機・加湿器やテレビといった高価なものを持ち帰った場合は、社会通念上、窃盗罪が成立し得ると考えられます。なぜなら、一般的に高価なものと知られている物を「持ち帰りOK」とするホテルは、社会通念上あり得ないためです。

フェイスタオルやボールペン、ウェルカムスイーツなど、一般的に安価なものであれば「サービスだろう」とも考えられるでしょう。しかし、一般的に高価なものは、明らかにサービスではありません。そのため、窃盗罪が成立し得るため注意が必要です。

ホテルの備品を盗難してしまった場合に起こり得ること

ホテル内にある備品を誤って盗んでしてしまった場合、基本的に窃盗罪は成立しません。なぜなら、先ほども解説した通り「窃盗の意思」がないためです。ただ、窃盗罪に問われなかったとはいえ、何らかの対応を求められる場合があるため注意が必要です。

次に、ホテル内にある備品を誤って盗んでしまった場合に起こり得ることについて、解説します。

ホテルから備品の返還を求められる

初めに、ホテル側から備品の返還を求められるでしょう。ホテルへ宿泊する際は、必ず宿泊者名簿を記入しているはずであるため、記載されている電話番号宛に確認の電話がかかってきます。

この時点で、誤って持ち帰ってしまった物があるのであればすぐに返還すれば、大きな問題に発展することはありません。

一部代金を賠償請求される可能性がかかる

ホテルの備品を持ち帰り、返還請求をされたにも関わらず返還しなかった場合や、壊してしまった場合は賠償請求される可能性があります。賠償請求とは、その備品がないことによって受けた被害を賠償するための請求です。

たとえば、ホテルに設置してあったドライヤーを持ち帰ったことにより、数日間その部屋にお客さまを入れられなかった場合、その日数分の損害賠償が発生します。さらに、新たにドライヤーを購入する費用や設置にお金がかかる場合は、設置費用の請求も行われるでしょう。

損害賠償請求は、窃盗の意思に関わらず発生する物であるため、「誤って持ち帰ってしまった…」という場合でも発生し得ます。そのため、持ち帰って良いかわからないものに関しては、確認を取るなど十分に注意しましょう。

【対策】ホテルの備品盗難を避けるための注意事項

ホテル内に置いてある備品を誤って持ち帰ると、窃盗として処理されてしまう可能性があるため注意が必要です。しかし、ホテル内にある備品の中には「持ち帰りOK」なものもいくつかあります。

そのため、自分の判断で「持ち帰りがOKなのかNGなのかわからない」というものもあるでしょう。

思わぬトラブルに巻き込まれないためにも、事前の対策が必要です。次に、思わぬトラブルに巻き込まれないための注意事項についても詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

持ち帰り可否が不明なものは必ず確認をする・持ち帰らない

ホテル内の備品持ち帰りに関するトラブルを避けるためには、「持ち帰り可否が不明なものは持ち帰らない」を徹底することです。もし、自分が使用して気に入ったため、持ち帰りを希望する場合は、ホテルフロントに確認をした上で持ち帰る、もしくは購入先を聞いたほうが良いでしょう。

ホテルで設置されている備品の多くは、ホテル側に確認をすればすぐにメーカーや商品名等を教えてもらえます。

ホテルで自分の荷物が盗難にあった場合の責任

これまで、「ホテル内の備品」について解説してきましたが、「自分の持ち物をホテルで盗難に遭う」といった事例も少なくはありません。次に、ホテル内においてあった自分の持ち物が盗まれてしまった場合の責任の所在について詳しく解説します。

ホテル側が債務不履行責任を負う可能性がある

ホテルに宿泊する場合、ホテルは「客が盗難被害に遭わないように配慮すべき義務がある」と考えられています。そのため、この義務を怠って客が盗難被害に遭った場合はホテル側の債務不履行責任を問うことができる可能性があります。

まず考えるべきは「客が盗難被害に遭わないように配慮すべき義務」についてです。ホテルは、一般的に客が盗難被害に遭わないために、以下のような対応を行っています。

  • 貴重品はフロントへ預けるようにアナウンスをする
  • 貴重品はロッカーへ預け入れるようにアナウンスをする

基本的には上記のような方法によって、「盗難被害に遭わないように配慮」をしています。つまり、この配慮義務を怠って客が盗難被害にあった場合は、ホテル側が債務不履行責任を負うことになります。

たとえば、「貴重品はフロントへ」や「貴重品はロッカーへ」等一切謳っていなかった場合は、ホテル側としての配慮義務を怠っていたことになり、責任を負う可能性があります。

ホテル側が不法行為責任を負う可能性がある

ホテルないで盗難にあった場合、ホテル側の不法行為責任をと得る可能性もあります。

たとえば、ホテルの部屋に貴重品を置いたまま食事へ行き、食事中に部屋で布団を強いてもらえるサービスはよくあることです。このサービス中に布団を敷きにきた従業員が客の貴重品を窃取した場合、ホテル側が責任を負うことになります。

もちろん、従業員本人が賠償責任を負うことは当然です。しかし、従業員自身に支払い能力等がない場合は、ホテル側が責任を負って客への義務を負うことになるということです。

注意喚起を守らなかった場合は客側の責任になる可能性もある

基本的にホテル内で発生した盗難被害は、ホテル側の責任となるケースが多いです。しかし、ホテル側が責任義務を果たしているにも関わらず、その指示に従わなかった場合は客側の責任となる可能性があるため注意が必要です。

たとえば、ホテル側から「貴重品は金庫・フロント・ロッカーへ預け入れるように」と指示されているにも関わらず従わなかった場合です。この場合、当然ながらホテル側に対して債務不履行責任を問うことはできません。また、ホテルに対しての不法行為責任を問うことも難しくなります。

ただし、窃盗を行った本人に対しては責任を問うことはできます。とはいえ、個人の場合は賠償能力がないケースも多いため、しっかりホテル側のルールを守ることを徹底したほうが良いでしょう。

ホテルの盗難でよくある質問

ホテル内の盗難でよくある質問を紹介します。

Q.他のホテルでは持ち帰りOK備品が当ホテルではNGでした。勘違いをして持ち帰った場合どうなりますか?

A.持ち帰った物にもよりますが、返還を求められたり注意されたりするでしょう。

他のホテルで持ち帰りがOKだった備品であっても、別のホテルではNGというケースは多々あります。そのため、持ち帰りがOKなのかどうかわからない備品については、持ち帰らないもしくは確認をするといった対策が必要です。

万が一、誤って持ち帰ってしまった場合はホテルから確認の電話が入る可能性があります。この場合は、素直に間違いを認めた上で直ちに返還する旨を伝えれば大きなトラブルに発展するケースは少ないため安心してください。

Q.連泊中のホテルで掃除が入るため財布を置いたまま部屋を出ました。戻ると一部お金が引かれていたのですがどうすれば良いですか?

A.まずは、ホテルフロントへ確認を取ってください。

室内に貴重品を置いていて、一部のお金が抜かれていた場合、考えられる原因は2つです。1つ目は「誰かがお金を抜いた」2つ目は「お金の数え間違い」です。

前者である場合はホテル側の不法行為責任に露得る可能性が高いため、ホテル側に対応を求めれば良いでしょう。後者の可能性が捨てきれない場合は、今一度お金が減っているかどうかを確認してみてください。

なお、ホテル従業員がお金を窃取したと疑われる場合は、その事実を立証する必要があります。警察を呼び、取り調べを受けたり防犯カメラを確認したりなどして事実確認を行います。

ホテルによってはすぐに返金されるケースもありますが、中には、従業員が窃取したことが確定するまでは返金されないケースもあります。自己防衛策としては、部屋を離れる際は貴重品類を持って歩く、もしくはホテル内に設置されている金庫へ入れておくなどの対応が必要です。

Q.ホテルで盗難にあった場合は何らかの補償を受けられますか?

A.ホテル側に責任がある場合は、補償を受けられる可能性があります。

先ほども解説した通り、ホテル側には「盗難被害に遭わないように配慮」する義務があります。また、ホテル従業員が窃盗をした場合は、ホテル側が責任を負う可能性もあります。

しかし、上記以外の場合は基本的に補償を受けられないため注意が必要です。たとえば、ホテル内の脱衣場のカゴに貴重品を置いたままにしており、他の客に盗られてしまったような場合です。

ホテル側は当然ながら「貴重品はロッカーへ」等と案内しているはずであるため、その案内を守らなかった者の責任となります。よって、この場合はホテル側に責任を問うことはできず、補償もけられません。

なお、盗難補償については自分自身で加入している保険等で受けられる可能性があります。とくに、加入している火災保険やクレジットカードの保険等で補償を受けられることもあるため、確認されてみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回はホテル内での盗難被害について、「備品盗難」と「自分の貴重品盗難」の2パターンで解説しました。

お照内に設置してある備品の中には、持ち帰りOKなものと持ち帰りNGな物があります。誤って持ち帰りNGなものを持ち帰ってしまうと、思わぬ形で盗難トラブルに巻き込まれてしまう可能性があるため要注意です。

また、ホテル宿泊中に自分の貴重品を盗まれてしまうことがあるかもしれません。自分自身での防衛策としては金庫やロッカーの使用等、ホテル側から案内されている内容を忠実に守ることです。

案内を守っていたにも関わらず、盗難被害に遭われた場合はホテル側に責任を追求したり補償を受けたりすることも可能です。今回解説した内容を踏まえ、ホテル内での盗難について理解しておきましょう。

刑事事件でお悩みの場合はすぐにご相談ください。

刑事事件で重要なのはスピードです。ご自身、身内の方が逮捕、拘留されそうな場合はすぐにご相談ください。

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